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少年貴族に転生して、メイドと一緒にクルマ旅。~超快適ギフト「置き配」で旅から旅へのまったりスローライフを満喫します~  作者: 天宮暁


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第27話

「このクルマという乗り物はとんでもないものですわね」


 と、後部座席のエリーゼが言った。


 ハイルークは五人乗りで、運転席、助手席の後ろに後部座席もある。


 運転席はリーシュカ、助手席に俺、後部座席にエリーゼが乗っている。


 ――俺たちがロスベリアに辿り着いて、今日で三日目になる。


 初日は公爵たちに挨拶をしつつ、指輪を届けた。


 その日は公爵邸に泊めてもらった。


 翌日は、ロスベリアを当面の拠点にするための準備に費やした。


 いつまでも公爵邸に厄介になるわけにはいかないので、街中に宿を確保。

 配達人ギルド・ロスベリア支部に顔を出して、受付嬢からこの街の配達事情を教えてもらった。


 そして三日目、満を持しての配達業務再開だ。


 配達人ギルドで依頼書を見て、配達クエストの有無を確認する。

 大きなポイントが付与されたものはなかったが、一応クエストが設定されている依頼がいくつかあった。


 いくらクルマがあるとはいえ、広い盆地の逆方向の依頼は受けられない。

 ギルドにあった地図と睨めっこしながら効率の良さそうな依頼をいくつかまとめて請け負った。


 で、今の状況である。


「エリーゼ様。何もお仕事までお付き合いいただかなくてもよかったんですよ?」


 と運転中のリーシュカが言った。


「未来の旦那様のお仕事ぶりを見ておきたいと思いまして」


「家内の采配をして旦那様のお帰りを待つのも貴族夫人の大事なお役目ではないでしょうか?」


「それを言うならメイドのあなたこそ家事に専念したほうがいいのではなくて?」


「私はノエル様にこのクルマを任されていますから!」


「わ、私だってノエルの婚約者だし」


「元、ですけどね」


「元じゃないわよ! 私は絶対に認めませんからね!」


「ふたりとも、運転中に喧嘩しないでよ」


 と、いがみあうリーシュカとエリーゼをなだめる俺。


 内心では、


 ――どうしてこんなことになった?


 と頭を抱えている。


 気位の高いエリーゼはともかく、普段は人当たりのいいリーシュカが、なぜかエリーゼにだけは対抗心を剥き出しにしているのだ。


 公爵たちとの話し合いで、婚約の件についてはいったん保留となっている。


 ふつう、片方が破棄を申し込んだら、喧嘩は買ったとばかりにこちらこそ願い下げだ!と突き返すのが、悲しいかな貴族の習性だ。


 しかも今回の場合、俺が実家を追い出されて貴族の子息という身分を失っている。


 婚約については当然なかったことにされるものと思っていた。


 実際、公爵や公爵夫人も、俺が貴族の籍を失った以上、エリーゼとの婚約は継続不可能と考えていた。

 だからこその養子提案だったわけだ。


 ところが、エリーゼがこれに反発した。

 何があろうと婚約は婚約だ、ともに困難を乗り越えてこそ夫婦ではないか、と言い出したのだ。


「たしかにこのクルマがあるのでしたら、配達人の仕事は効率的にこなすことができますわね。でも、ノエル。そこまでして働かなくても、父の養子になれば貴族の子弟として暮らすことができますのよ?」


「公爵のことは尊敬してるけど、そこまでお世話になるのはちょっとね。ギフトのおかげでほしいものは手に入るし、気ままな生活が送れればそれでいいかな」


「ノエルほどの才気があれば、父の養子になって、領地を分けてもらい、その領地を盛り立てて、ひとかどの貴族になることもできるでしょうに。もちろん、私と結婚して入り婿になり、次代のロスベリア公爵になることもできますよ? お父様には男子がおりませんので」


「僕には荷が重いよ」


「エリーゼ様、ノエル様を縛り付けないでください。ノエル様は私と一緒に旅を続けていくんです」


「わ、私だってついていくわ」


「お家大事のお嬢様には無理じゃないですかぁ?」


「何をー!」


「なんですかぁ!」


「だからやめてって……」


 クルマは段丘になった田園風景の中を進んでいく。

 目的地はもうすぐだ。


「このクルマですが、現在の人の手で同じものを作ることはできませんの?」


 と、エリーゼが訊いてくる。


「それは難しいかな」


 内燃機関、各種素材、部品の加工精度、原油からのガソリンの精製など、この世界ではどうしようもないことばかりだ。


「数え切れないほどの人たちの仕事が繋がって初めて作れるものだから。部品一つとっても難しいよ」


「置き配」で専門書を取り寄せれば部分的には再現可能なのかもしれないが……あいにく俺に異世界で現代知識チートをやりたいという気持ちはない。

 この世界にはこの世界なりにがんばってる人たちがいるはずで、俺が前世知識で「無双」するのはちょっと違うんじゃないか。

 まあ、ヒントを出すくらいならいいとは思うけど。


「ノエルはどうしてそのようなことを知っているのです?」


「それは……」


 そうだった。そのことについては、いまだにリーシュカにも話していない。


「話せる時が来たら話すよ」


 いまはまだ、その覚悟が決まってない。


 今の俺は十歳の美少年だからかわいがってもらえるが、中身がアラサーすぎの成人男性だとわかったらどうか?


 それでもリーシュカやエリーゼは俺への態度を変えないだろうか?


 わからない、としか言いようがない。


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― 新着の感想 ―
ここまで楽しく読ませていただきました でも 怪しい匂いが… お願いです 主人公の取り合いで女の子同士が騒ぐとか ハーレム要素とかにはなりませんように… それだけは勘弁して下さいませ お願いします
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