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失敗作Ⅱ  作者: 一鸞一
第三章〜アブロプス戦争
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第四十三話 緊急対策ミーティング


ラウム王は宿屋の個室を貸し切り、一部の部下と共に緊急対策会議を開始する。


「これより緊急ミーティングを行う。

会議の内容は主に三つ、『太陽軍の動向』『神の爆弾の対策』、そして『新王の即位式』についてだ」


「陛下、まずは新王即位の式典について話し合いましょう。


たしかに、主題に上がっている神の爆弾は最も脅威かもしれませんが、例の逃亡者の話では即位式と神の爆弾の計画は結びついているものと考えられます。


まずはその穴から考えてみるのはどうでしょうか?」


「うむ、俺もそこは気になっていた。

なぜ唐突に太陽軍の新王が、しかもゴイガック帝国に出向いてまで即位式を行おうとしているのか......。


少なくとも、これは先代の王者テナウドリストの采配ではないことが窺われる」


「新王は新王で何かあるのかもしれませんね。

しかし、エリィ・スケラーといえばテナウドリストの忠実なしもべのはず。


彼が独断でそれらを決めたとは正直考えられないというか......」


議論が加熱するその最中、ワシは悪魔の森で起きた事実を話す。


「太陽の王者なら悪魔の森で沈んだぞ」


「沈んだ?

沈んだとは、どういう意味だ?」


「綿密に言うと、ここにいるルマが決着をつけて、テナウドリストに深手を負わせたんじゃ。


そしてその思いもよらぬ深手から、王者として国の運営が困難になったんじゃろ。


それできっとエリィ・スケラーに王位を譲ったんじゃ」


ラウム王の側近は怪訝な目でワシを見つめる。

どうやら、ワシの言葉に疑いを抱いているらしい。


「随分と飛躍した証言だ。

テナウドリストがそこの少年に倒されたとでもいうのか?


馬鹿馬鹿しい、だとしたらなぜ君たちはアーヌ・ルメトスの悪魔憑きに敗れたんだ?」


「ハクウ、言い過ぎだ。

少しは彼らの気持ちを考えてやれ」


「僭越ながら、陛下。

この者たちは素性が分からないのに加え、魔女とともにユメールを歩き回ったという目撃証言があるのです。


それを信用するなんて、とてもじゃありませんが少し不用心かと」


「ちと待て。

お前さん、悪魔憑きというのは一体なんじゃ?」


ラウム王の側近の男は再びワシをギロッと睨む。

しかしそれをラウム王が視線を突き刺して制止したため、苦笑いでこちらを見つめた。


「私のことはハクウと呼べ。

悪魔憑きというのは文字通り悪魔に取り憑かれた人間だ。


今回悪魔に取り憑かれたのは魔女を暗殺した悪の勢力『ポロピラス』のメンバーの一人だと判明しているが、アーヌ・ルメトスというのは所詮は悪魔。


そんなヤツに手こずるような輩に太陽の王テナウドリストが倒せるかどうか、子供でも分かる問題だ」


「いいや、それは違うぞ、ハクウ。

アーヌ・ルメトスとはいわば悪魔の森に君臨する霊陽神アメトスの始祖として君臨していた上級悪魔だ。


その強さは偶像神にも匹敵すると言われている」


ハクウは思わず悪い挙動を見せる。

どうやら、悪魔に対する認識がラウム王とは根本的に違うらしい。


なぜ王と側近でこれほどまでに差があるのかは分からないが、それでも誤解は解けそうならば何よりだ。


「ぐ、偶像神にですか!?

悪魔如きが......?」


「悪魔が嫌いなんだな、お前さん」


「当たり前だ......!

あんなもの、人にとっての害悪でしかない......!」


ハクウは強がるようにそう言い放つ。

ワシから言葉を突き刺されるのが少々癇に障るらしい。


まるで子供の癇癪のようだが、王への忠誠心がきっとそうさせているのだろう。


「悪魔は遥か昔、偶像神と同格の権利と力を有していたと聞く。


そしてかのアーヌ・ルメトスとやらは上位に君臨する上級悪魔。

能力一つで手こずるのも無理はない」


「そ、そもそもの話、太陽軍の連中が陛下の忠告を無視して悪魔を解放するからこんなことになったんですよ.......!」


「お前の悪い癖だ、ハクウ。

カッとなったら周りが見えなくなる癖、少しは気をつけろ.......」


「申し訳ありません、陛下.......」


ラウム王の側近ハクウが自らの行いを顧みる中、痺れを切らしたようにルマは話を切り出した。


「そんなことよりさ、話を悪魔からさっきの主題に戻してくれないかな?

時間は押してるし、事態は一刻を争う。


モタモタしていたら太陽軍の後手に回るよ?」


「......分かった、話を戻そう。

我々が話すべき主題は『太陽軍の動向』『神の爆弾』『即位式』。

 

しかし即位式に関してはあまり見えてこないのが現実だ。

それならばやむを得ん。


早々に太陽軍と神の爆弾の対策案についての議論を展開しよう。

まずは何から警戒すべきだと思う、諸君?」


「陛下、私としましてはやはり神の爆弾でしょうか。


もし保持しているという情報が真実なら、それはユメール王国はおろか他国にとっても最大の危機とも言える状況です」


うーむとラウム王は首を傾げる。

このラウム王という男、思ったより考えを張り巡らせるタイプの統治者らしい。


ワシの予想と違い、少々意外な一面にワシは驚きを隠せない。


「それなら、他国への協力を仰ぐべきかもしれないね。


しかし......地上のほとんどはすでに植民地として太陽軍に支配されている。

 

ユメール王国が復活したってだけでも普通なら奇跡に匹敵するような出来事だ」


「たしかに、そのような状況下では協力を申し出るどころの話ではないのう。

しかし解せん話じゃ。


テナウドリストは奪った領土を粗末にしない名君として有名だったはず。


やはりテナウドリストの指示によるものとは考えにくいのう」


「だとすると可能性は一つだな。

俺の見立てだが、おそらく太陽軍のバックに何かいるな。


俺の予想だが、十中八九あの連中が」


「あの連中.......?」


「偶像神だ。

それしか考えられまい。


名君テナウドリストが退いたとはいえど、作り物の太陽兵を動かすにはそれ相応の神気が必要になってくる。


器、そしてそれらを一つ一つ操るための資質が必要なのだ。


神気による物質操作術は人間からしてみれば極めて難解。


もしそれができるのなら、太陽の王テナウドリストのような偶像神、もしくはそれ以上の傑物くらいだろう。


この事件の裏には神界の利権が絡んでいるとみていい」


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