ハワイ2日目
ハワイ2日目、僕は、早起きして、ワイキキビーチを散歩した。
そして、明日香の泊まっているホテルのロビーに着いた。
「おはよう、明日香。」
「おはよう、海人。よく眠れた?」
その日の彼女は、僕が気に入ったと伝えた、赤いワンピースを着ていた。
昨日、ホテルの帰り道で買ってあげたハイビスカスの髪飾りがとてもよく似合ってた。
二人並んでホテルのロビーを出て、タクシーに乗り込んだ。
行先を告げると、運転手は、鼻歌交じりに車を走らせた。
「大学の中にあるって言ってたから、ちょっと歩くかもしれない。」
「時間は、伝えてあるから、外で待っていてくれるはずだけど。」
「ここから、北東に20分ぐらいだと思う。僕も子供のころに行ってるはずだから、近くまで行くとわかると思う。」
タクシーの運転手には、住所だけ伝えただけだけど、ちゃんとセンターの入り口の前に止まってくれた。
ちょうど、お父さんが待てってくれたので、タクシー代とチップを払ってくれた。
「Thanks」と言って、僕たち二人は、タクシーから降りた。
「お父さん、久しぶり。」
「おじさま、ご無沙汰してます。」
「今日は、修学旅行なのにわざわざ来て頂いて、申し訳ない。」
「これ、お母さんから、渡してくれって。」
「おう、ありがとう。こっちにも日本料理は有るけど、好きな、お菓子はなかなか見つからなくてね。」
「今日は、二人分パス取ったから。これ、首からかけてね。案内するよ。」
「特に、複雑な、研究をしているわけじゃないけど、結構セキュリティが、うるさくて。
部屋に入るときと出るときに、必ずカードリーダーにあててね。」
「わかりました。」
それから、僕たちは、ひろしさんの後を付いて、色々なブースを見て回った。
中の先生が、みんな、アロハを着て陽気なので、研究所と言う固いイメージは全然なかった。
「気候の所為もあるかもしれないけど、みんな、楽しそうに研究してるよ。」
「僕も、こんなところでいろんなことを研究したい。」
「私も。」
「二人とも、おいで。僕が、推薦状書くから。」
「えっ、それって職権乱用じゃないの?」
「いやいや、優秀な研究者を育てるのも僕の仕事だから、大丈夫。」
それから、僕たちは、お父さんの研究室で色々教えて貰っていると、お昼になったので、近くのレストランで食事をすることになった。
ゴルフ場のそばのレストランで食事をして、そのままホテルまで車で送ってもらった。
「じゃあね。」
「失礼します。」
ホテルの前で降りて、そこで、僕も一旦明日香と別れた。
明日香は、ほんとは、3日目にサーフィンスクールの予定だったけど、友達の予定が変わって、2日目の午後に、アラモアナビーチで、サーフィンスクールでサーフィンを教えて貰うことになった。
そして、僕も、そのサーフィンスクールのレッスンの隣でサーフィンをやってみることにした。
僕は、ホテルのロビーでレンタルのボードを借りて、アラモアビーチに向かった。
ぼくが、アラモアビーチに着くと、すでに明日香たちは、現地の先生にサーフィンの乗り方からレクチャーを受けていた。
明日香も、随分久しぶりのサーフィンだったので、神妙に聞いていた。
一通りレクチャーが終わると、4人づつぐらいに分かれ、それぞれにコーチがついて海に入っていった。
僕も、気付かれないようにこっそり、明日香のグループについっていった。
コーチは、僕や明日香と同世代で、色黒のいかにも好青年といった感じだった。
近くで見ていたけど、しっかりと丁寧にポイントを押さえて教えていた。
最初に明日香が、波に乗るように指示された。体が、思い出したのか、最初から波に綺麗に乗ることができた。
「エクセレント!」
彼が、明日香をほめた。
次に、明日香の友達3人に、同じことを指示したが、全然乗れなった。
コーチは、仕方なく、他の3人に付き切りになってしまい、明日香がぽつんと一人になってしまったので、僕は、彼女に近づいた。
「相変わらず、上手だね。」
「久しぶりだったから、こんなにすぐできると思ってなかった。」
