メイドカフェ
翌朝、起きると港は、部屋に居なかった。
どうやら、朝早く目覚めたので、庭の散歩に出かけたようだ。
どこかで迷子になってなければいいけど。
おじいさんと、おばあさんと朝食を取っていると港が帰ってきた。
「広いお庭ですね。見るところがいっぱいあって楽しかったです。」
そう言って、港も一緒に朝食を取ることにした。
港は、お味噌汁と、卵かけご飯に初挑戦していた。
納豆は、食べれるかな?と思ったら、平気で食べていた。
「納豆、大丈夫なの?」
「ノー、プロブレム。納豆は、食べたことある。ハワイも、日本食ブームね。」
「でも、生の卵をそのまま食べるのは、やったことが無い。」
「そうなんだ。」
「今日は、10時ぐらいにここを出るでいい?」
「大丈夫。」
「それから、秋葉原の駅で星野さんと合流して、恵のお店に向かいます。」
「わかった。」
「じゃ、それまでもう少しお庭を、探検してもいいですか?」
「それなら、僕も行くよ。」
「おじいさん、おばあさん、美香さんごちそうさまでした。」そういって、食器を片づけると二人で庭に出た。
左側に行くと小高い丘があり、ベンチが置いてあった。その向こうが、木がいっぱい植わっていて、森のようになっていた。
「ここ、夏は、セミがいっぱい来て五月蠅いんだよね。今は、ムクドリかな。リスもいたと思うけど。」
そのまま、森の中を通って屋敷の裏側に向かうと小さな池がある。
中には、鯉が優雅に泳いでいた。
「おう、この魚は、コイ?」
「そうだよ。」
「初めて見た。」
「そっちのカラフルなのが、錦鯉。」
「餌やりが、おじいちゃんの日課。」
「おじいちゃんの足音がしただけで、近寄ってくるよ。僕には、餌を持ってても近寄ってこない。」
そうこうしている間に、10時になったので、僕と港は、出かけるようにした。
「ここから駅まで歩いて、秋葉原まで30分ぐらいかな?」
「星野さんとは、10時半に、駅の改札の出たところで待ち合わせ。」
「おう、電車に乗るの、初めて。」
「自分でやって良い?」
「どうぞ。まず行先までの料金を入れて、ボタンを押すと切符が出てくる。」
「そして、ここに切符を入れると、向こうから出てくるから、それを取って電車に乗る。」
「秋葉原だから、こっちのホームから、電車に乗ります。」
「東京って、人がいっぱい。」
電車が来たので、それに乗り込む。
「秋葉原は、アニメの聖地?」
「そういう人もいるけど、昔は、電気街で、その関係でマニアックな人が集まるようになって、いつの間にか、アニメの聖地になった。」
「恵のお店楽しみだな。」
「あっ、星野さんいた。」
僕たちは、星野さんと合流した。
『「おはよう、星野さん。」』
『「おはよう。」』
最近、星野さんと始めたのが、手話と一緒に声を出して、話す練習。
それは、星野さんが、耳が聞こえるようになった時にうまく言葉が話せるように。
実は、星野さんにも、僕と同じ薬を飲んでもらっている。
副作用がないから、効果も薄いけど、続けていくと徐々にではあるけで、聞こえてるような気がしてきたみたい。と教えて貰ってから、手と一緒に自分の声を極力出すようにして、脳に刺激を与えるようにしている。
3人で、恵のお店に行った。
『「ここの2回だよ。」』
「なんか楽しみ。」
かわいらしく飾った、お店の扉を開けた。
「おかえりなさい。ご主人様。」と声がした。
「お待ちしておりました。港さま。」
恵が、港に声を掛けた。
「港、それ、恵だよ。」
「それって言うな!」
「わっ、ほんとに恵だ。かわいい。」
そこには、ファンデーションを厚く塗った恵がいた。
「こちらへ、どうぞ。」
「海人もありがとう。」
『「星野さんもいらっしゃい。今日も、コスプレする?」』
『「今日は、やらない。」』
『「そうなんだ。残念。」』
僕たちは、店の奥の4人テーブルに案内された。
「港、今日は、私のおごりだからなんでも注文して。♡」
「海人のおすすめはどれ?」
「この キラキラ星のお姫様が心をこめて作ったオムライスかな。」
「じゃ、そのキラキラ星のお姫様が心をこめて作ったオムライスを1つください。」
『星野さん、今の聞こえた?』
『聞こえたような気がする。』
『星野お姫様・・・』
『よかった。』
『「僕は、ケーキとコーヒー」』星野さんの余韻を崩さないように小声で。
『オレンジジュース』
『「かしこまりました。すぐにお持ちします。」』
暫くして、恵が、オムライスを持ってきた。
僕は、恵からケチャップを奪い取ると、それを星野さんに渡した。
「これから、おいしくなる魔法を掛けます。」と星野さんが言って、ハートのマークをその上に書いた。
すかさず、ぼくが、
『「これが、ほんとのキラキラ、星野お姫様が心を込めて作ったオムライスです。」』と言った。
恵も、そばに居た店長もみんなが拍手した。
港も、頭を掻きながら、
『「ありがとう。」』と言って、おいしそうに食べ始めた。




