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ローカル  作者: 不機猫
34/71

日曜日

 昨日は、あれから、ボスと優香さんをウッドデッキのソファーに追いやってから、みんなで後片付けを始めた。

恵は、バイトで慣れているのか、器用にテーブルから食器を運び、洗い場に持ってきた。そこでは、明日香と僕が、食器を洗い、それを星野さんが拭いて、京香さんが、食器棚に収納していった。

京香さんは、恵の動きを見て、

「うちに、メイドとして雇いたい。」といった。

「そんなことしたら、うちの店長と秋葉原大戦争が勃発しちゃいますよ。ダメダメ。」

みんなが協力したおかげで、10分ぐらいで片付いてしまった。

それから、僕たちは、ボスと優香さんのところにいって、

「ボス、ご歓談のところ、すみません。僕たちを祖父母のおうちまで送っていただけませんでしょうか?」

ちょっとだけ残念そうなボス。すかさず、優香さんが

「行きなよ。今日のことは、夢じゃないから大丈夫だよ。いつでもくればいいよ。」

と言ってくれた。

「じゃ、お言葉に甘えて、行ってきます。」

「行ってらっしゃい。」

「ボス、すみません。私も乗せていってください。おじい様、おばあ様のご挨拶したいので。それに、両親からお土産も預かってきてます。」

「あれ、メイドと星野さんは?」

「ああ、恵は、着替えにいった。星野さんは、あのメイドが本当に恵か確認するって、ついて行っちゃいました。」

 多分、それは、口実で、恵が、耳が不自由でも相手の心の声が聞こえるという特殊能力で活躍する、少女アニメの話をしていたので、それで少し、コスプレに興味を持ったのかも知れない。

 暫くして、二人が戻ってきた。

『本当に恵だった。すごい!今度、化粧の仕方教えてもらう。』

「皆さん、揃いましたね。では、出発しましょう。」

そう言うと、京香さんと優香さんに、『また、来ます。』って、挨拶してから、ボスと一緒に、車の所に向かった。

夜だったので、道が空いていたので小一時間ほどで、祖父母の家に着いた。

 途中で、恵が、『女の子二人と海人が、一緒の屋根の下に泊まるなんて許せません。今晩は、僕も海人の部屋に泊まります。』と、言い出した。

僕は、まだ帰ってから明日香と色々話したいことが有ったので、遠回しに、「恵、お泊りセット持ってないでしょ?」って、聞くと、「大丈夫です。明日は、メイド服を着たまま、海人の家から、バイト先に出勤します。」といった。

『まあ、とりあえず、着替えだけはしてあるから、大丈夫かなって、化粧も落とせよ。』と思ったけど、もう暗いから祖父母にはバレないかな?

 祖父母の家について、一番はしゃいだのが、恵だった。

「しまった、これなら、メイド服脱ぐんじゃなかった。ここで、いっぱい写真を撮りたい。」

「星野さん、今度メイド服持ってくるから、写真の撮り合いっこしない?」

「あっ、ずるい。私も、混ぜて!」と明日香。

「あのう、すみません。ここ、僕のおうちなんですけど。」

「海人の意地悪。」3人の声が、ハモった。

先に、星野さんと恵を部屋に案内してから 

僕と、明日香は、応接のおじい様と、おばあ様に挨拶に向かった。

「今日は、すみません。突然押しかけまして。これは、父と母からです。」と言って、地元のお菓子の詰め合わせを渡した。

「先回持って来て頂いて、気に入ってたお菓子だわ。ありがとう。ご両親様にも、よろしくお伝えしてね。」

「はい。」

「自分たちは、もうすぐ寝るので、もしよかったら、ここを使ってもいいよ。」

「つもる話も、あるでしょう。」

「ありがとうございます。」

 そう言って、僕と明日香は、二人を見送った。

でも、ふたりは、疲れていたのと恵と星野さんが気になったので、部屋に戻ることにした。

 そして、日曜日。

僕は、朝からメイド服の恵に起こされて、庭から部屋から、そこら中で写真を撮らされた。

 おなかが、空いたので食堂へ2人で行くと、そこには、かわいい明日香と星野さんが、美香さんと一緒に朝ご飯の準備をしていた。

僕は、恵に返したカメラを奪い取って、明日香そして、星野さんを撮り出した。

そのうち、恵も配膳を手伝いだした。

そこに、祖父母がやってきた。

「今日は、朝からにぎやかでいいの。」

「十歳ぐらい若返った気がする。」

「おや、綺麗なお嬢さんが3人も来てたとは、知らなかった。」

「海人のお友達って聞いてたから、男性だと思ってたわ。」

恵が、思わずしゃべりそうになったので、彼の目を見て、口の所に指を立てた。

うなずく、恵。

 朝食が終わって、僕は、恵と明日香を東京駅に送っていくことにした。

星野さんは、興味深々で、『恵のバイト先をのぞきに行く!』と言ったので、明日香と僕もちょっと恵のバイト先に寄ってから帰ることにした。

 恵のバイト先に行くと、男装した店長が、出迎えてくれた。

そのまま、明日香にハグしたので、星野さんが、慌てて止めようとした。

『どうして、海人止めないの?海人より、美男子よ。』

『いや、店長は、大丈夫だよ。女性だし。』

『ほんと?』

星野さんの目が、点になった。

 恵が、残念なことに化粧を直すだけですぐにフロアに出てきたので、しばらくお店にいることになってしまった。

そこから、お客さんが少ない間に恵の誕生日パーティしましょうとなって、みんなでケーキを食べた。

知らない間に、星野さんもメイド服を着て喜んでいた。

明日香は?さっきトイレって言ってたけど、気付いたら、星野さんと店長と3人並んで写真を撮っていた。

「明日香、そろそろ帰るよ。」と言うと

「海人の意地悪。」と、明日香、星野さん、恵そして店長まできれいにハモった。

「でも、明日香、帰り混むからって、指定席取ったでしょ。そろそろ行かなきゃ。」

 さすが、明日香のお父さんとお母さん、明日香の寄り道しそうな性格を見抜いてる。助かります。

明日香は、仕方が無いなあ、って顔で、着替えに行った。

星野さんも、『明日香さんを送りたい。』と言って、一緒に着替えに行った。

恵は、お店が忙しくなったので、一生懸命注文を取っていた。

 それから、僕は、着替えの終わった明日香と星野さんを引き連れて、店長に挨拶&お会計をして東京駅に向かった。

 東京駅に着くと、しばらくして明日香が乗る車両が来たので、握手して、別れた。

その後、星野さんと明日香が、ハグしてお別れしてたので、

『ふたり仲、いいね。』

『そうなの。昨日お風呂で、いっぱいしゃべった。』

新幹線の扉が閉まった。

『明日香、手話できたんだ?』

『この日のために、勉強しました。』

『ありがとう。』

 声は、聞こえないけど、二人の会話が成立した。いままで以上に、心が通じ合えたように思った。

それで、僕は、うれしさのあまり涙をこらえるために、明日香の乗った新幹線が見えなくなるまで見送った。

『星野さん、帰ろう。』










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