コーチの方を、見ると目が合った。
ちょっと、心配そうな顔をされたので、
「じゃ、僕は、向こうでかっこよくサーフィンしてくるね。」
「私も、そっちに行きたい。でも、コーチに失礼よね。」
「時々、状況見に来るよ。」そう言って、僕は、コーチにお辞儀して離れていった。
彼は、一瞬戸惑うような感じがしたが、そのまま、明日香たち4人を相手にレッスンを始めた。
僕は、そのまま波のある方に、ローカルルールを守りながら、サーフィンをしていた。
やっぱり、知らない土地でサーフィンすると、波が全然違うな、とか考えながら、何本か波に乗っていると、ローカルルールを無視した連中とぶつかってしまい、そのまま気を失ってしまった。
気が付いたら、ベッドに寝ていた。
ホテルのベッドかと思ったけど、もっと懐かしい天井だった。
横を見るとハイビスカスの髪飾りをした女神が座っていた。
「よかった。目を覚ましてくれた。」
「お父さん、ミナトさん、海人が、目を覚ましました。」
ぼくが、こちらに向かってくる人の気配のする方を見ると、明日香のサーフィンのコーチが笑顔でこちらに向かってきた。
そして、僕の手を握るなり、
「海人、よかった。目が覚めて。」
僕は、訳が分からず、明日香に助けを求める視線を送った。
「海人が、他の人とぶつかって、そのまま海におちたの見てたから、慌てて助けに行こうとしたら、ミナトコーチが先に駆けつけてくれて、そのまま。砂浜まで運んでくれたの。」
「それから、私に、彼の名前は、海人か?って聞かれたから。思わず、そうです。って答えたら。」
「そうか、なら、こいつの家ならわかる。と言って、どこかに携帯で電話してから、海人を私たちのロビーのホテルまで運んでくれたの。そしたら、しばらくして、海人のお父さんが来て、彼とお父さんと私でここまで運んできて、一晩中看病してたの。」
「ミナトコーチが、知り合いのお医者様にも連絡してくれて、とりあえず安静にしてれば問題ないって言ってた。」
「それと、この衣装は、途中であった恵さんが、私にこれを着てくださいって渡してくれて、着替えが無かったから、そのままお借りしてるの。」
「ミナトコーチ、ありがとうございました。」
「何言ってんだ、海人。頭でも打って、記憶喪失にでもなったか?」
「海人、港君だよ。子供の時にいつも一緒に遊んでた。」
「えっ、」記憶を呼び戻すのに数秒かかった。
そう言えば、子供のころ、体の弱かった僕が、お父さんの転勤について、お母さんとハワイで暮らしたことが有った。
その時は、毎日、少年野球チームの練習をフェンスの外から見てたら、ミナトがキャッチボール教えてくれたっけ。
「あっ、思い出した。少年野球でキャッチボールしてくれた港だ。」
「やっと、思い出してくれてありがとう。」
「彼女と話してるときは、なんだこいつ?と思ったけど、お辞儀したときに首筋に見たことのあるあざが有ったから、それでもしかしたらと思ったよ。お前、こっちに別荘有ったから、遊びに来てたのかと思ったよ。」
「彼女に名前を聞いたら、海人って言うから、やっぱりお前か!って思ったよ。でも、今は、見違えるように元気そうじゃん。サーフィンなんて、やりそうに見えなかったからな。」
「お互いにね。野球少年だったでしょ。」
「野球もやってるよ。サーフィンは、アルバイト。日本語しゃべれるから、それで日本人相手にサーフィンを教えてる。」
「たくましいね。」
「それより、この美人は、お前のガールフレンドか?」
「そうさ、そして、僕の命の恩人。だから、僕にとっては、女神さまだよ。」
「とるなよ。」
「OK、俺は、いつ壊れるかもしれない恋愛より、友情を取るタイプだから。」
「うそでしょ。明日香、港にだけは、気を付けてよ。ジュニアの時からいつも、女の子と一緒だったから。」
「でも、人は、好さそうよ。うちのグループの子もいいコーチって言ってたよ。」
「俺は、改心したんだよ。海人。」
「ハイハイ。」そう言って、そのまま、僕の別荘で夕方まで、3人でしゃべってた。




