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失敗作Ⅱ  作者: 一鸞一
第三章〜アブロプス戦争
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第五十一話 地下トンネル


協力者として彼らに関わるより彼らを利用してゴイガックの情報を引き出すことに専念した方がいいかもしれない。


これはプラン変更だ。


場合によっては別行動も検討だ......!

密偵チームのメンバーは僕を置き去りにしながら駆け足でアブロプスの平野を駆け抜ける。


少しでも早く、僕を撒くつもりのようだ。

やれやれ、そっちがその気なら僕にも考えがある。

僕は敢えて彼らに置き去りにされる素振りを見せる。


彼らはチラチラと僕の方を見ながら、僕を置き去りにしたことを確認すると、そのまま走る速度を落とした。


「ほら見ろ。

たとえ武人だとしても、この程度だ」


「おかしいですね。

武人って結構体力馬鹿なイメージあるんですけど、もう僕らに追いつけなくなるもんですかね?」


「構わねえよ。

あんなヤツ、俺らのチームには不要だ。

さっさと任務を終わらせてユメールに帰るぞ......!」

 

と、話しているのが聞こえる。

どうやら、僕の気配には気づいてないらしい。


当の僕はというと、彼らを監視できる位置へと一瞬で移動し、彼らに気づかれないよう立ち回っていた。


「転移眼......この能力には助けられてばっかりだね」


彼らは僕が意図的に遅れたことに疑いもせず、のうのうとゴイガックへ歩を進めている。

何をしたってわけでもないのに、嫌われたものだな、僕も。


ま、彼らの調査は彼らに任せておこう。

僕は僕でしばらく彼らを監視した後、独自でこのゴイガック領を調査しよう。


ゴイガック帝国東門。

ここは太陽軍の支配下にある武器の国。


大量の武器を生産する武器工場を中心に数多くの工業が発展する工業大国である。


「東門の見張りは二人、どっちもゴイガック軍の兵隊。

けど、十中八九太陽兵が裏側に配置されているはず。

密入国しやすいルートを見つける他ないようだね」


僕はゴイガック帝国に潜入するためのルートを探す。

新聞にもあったが、今日はエリィ・スケラーの即位式の日だ。


僕は即位式による関所周辺の警備の穴を狙う。

ゴイガックに潜入する上で、やはり騒ぎを起こすと相当厄介だ。


僕は即位式の行われるゴイガック帝国の北側に回り、密入国を試みる。


正規のルートでは太陽兵の監視要員に見つかる危険が高まるからだ。


「厄介なのは太陽十三天聖ヒジラムスの連中だ。

この区画の統治担当、そして即位式への出席人数によってこのミッションの難易度は大きく変わる。


一体何人のヒジラムスが出席してるのやら。

情報が必要だな」


僕がゴイガックの北部からの潜入ルートを模索しているところ、このタイミングで予想だにしない珍客と遭遇することになる。


「おい、アンタ......モンズと一緒にいたルマって男じゃないか?」


「君は.......さっきの」


僕の後ろに立っていた男、それはユメール王国西部で救助した太陽軍からの逃亡者、武人エウロンであった。


「あの時は助けてくれてありがとう。

おかげでここまで来れた」


「君はユメール兵の監視を受けているんじゃないのかい?

それに、体は大丈夫なのか?」


「体は無事だ。

生憎、回復は早くてね。

ユメール兵の目を盗んでここに来ちまった」


「ラウム王が聞いたらさぞ怒りで震えるだろうね。

えっと、エウロンだったよね?


僕の知ってる情報だと君、『赤き闘神』の異名を持つ実力者だよね?

一体何の用でここに?」


「ちょうどこの近くに帝国内部への抜け道があってよ、そこに用があるんだ。

どうだ、ルマ。


アンタも俺と一緒に来るか?」


「願ってもない話だ。

僕も潜入で手をこまねいていたところだよ」


「一時的な共闘関係と行こう。


アンタらがどういう作戦でゴイガックに入り込むかは知らねえが、邪魔にならない範囲でなら俺も協力してやれる。


共に太陽の王エリィ・スケラー打倒に動こう......!」


「当たり前だ。

太陽軍は、必ず倒すよ」


僕はエウロンの手引きにより、ゴイガックの下水道の通る道『地下トンネル』に侵入する。


地下トンネルは非常に暗く、ジメジメとして鼻の奥をツンと刺激する強烈な悪臭に見舞われている。


「この辺は雑菌の温床だ。

好奇心を持つのはいいが、あまり生き物には触るなよ?

ここにいるネズミは強力な感染源になり得るからな」

 

「言われなくても、ここの動物に触りたいなんて普通は思わないよ」


僕あまりの異臭に思わずむせそうになる。

すごい臭いが口内、そして鼻の奥にまで入り込むこの感覚は非常に不愉快極まりないものだ。

 

「ハァ......この手の悪臭は嫌いだよ。

もう少し、地下を掃除するべきじゃないのか、ここの住民は?」


「仕方ないだろ。

この地下道には生活排水や汚染水が大量に流れ込んでいる。


こんなところで掃除するヤツがいたら、そいつの寿命は三十年は縮んでる」


「だろうね。

こんな悪臭の溜まり場みたいな場所、正直いるだけで不快だ。


あとどのくらいで地上に出られる?」


「あと三十分ほど。

この辺は滑りやすい上に薄暗いから、悪いがダッシュは厳禁だ」


「こんなことなら地上から潜入するべきだったよ」


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