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少年貴族に転生して、メイドと一緒にクルマ旅。~超快適ギフト「置き配」で旅から旅へのまったりスローライフを満喫します~  作者: 天宮暁


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第42話

「じゃあ、ドローンに浄化の指輪と女神様の霊具を積もう」


 ドローンにアタッチメントをつけて、指輪と霊具を載せた。


 霊具は置くだけだから簡単だが、問題は指輪だ。

 記念碑のくぼみにはめこまないといけないからな。


 人間なら簡単だが、ドローンだと繊細な操縦が要求される。

 工業用のドローンの中にはもっとこういう作業に向いたものもあるんだろうが、BANBTSUで探した限りでは見つからなかった。


「リーシュカ、頼むよ」


「お任せください!」


 リーシュカがドローンを再び飛ばす。


 バッテリー持ちを気にする必要はない。

 BANBTSUで購入した商品には動作保証がついてるからな。

 バッテリーは神様の力で常時フル充電なのだ。


 二度目の飛行だけに、すいすいと頂上に近づくドローン。


 祭壇。


 まずは霊具を記念碑前のお盆に置く。


 成功。


 ことりと音を立てて、霊具はお盆の上に収まった。


 霊具は、前にも説明したが、金属質のお皿にアンテナがついたようなものだ。

 前世の衛星放送の受信用アンテナをメタリックにしたような感じだな。


 その霊具が、輝き出す。


 アンテナから光線が放たれ、しばらくして、別の方向から光線が返ってきた。


 俺とリーシュカで設置して回った、すべての霊具が作動したのだ。


 光線は、この盆地に内接する五芒星の図形を描いているはずだ。


「ナイス、リーシュカ!」


「やりましたわ!」


 喜ぶ俺たちを尻目に、袖で額の汗を拭うリーシュカ。


「指輪に取り掛かります」


 リーシュカが真剣な面持ちでコントローラーを握り直す。


 慎重にスティックを操作する。


 スクリーンに映し出された映像が少しずつ動く。


 アタッチメントに保持された指輪が、記念碑のくぼみに近づいていく。


 くぼみのサイズはギリギリだ。

 はまれば簡単には抜けないが、はめるには精密さが求められる。


 ドローンは風の影響でふらふらと揺れる。

 遮蔽物のない山頂はここより風も強いだろう。


 指輪をくぼみに合わせ、リーシュカが最後のひと押しをしようとしたその瞬間に――



『ギオオオオオオッッッ!!!!』



 頂上から咆哮が聴こえた。


 と同時に激しい揺れ。


「きゃっ!?」


 リーシュカの悲鳴。


 スクリーンの映像が乱れる。


 ドローンが記念碑にぶつかった。


 アタッチメントから指輪がこぼれ、地面に転がる。


「行くしかない! リーシュカ、運転を!」


「は、はい……!」


 映像を見てショックを受けていたリーシュカが、すぐにハイルークの運転席に乗り込んだ。

 助手席には俺、後部座席にはエリーゼが滑り込む。


「お姉様は――」


「ここまで来てのけ者はなしですわ!」


 振り返って荷台を見ると、既にオボロとトモエが乗っている。


「行きます!」


 リーシュカがアクセルを踏んだ。


「『整地』!」


 いつもどおり、ハイルークの前輪の前を「整地」する。

 宿営地のそばはまだセレスローズの群生地が近く、樹木も多い。

 登山道を「整地」で無理やり拡張しつつ、山体の斜度の低いところを斜めに縫って、山頂を目指す。


 盆地を一周してきたおかげもあって、俺とリーシュカでルート取りの息はばっちりだ。


「ノエル、どうするのですか!?」


 訊いてくるエリーゼに、


「指輪を回収して、直接記念碑にはめこみます」


「さっきの咆哮で復活したと思いますか?」


「わかりません。女神様の結界を感じ取って、防衛反応で咆哮したのかもしれない。もし復活していたとしても、女神様の結界が張れた以上、自由には動けない状態のはずです」


「すみません、ノエル様。私がドローンの操縦を誤らなければ……」


「リーシュカのせいじゃないよ」


 画面の乱れ方からして、あの咆哮にはものを吹き飛ばすような力があったんじゃないか。

 軽量化されたドローンではひとたまりもなかっただろう。


 山を登るにつれ、樹木がまばらになり、灌木と岩が目立つようになってきた。


 竜はあれから何度も咆哮し、そのたびに地面と空気がびりびりと揺れた。


「飛び立つ気配はないね。まだ間に合うよ」


「あっ、ドローンのカメラが映りましたわ!」


 と、エリーゼ。

 エリーゼはリーシュカが放り出してきたコントローラーを拾い、そのモニターを見ていたらしい。


「ああっ、指輪が火口に向かって転がっていきます!」


「くそっ! リーシュカ、まっすぐ行こう!」


 俺は「整地」を山頂に向けて一気に放つ。

 現在地から山頂まで、平らだが急勾配の直線が出現する。


「行きますっ!」


 リーシュカがハイルークを走らせる。


 四輪駆動のハイルークは、急勾配にしっかり対応してくれた。


 クルマはさながらスキージャンプ台のような坂を駆け抜け――山頂へ。


 その勢い余って、ハイルークが宙へと飛び出した。

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