第四十一話 神の爆弾
ルマとモンズが決意を強く固めたその時、ユメール王国西門の外から特大の爆発音が響き渡る。
地鳴りのような振動と衝撃にユメール王国の兵士たちはすぐさま厳戒態勢を敷く。
「なんじゃ!?」
「西の方角から聞こえた......何かあったのかもしれない。
モンズ、君は宿に置いた食料を見ていてくれ!」
「ちょっ、ルマよ!!!」
「任せた!!!」
ルマは食料の見張りをワシに任せ、一足先に西の正門の外へと向かう。
「ワシは留守番かい。
少し落胆するのう......」
ワシは宿に置いた食料を見張るため、素振りをやめて宿屋へ戻る。
どうも、さっきの爆発は只事ではないと彼の中で思うところがあるようだ。
「ただの事故なら良いのじゃが......。
ここは太陽軍との全面戦争の準備もしておくべきかのう?」
ワシは個室に戻り、見張りをしながら固くなった体をほぐす運動を始める。
ワシは個室で食料を見渡しながらその購入したであろう品物を確認する。
一見、袋から顔を出しているのは保存に適した干しきのこ、梅干し、肉の燻製、漬け物の入った瓶など、まさに保存食といえばコレともいえるようなものが勢揃いしていた。
ワシは干された食べ物などを見て若干顔を顰める。
「保存食系は飽きるほど食べたからのう。
正直現地調達で獣を狩った方が美味い飯を食えるのじゃが......。
贅沢を言ってる場合でもないかのう......、トホホ」
ワシはガクッと肩を落としながら、準備運動を着々と進めていく。
怪我しやすい関節周り、筋肉、頭上から足の爪先までくまなく伸ばしては馴染ませていく。
意外とこういう運動が侮れなかったりするのだ。
そこから二十分ほどして、ルマが宿屋に戻ってくる。
「ルマ、そやつは......!?」
「怪我してたからね、連れ帰ってきたよ」
ワシはルマが背中に背負っているものを見て、思わず険しい表情を露わにしてしまう。
ルマが背中に背負ってきた人物、それは太陽軍から脱走してきた武人の一人だった。
「彼、太陽兵に追われていたんだ。
さっきの爆発も、もしかしたら彼の仕業かも。
逃げる時に必死の抵抗をしたんだろうね」
「その怪我は爆発によるものか、ルマ?」
「僕の見立てでは、脱走前に負っていた火傷と傷跡が逃げる最中に重症化したってところかな。
彼、相当な無理をしてここまで逃げてきたみたいだ」
「太陽軍はどうした......?
この男が追われているのなら太陽軍がこの国に来るのは時間の問題じゃろ......!」
「それは問題ない。
ラウム王が直々に対応している。
たまたま僕らの元を訪ねようとした矢先の出来事だったらしい」
「ラウム王がか?
あの王様、やはり強いのか?」
「強いよ。
おかげで彼を簡単に逃すことができた。
太陽兵が手も足も出ていなかったよ」
ラウム王は現在、ユメールの西街に強固な防御線を張るとともに西門は全て封鎖。
厳戒態勢に臨んでいる兵士に加えて王都からも多くの兵士たちが続々と集結している状況なのだそうだ。
「部屋の外が慌ただしくなってきたのう」
「おそらくラウム王の計らいだろう。
彼は間違いなく、太陽軍との衝突を視野に入れている。
近いうちに、この街周辺で戦争が起こるだろうね」
ルマは背中に背負った武人をベッドに下ろす。
明らかに憔悴しきっている顔をしている。
とその時、その憔悴した武人は微かに目を開き何かを訴えるようにその口を開いた。
「逃げろ......アンタ、俺を助けてくれたよな......?」
「喋るな。
君、あんまり無理すると早死にするよ?」
「そうも、言ってられないんだ......。
アイツは、アイツらは、ヤベェ兵器を使おうとしている......!」
「君、名前は?」
「......エウロン。
エウロン・ウィーボ。
俺は、ハァ......伝えにきたんだ。
この星の危機を.......」
「危機?
一体何の話じゃ?」
「神の爆弾.......。
太陽軍が、使おうと.......、即位式の後で、企んでるんだ......!」
「なんだって!?
神の爆弾を!?」
「なんじゃ、神の爆弾って......?」
「一大事だぞ、モンズ。
神の爆弾は星の地表の半分を削り取るとされている危険な化学兵器の一つだ......!」




