結果発表
僕は、医学部なのでそのまま2次試験に向け、論文と面接の練習に明け暮れた。
やはり、お医者さんになるなら、その人となりも判断基準になる。
人の命を預かるんだから当然かな。
2月も中旬を過ぎると、結果発表が気になる。
アーシャも僕の不安そうな雰囲気が分かるのか、そばから離れないように付いてくる。
しかも、明日がその日だった。
明日香も、星野さんも他の大学の受験に行って今日は、誰もいない。
論文も色々勉強した。1つ問題があるとしたら、一般常識的な課題が出されるとちょっと不安なところがある。
それより、明日の結果次第か。
みんなと一緒に医学部を受験したから明日が1次試験の結果発表日だとみんな知っている。
だから、気にしないようにしてくれてるのが、ピリピリ感じる。
明日は、幸運の女神、明日香と一緒に見に行くようになっているので、それにテストの内容自体も自信があるので大丈夫とは、思うけど落ち着かない。
こんなときは、アーシャの耳でも触って、落ち着くことにしよう。
午後、遅い時間にみんなが帰ってきた。
「今日のテストちょっと難しかったけど、これが最後だと思うと結構かけたかも。」
しばらくして、恵もやってきた。
「今日は、立体造形だった。明日は、デッサン。美大の試験って、結構体力勝負なとこ、あるよね。」
「海人は、明日、1次試験の結果発表だっけ。」
「僕は、最初から、海人の付き添いで受けただけだから、2次試験は、一緒に行ってあげられないけど頑張ってね。」
「じゃ、僕は、明日の準備があるから。」そう言って、恵は、帰っていった。
他のメンバーも、すでに合格が決まった人は、遠慮して、来なくなった。
卓也も、自分のテストが終わると地元の大学の受験もあるからと戻っていった。
明日香も、明日の1次試験の結果を見てから、一旦家に戻る予定だった。
そして、そのまま、卒業式に出るとのことだった。
翌日、ぼくは、朝ご飯もそこそこに明日香と一緒に家を出た。
「大丈夫かな?」
「大丈夫だよ!海人、あんなに頑張ったんだもの。」
「そう言って頂けると、助かる。」
「そうだよね、明日香と離れてまで、目標に向けて頑張ったんだから。」
「そうそう。」
学校の正門が見えていた。僕と同じような、受験生が、同じように掲示板を目指して、歩いていた。
知らない間に僕は、ダッフルコートのポケットの中で明日香の手を握っていた。
掲示板の前にやってきた。
僕が、自分の番号を見つける前に、明日香が叫んだ。
「有ったよ、海人。海人の受験番号も、私の受験番号も。」
思わず、僕たち飛び跳ねて喜んだ。
暫くして、周りの視線を感じて、何事もなかったように学校を後にした。
「明日香、すごいね。」
「海人と、一緒に勉強したい一心で頑張ったからね。」
「ほんと、ありがとう。」
「2次試験も一緒にいけるね。」
「いけるね。」
「そうだ、卒業式の日だけ帰るね。」
「同じ、日だったよね。」
次の日から、二人で、論文の勉強を始めた。それと、面接は、祖父や、玲子さんに練習してもらった。
あっという間に卒業式の日がやってきた。
明日香は、卒業アルバムを抱えて、再びお母さんと帰ってきた。
他の受験生がいなくなったので、静かになった僕の家で再び2次試験の勉強にいそしんだ。
2次試験当日、雪が降った。
電車が遅れるかもしれないので、ちょっと早めに家を出ることにした。
学校の駅の前で、滑りそうになったけど明日香と手を握っていたおかげで、なんとか転ばずに済んだ。
無事、学校に着いた。
9時からの2時間かけた論文御試験も何とか来なし、後は、面接だけだった。
ノックして、面接会場に入ると、花井先生が、いらっしゃった。
「ようこそ。」
「では、面接を始めます。」
「まずは、医学部を目指した動機から伺います。」
その後は、医学の専門用語や研究内容に関して、どのように考えているとか、こんな場合、君ならどうするとか、色々聞かれた。
「面接は、以上で終わりです。お疲れさまでした。」
「ありがとうございました。」とお礼を言って僕は、その部屋を後にした。
暫く待合の教室で待っていると、明日香も戻ってきた。
「どんなこと聞かれた?」
「なぜ、医学部を受験したのか?とか、そんなところね。」
「専門用語とか、聞かれた?」
「全然、聞かれなかった。」
「そうなんだ。」
「二人とも、合格すると良いね。」
「そうね、そしたら、海人と一緒に勉強出来るね。」
「薬学でも、教養は、一緒に勉強できると思うけど、研究とかも一緒にしたいよね。」
「なんか、夢が膨らむよね。」
「でも、やっと終わったね、」
「結果発表までは、のんびりしましょう。」
「そうだね。サーフィンとかしたいけど寒くて無だよね。」
「あっ、おねえちゃんと優香さん、この間、起毛付きのウエット来て、サーフィンしたって。」
「すごい。あの二人には、かなわない。」
「海人も、薬が完成したらあの二人と一緒にサーフィンできるようになるよ。」
「そうだね、でも、僕は、明日香と一緒にいる方がいいね。」
多分、アーシャは、暖炉の前で寝ているだろうなと思いながら、 僕たちは岐路に着いた。




