結婚式
11月16日のハワイは、快晴だった。
朝から、女性陣は、髪のセットから始まり、ウエディングドレスを着たりとてんやわんやだった。
「やっぱり、3組も一緒だとややこしいですよね。僕まで、一緒に呼んでもらって。」
「ひろしさん、気にしないでください。」
「京香さんも、一緒じゃないと面白くないじゃないですか?」
「そうなんですか?」
教会の隣のホテルで、僕とひろしさんとボスがくつろいでいると向こうの方から、港がやってきた。
「おはよう、海人。元気だった?」
「まあ、何とか生きてます。」
「連絡もらったときは、びっくりしたよ。いきなり、明日香さんと結婚するなんて。しかも、京香さんと優香さんも一緒でしょ?すごいね。」
「もし、良かったら、港も加わればよかったのに。」
「いえいえ、僕たちは、まだ、遠距離恋愛で、愛を育んでいるところですから。」
「星野さんは?」
「今、向こうの女性陣のサポートに頑張ってる。」
「ほんと、結婚式って男は、何もすることないよね。」
って、ボスの方を見ると少し顔が引きつっていた。
「海人、大丈夫かな?指輪っていつはめるんだっけ。左手の薬指だよね。」
「大丈夫?ボス。ボスの所が、一番最初だからしっかりしてね。」
とか言ってる間に、僕のお父さんと明日香のお父さんとボスのお父さんが3人並んでやってきた。
この3人、昨日は、別荘に止まって一晩中飲んでたらしい。今も、タクシーでやってきた。
今日の結婚式も、飲みまくる予定のようだ。
ただ一人、京香さんと明日香のお父さんは、緊張しているみたいだ。
「すみません。自分は、ちょっと優香さんのお父さんと打ち合わせに行ってきます。」
「どうぞどうぞ。今日は、大役ですから頑張ってください。」
僕と、ひろしさんは、立ちあがって
「お父さん、すみません。僕たちも一緒に行きます。」
遅れて、ボスも
「わたしも、一緒に行きます。優香さんのお父さんにも挨拶しないと。」
そう言って、僕たちは、明日香のお父さんの後を付いて行った。
「今から、みんな奥さんの尻にひかれそうですね。」
「まあ、うちの家系はみんなそうですから。」
そんな話をしていると、向こうから玲子さんとボスのお母さんが歩いてきた。
「おはようございます。本日は、よろしくお願いします。」恭しくボスのお父さんに玲子さんが挨拶した。
「皆さん、そろそろ教会の方に行きましょう。」
「お父さん、おじい様とおばあ様は、先ほど、うちの両親と一緒に教会に向かいましたよ。」
「ああ、そうなんだ。僕も、久しぶりに皆さんの顔を見に行くかな?」
そう言いながら、4人は教会に向かった。
僕たちは、明日香さんのお父さんと一緒に花嫁たちの準備室に向かった。
すでにそこには、優香さんのお父さんとお母さんが、廊下の前のソファーに座って話をしていた。
「おはようございます。」ボスが、優香さんのご両親に声をかけた。
「おはようございます。」
「ボス、おてんば娘ですけどよろしくお願いしますね。」
「あなたを、これから息子と呼べるのは光栄です。」
ボスは、頭をかいて恐れ入っていた。
「もうすぐ、終わると思います。」
「男性陣は、先に教会で待っててください。」
「わかりました。」
「では、失礼します。」
「僕たちも、失礼します。」
そう言いながら、3人は、教会に向かうことにした。
「やっぱ、3人一緒だと気が楽だね。」
「そうですね。」
「ボス、ひろしさん、提案なんですけど、結婚したら毎年、日を決めてハワイに来ません?」
「泊まるところは、あるし、ひろしさんもハワイアンレストランされるなら、情報集めにもなりますよ。」
「僕も、海が近いと体調がいいから。ハワイなら、大丈夫。」
「坊ちゃん、それは、楽しみですね。」
「ボス、これからは、坊ちゃんはなしでお願いします。」
「ごめん、海人。いつもの癖で。」
「ボスには、色々お世話になってるし、お兄さんのように思ってる。それに、ひろしさんも今日からお兄さんになる。」
「いつも、一人っ子で、兄弟が欲しいと思ってたから、今日は、一度に、お兄さんとお姉さんができるのがうれしい。」
教会に着くと、おじいさんおばあさんお父さんお母さん港に星野さん、恵に北川さん、それにあきちゃんに卓也とみんな揃っていた。
やっぱり、僕は、友達に恵まれてるみたい。
新郎が、3人並んで、花嫁の入場を待つ。
まずは、優香さんから。
ボスが、背筋をのばして姿勢を正す。
讃美歌の流れる教会を、胸を張って入場してくる花嫁。
ベールに包まれていても、そのオーラは優香さんのものだった。
優香さんのお父さんと交代するボス。
次に、京香さんと明日香が、お父さんと一緒に入場してくる。
ひろしさんと僕も、背筋を伸ばして姿勢を正す。
京香さんが、ひろしさんの隣に並び、明日香が僕の隣に並んだ。
神父様の言葉で、愛を誓いそれぞれが指輪を交換し永遠の愛を誓った。
もし僕がいなくなっても、京香さんや優香さん、ボスやひろしさんが、たぶん明日香を助けてくれる。
それに、もうすぐ薬も完成しそうだし。もしかしたら、僕も長生きできるかもしれない。それに、明日香とは、これから楽しい思い出をいっぱい作れば、僕がいなくなっても、その思い出が明日香が死ぬまで、僕が寄り添える。
まあ、他に好きな人ができれば、その時はそのときかな?その時は、その時で天国から祝福してあげよう。そんなことを思いながら、僕は、今までで、一番幸せな時を過ごした。




