修学旅行1
11時過ぎに、星野さんとの待ち合わせの駅に着いた。
暫くすると、約束の電車が、ホームに入ってきた。前から、3両目。
目の前の扉が開いたので、乗り込む。
この時間は、電車が空いているので、シートに座っている星野さんはすぐにわかった。
あれ?隣に僕と同じ制服の男子生徒が座ってる。しかも、ロン毛の美男子。スーツケースも持ってる。星野さんの知り合いかな?
目が合ったのに、向こうを向かれてしまった。機嫌悪そう。
恐る恐る星野さんの反対側に座ることにした。
こっそり、手話で星野さんに隣の人がだれか聞いてみよう。こっち見てないから、何聞いてるかバレないよね。
『星野さん、おはよう。』
『おはよう。』
『パスポート持ってきた?』
『持ってきた。』
『昨日は、よく眠れた?』
『お母さんが、色々言ってきて眠れなかった。』
『それは、かわいそう。』
『で、話変わるけど、反対側の彼、誰?』
『隣の彼は、いつもの彼女よ。恵の知り合いの。』
「えっ。ほんと?」僕は、電車中に轟く声を出してしまった。
少ないとは、いえ、社内のみんなが一斉にこちらを見た。
星野さんは、我関せずだけど、一つ隣の彼は、僕を思いっきり睨んだ。
「ごめんなさい。」
僕は、そう言いながら、彼の隣に席を移動した。
乗客は、それを見て、何事もなかったようにと言うか、関わらない方がいいかな的に知らんぷりを決め込んだ。
「おはよう。」
「おはよう。」まだ、怒ってる。
「今日は、どうしたの?」よく見ると、彼の制服は、今朝おろしたように綺麗だった。
しゃべってくれない。仕方ない、星野さんに聞いてみよう。
彼を挟んで僕は、星野さんの制服の袖をつまんだ。
気付いてくれた。
『彼?、彼女は、今日どうしたの?』
『昨日、先生にパスポートを配ってもらったんだけど、彼女に渡すときに、性別Ⅿになってるって、
言って、ごめんね、間違ってる。飛行機乗れないって。』
『でも、黙ってそれを受け取って。』
『今朝、待ち合わせの場所にいったら、こうなってた。』
「しょうがないだろう。」と彼がしゃべった。
僕が、びっくりしてると、
「前のガラスにお前らのやり取り、見えてるんだよ。」
見えてたんだ。
『でも、どうして。』
『私も知りたい。』
「だから、出国は良くても入国審査の時に、女性の格好だと本当にハワイに行けなくなるでしょ。」
僕の方を、見る星野さん。
『彼女は、彼だから、いつもの格好だと税関通れないから、男子の格好してきたんだって。』
『でも、美男子だからうらやましい。』
『ねえ。』
「もう、うるさいな。」
『声出してないよ。』『出してない。出してない。』
と言って、僕と星野さんは、笑い出した。
次の駅で、恵が乗ってきた。
「この人、誰?」と聞いたら、頭をはたかれてた。
そして、いつもの彼女とわかると、僕よりも大きな声で叫んでた。
「REARY?」
再び、頭をはたかれていた。
「お前にだけは、言われたくなかったよ。」
そして、僕と星野さんは笑い出した。
学校に着くと、4人は、そのまま食堂でご飯を食べて、バスに乗り込んだ。
彼は、2年1組のバスに乗ると騒ぎになるので、恵と入れ替わった。
2年4組のバス、僕の隣の窓側に座ってずっと外を見ていた。
恵は、星川さんの隣で、ばれないようにじっとしていた。
「点呼の時は、どうするのかな?まあ、恵だから、ばれても大丈夫だよな。」ぽつりと彼がいった。
「大丈夫だと、思うよ。それより、恵の荷物の方が心配だよ。」
「赤外線検査で、絶対引っかかると思うけど。」
「メイド服?」
「そう、メイド服。」
「しまった。自分も持ってくればよかった。」
「向こうで、買ったら?」
「おう、そうか、お前頭いいな。」
「ありがとう。」
そのまま、僕たちは、空港に着いた。
出国審査では、何事もなくみんなゲートを通り過ぎた。
僕は、空港内で一生懸命明日香の学校の制服を探したけど、見つけられなかった。
もしかしたら、私服かもしれない。聞いておけばよかったかな。
仕方なく、日本のお菓子を、売店で買うようにした。
「草加せんべいお父さん好きかな?ポテチも買っていこう。」
そのまま、搭乗時間になったので、恵と彼と一緒に飛行機に乗った。
機内食を食べて、眠って目が覚めたら、ハワイ。
なんか、夢のよう。そうそう、目が覚めたら、薬飲まなきゃ。
「あっ、しまった、スーツケースの中だ。」そう思ったけど、そのまま眠ってしまった。




