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ローカル  作者: 不機猫
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ご馳走

 研究所を出て、そのまま校則には向かわずに海岸線を実家の方に走った。

「社長、こんなところに食事出来るとこなんてありました?なんなら、自分がランチ作りましょうか?」

「大丈夫よ、予約してあるから。そのまま、私の実家に向かって。20分ぐらいよね。」

「この感じだと、15分ぐらいかと。」

実家のそばに、レストラン有ったかな?そう思いながら、久しぶりに母親の横の座席に座った。

カーブになると玲子さんがわざと自分の方に寄りかかってくるように思うけど気の所為かな。

暫くすると見慣れた景色が広がってきた。

やっぱり、地元は良いな。鮭が、自分が生まれた川に戻ってくる気持ちが分かるような気がした。

しばらく走って、実家に着いた。

「ボス、そのまま実家の駐車場に車を止めて。」

そう玲子さんが、ボスに告げた。

駐車場に車が止まると、

「海人、着いたわよ。」

ぼくは、車を降りた。

玄関で、おじいちゃんとおばあちゃんが出迎えてくれた。

「やあ、海人、お帰り。」

「おなか空いてるじゃろ、お昼ご飯作ってあるから。」

「ボスも、どうぞ。」

ぼくたちは、そのまま玄関から、奥の座敷に上がっていった。

懐かしい座敷に見覚えのある座卓が並べてあった。

座卓の上には、舩盛の刺身とか、てんぷらとかが所狭しと並んでいた。

「すごい。」ぼくは、思わず声に出してしまった。

「海人、大学合格おめでとう。」

「おじいちゃんと、おばあちゃんもお祝いさせてくれ。」

「ありがとう。」

「さあ、みんなでご馳走食べましょう。ボスも、遠慮しなくていいからね。」

「後、ケーキもあるから。」

「いただきます。」

 やっぱり、家族っていいな。

「ボス、きょうは、泊まっていくでしょ?」そう言って僕は、ボスとおじいちゃんとおばあちゃんと玲子さんにお酒を注いで回った。

その日は、ほんとに楽しい土曜日の午後だった。

 僕は、お酒は飲めないので、適当に切り上げて、いつも使っていた部屋に上がってきた。

以前自分が使っていたままだった。ほこりもたまってなかった。

多分、いつでも自分が戻ってきてもいいように毎日掃除してくれてたのかもしれない。

押し入れから出したお布団は、少しあったかくてお日様の香りがした。

やっぱり、地元は良いな。

 あの研究所で色々研究して、時々ここに戻ってこれれば、それは、それで幸せかもしれない。

僕は、ここで暮らしていた時のように、7時前に風呂に入って、そしてこの部屋で眠った。

 翌朝、5時過ぎに目が覚めた。目覚める時間も一緒だった。

そのまま、台所に行って、コップに水を入れて、薬を飲んだ。

「おはよう。」突然後ろから声を掛けられた。玲子さんだった。

「早いわね。」

「ここで、暮らしてた時と一緒だよ。」

「玲子さん、僕の部屋から、海を見ててくれる?」

「わかったわ。見ててあげる。」

 僕は、そのまま土間に降りて、ウエットスーツに着替えた。そして、赤いボードを持って、海に向かった。

 何も変わってなかった。

いつもの所にいつものようにボードとウエットスーツ、ほこり1つも被ってなかった。

多分、おじいちゃんが出しておいてくれたんだろうな。

海岸に着くと、お辞儀してながめにストレッチをして海に入る。

「やあ、久しぶり。」静かに、迎えてくれた波にぼくは、挨拶した。

そのまま、パドリングで沖に向かって、波に乗る。

昔のままの波がそこにあった。体が、それを覚えているのか、波が、僕を覚えていて、合わせてくれているんか、思ったように波が来てくれる。

 デジャブのような不思議な感覚。

そんな夢見心地の中で、僕は窓から僕を見ていてくれる玲子さんに手を振った。

 病弱な息子を祖父母に預けて自分は都会で仕事、周りから見ると薄情な母親に見えるけど、ぼくは、玲子さんも好きだな。

 時々、いたずらをするように大きな波がやってくる。

それを、うまく捕まえてボードを載せる。

「やっぱり、海人は海人だね。」そんな声が聞こえてくる。

静かになった波にお別れを言って、僕は、砂浜に上がった。

知らない間に、玲子さんが砂浜降りて来ていた。

笑顔で、迎えてくれたお母さんに

「僕、玲子さんのこと好きだよ。」

「ありがとう。そう言ってくれると嬉しいわ。」

「シャワー浴びて、朝ごはん食べましょう。」

「みんな、おなかすかせて、あなたを待ってるわよ。」

僕と玲子さんは、手をつなぎながら、祖父母の家に帰っていった。














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