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ローカル  作者: 不機猫
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学園祭

 10月になった。

学校の中の樹木も、徐々に色づき始めた。

いつ見ても、イチョウの葉っぱだけは、変わった形をしていると思ってしまう。それが、黄色く色づくんだから不思議なことこの上ない。

僕が今開発している薬の研究が終わったら、今度は、イチョウの研究をしよう。

 教室に入ると、恵が、生徒一人一人に、今年の2年4組の文化祭は、メイド喫茶でよろしくお願いします。と声を掛けて回っていた。そのうち、賄賂でも使いそうな勢いだった。

たしか、今日のホームルームで、2年4組として、何をするか決める日だ。

11月には、修学旅行が有るので、メイド喫茶でもいいかな?と思ったが、たぶん、僕もメイド服を着るような羽目になるかもしれない。ここは、断固阻止しよう。

お化け屋敷は、準備が大変だし、やっぱり普通の喫茶店あたりが、手間がかからなくていいなと思った。

 ホームルームでは、恵が、目をランランと輝かせていた。

「今日は、2年4組が文化祭で何をするか決めたいと思います。」

「クラスの出し物として、何をしますか?」

「はい、恵さん。」

「メイド喫茶が良いです。」

「男子は、どうするんですか?」

「メイドになってもらいます。僕が、メイド服を借りてきます。」やっぱり、男子もメイド服をきせるつもりだったか。

そう言ったとたん、クラスの猛反対を受けて、普通の喫茶店にきまった。

 但し、女子の中には、メイド服を着たいという声もあったので、恵は、女子用のメイド服を手配することで納得した。多分、自分もその中に紛れ込む魂胆だろう。

 あっという間に、文化祭の日がやってきた。

 僕は、というとここでも、朝から家庭科室でひたすら、玉ねぎのみじん切りを作っていた。

『やっぱり、メイド喫茶と言えば、オムライスでしょう。』と普通の喫茶店に決まったのに、メイド喫茶にこだわる恵の案で、メニューは、ペットボトルのコーヒーとジュースを紙コップに入れかえて出すのと、オムライスに決まった。

そして、僕の隣には、メイド服の格好で、ひたすら、オムライスを作っている恵がいた。

それを、クラスのみんなが取りに来て、お客様に出すのだ。

それが、結構評判で、恵は、1度もクラスに戻ることができなかった。

 僕は、というと残念なことに明日香の高校の文化祭の日にちが重なってしまったので、恵と一緒に家庭科室にこもることになった。

 さすがに、1日中玉ねぎのみじん切りを作ってるわけにもいかず、ボスと優香さんと京香さんが来てくれた時に、バックレた。

「じゃ、恵、ボスが来たから、案内してくるね。」

そう言って、僕は、家庭科室から逃げ出した。

校舎の入り口で、ボスがちょうど受付をしているところだった。

「ボス、優香さん、京香さんいらっしゃい。」

「今日は、楽しんでいって下さい。」

「うちのクラスは、恵がいるので最後にしてください。もしかしたら、調理場から出てくるかもしえないので。」

ごめんね、恵、ゴキブリみたいな言い方して。

「海人、来たよ。」

「残念だったね、明日香も同じ日に文化祭だって。」

「大丈夫です。修学旅行でハワイで会えますから。」

「海人の学校も、修学旅行ハワイなんだ。」

「ワイキキビーチでサーフィンしなよ。クイーンズ行くなら、ローカルルール教えてあげるよ。」

と、優香さん。

「実は、優香さんと僕の出会いは、ハワイのワイキキビーチなんだ。」とボス。

「ワイキキで、迷子になってるボスをホテルまで連れて行ってあげて、翌日からサーフィンを教えてあげたってだけだけど。」

「へぇ、そうなんだ。」

「ところで、海人、今日は、どこ、案内してくれるの?」と京香さんが腕を組んできた。

ボスに助けを求めようとしたら、優香さんと腕を組んでいたので、まあ、いいか?将来、お姉さんに

なる人だし。

「じゃ、最初に星野さんの教室から行きますか?」

 そう言って、僕は、2階の2年1組の教室に向かった。

「たしか、星野さんのクラスは、お化け屋敷だったように思ったけど。」

2年1組の教室をのぞいたけど、星野さんは見当たらなかったので、とりあえずお化け屋敷に入ることにした。部屋を暗くして、段ボールで迷路を作り、突然外から、段ボールを叩かれたり、幽霊の格好をした人が脅かしたりしていた。

 釣り竿でこんにゃくを垂らして、ボスと優香さんをしつこく攻める子がいるなあと思ったら、星野さんだった。

 二人は、星野さんに気付かずに、キャアキャア言って逃げていった。

次は自分たちの番と思ったら、星野さんと目が合った。

『こんにちは。京香さんも一緒だよ。』

二人が、腕を組んでるのを見て、星野さんは、こんにゃくを振り回してきた。

京香さんも、キャアキャア言って、僕と一緒にその場を逃げていった。

 お化け屋敷の外で、しばらく待っていると星野さんが出てきた。

そして、僕と入れ替わるように、京香さんの腕を奪って組んで歩き出した。そして、睨まれた。

(違うって。僕は、明日香さん一筋だって。京香さんが、組んできたんだって。)

そのまま、2年2組のゲームコーナー、2年3組の展示を見て、2年4組の喫茶店に来た。

「おかえりなさい、ご主人様。」

とどこかで、聞いた声が聞こえてきた。そこには、ばっちりお化粧を決めた恵がいた。

「恵、来たよ。」

「4名様、ご案内します。」あれ、僕は?

「海人は、今から、家庭科室で、オムライス4つ作ってきてね。」

仕方なく、ぼくは、家庭科室に行ってオムライスを作った。

「恵、オムライス持ってきたよ。」って言うと、奪うように受け取ると、4人の所に持っていった。

「おいしくなる魔法を、おかけします。」そう言って、ポーズを決めながら、ケチャップでハートマークを描いた。さすがに、本職は、堂に入っていた。

「オムライスの形もきれいだし、絵も上手。」とみんな、写真を撮り出した。

「おいしい。」とみんなが言い出したので、他のお客さんもオムライスを注文しだした。

「ということで、海人君、オムライスよろしく。」と恵が言った。

「すみません、そう言うことなので、僕は、ここで抜けます。」

『星野さん、後お願いします。』

僕は、そのまま、家庭科室でその日が終わった。

そして、恵は、思う存分自分の存在価値をアピールしたみたいだった。

後から、聞いた話だけど、メイド喫茶の店長も来てくれたみたいで、オムライスのおいしさに感動して「作り方教えて!」と言って、帰っていったとのことだった。

そうして、あっと言う間の学園祭が、慌ただしく終わった。










































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