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少年貴族に転生して、メイドと一緒にクルマ旅。~超快適ギフト「置き配」で旅から旅へのまったりスローライフを満喫します~  作者: 天宮暁


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第20話

「うわーっ! すっっっごく広いですよぉ!」


 身体にバスタオルを巻いたリーシュカが、大浴場の扉を開くなりそう叫んだ。

 両手をおもいっきり広げていて、バスタオルが落ちないか心配になる。


 ジュナいちばんの温泉宿は、町長さんの娘さんが女将をやっているとのこと。


 建物は前世の西洋風に近い作りだが、大浴場は日本風の岩風呂だ。

 かけ流しの源泉が湯船からゆっくりと溢れている。


 今は他に客がいないということで、女将さんはこの大浴場を俺たちの貸し切りにしてくれた。


「さっ、お身体を洗いましょう、ノエル様!」


「い、いいって。自分で洗うから」


「まあまあ」


「何がまあまあなの!?」


 ノリノリのリーシュカの手にかかって、俺はあっというまに洗い場の椅子に座らされてしまった。

 幼い頃から俺の世話をしてるだけあって、俺の誘導のしかたが堂に入っている。


「ノエル様。シャンプーを出してもらっていいですかぁ?」


 浴場には石鹸が備え付けてあるが、この世界のものだけに品質はそれなりだ。

 俺は「収納」からシャンプー、コンディショナー、ボディソープを取り出した。


「さあ、ごしごししましょうねー」


 じゅわじゅわと泡の音を立てながら、リーシュカが俺の頭を洗髪する。

 絶妙の力加減とリズムのおかげで頭がとろんとしてくるな。


「次はお身体ですよぉ」


「待て、それはマズい」


 リーシュカはボディソープを手で泡立てると、腕から順に俺の身体を洗っていく。


「うふふ。気持ちいいですかぁ?」


「ふああああ」


 ヤバい、気持ちいい。


「お胸を洗っていきますねー」


「ふわっ!」


 リーシュカは後ろから抱きつくようにして、俺の胸を手で洗っていく。


 そのたびに俺の背中にやわらかいものが……


「ま、待った! ここまで! ここまででいいから!」


「えー、まだたくさん残ってますよぉ?」


「リーシュカも自分の身体を洗わないとでしょ。残りは自分で洗うから」


「しかたありませんねー。手の届かないところがあったら言ってくださいね?」


 と、残念そうに引き下がるリーシュカ。

 俺もちょっと残念なのは秘密だ。


『主従仲睦まじくて結構なことだな』


 と、言ってくるオボロは、既に湯船に入っている。


「ちょっとオボロ、身体も洗わずに……」


『我の身体は完全な生身ではないのでな。汚れを落とす必要はない』


 なにそれ。

 便利な身体だな。


 身体を洗った俺とリーシュカは、オボロの浸かってる湯船に足を入れる。


「いい湯加減だね」


「ぬるめで、ゆっくり入れそうですね」


 岩風呂は十人以上は入れそうな大きなものだ。

 湯船の上には四阿(あずまや)風の屋根がかかっていて、その向こうは青空だ。

 日が沈みかけの空は茜色に染まり、岩風呂はほどよく薄暗くなって居心地がいい。

 旅館はジュナの中でも高台にあるから、柵の向こうにクルマで登ってきた山並みが見下ろせる。

 乳白色の湯はとろみがついていて肌当たりがよく、いつまでも浸かっていたくなる。


「僕の『置き配』でもこれにはかなわないなぁ」


「あれも便利ですけど、これだけ大きなお風呂だと格別ですねぇ」


『山中の秘湯もよいが、人の手で快適に整えられた風呂はその心遣いが染み入るようだ』


 温泉に浸かるのに、言葉はいらない。


 俺たちふたりと一匹は、日が沈むまで言葉少なにぬるめのお湯を楽しむのだった。

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