食事会
祖父の家は、お母さんの家から小1時間ほどかかった。
自動で開く門を開けて、ミニがその大きな屋敷の駐車場に入っていった。
玄関をあけて、
「 こんにちは!」と「ただいま!」の声が重なった。
「そうだ。玲子さんもこの家に来ればアーシャと一緒に暮らせるよね。」
「そうね。考えとくわ。」
それから、僕と玲子さんはリビングの祖父と祖母に挨拶して、台所を借りるようにした。
料理の材料は、途中のスーパーで買ってきた。
ちょっとしたパーティが出来そうな位、材料を買ってきた。
唐揚げに、エビフライ、ローストビーフにお刺身、そしてサラダにちらし寿司も作る予定です。
「5時ごろまでにできるかな?」
「大丈夫よ。さあ、やりましょう。」
久しぶりに今日は、玲子さんが料理するところが見れる。
最初にいくつもある調味料を分量を測りながら、手際よくいくつも作っていた。
それは、まるで科学の実験の準備の様だった。
でも、それはすべて料理を作るための下準備。
それが、一通り終わると今度は、食材を器用にカットしだした。
包丁とまな板が奏でる、トントントンというリズム。
この音を聞くだけで、料理のうまさが想像できる。
最初はサラダ用の野菜をカットして冷蔵庫にしまうと、今度は、エビの背ワタを取る。鶏肉の筋をとったり、肉の塊をタコ糸で縛ったりと流れるように料理を作っていく。
さすが、玲子さん。段取りに無駄がない。
「料理長、お客様が来る30分前になりました。」
そう僕が告げると、
「海人、エビフライと唐揚げは、明日香さんたちがいらっしてからでいいわね。食器の準備手伝って。」
「ローストビーフは、今オーブンに入ってるから大丈夫。一通りは、準備ができたわね。」
食堂の食器の準備が一通り終わったころに、玄関のチャイムが鳴った。
お手伝いの美香さんが、玄関を開けてくれた。
ぼくと玲子さんが、迎えに行くと
そこには、明日香と京香さんと明日香のご両親が立っていた。
玄関で周りをキョロキョロ見回す京香さんとご両親。明日香は、悠然と立っていた。
以前来て、じっくり見たもんね明日香は。
「いらっしゃい。お待ちしてました。」
「どうぞ上がってください。」
「海人、とりあえず部屋までご案内して。」
「お部屋で、ユックリしていてください。それともお風呂に先に、入られます?」
聞きながら、玲子さんが美香さんの方を見るとニコッと微笑んだので準備はできているようだ。
すると、明日香のお父さんが、
「本日は、お招きいただきありがとうございます。お口に合うかどうかわかりませんが、地元のお菓子です。」と言って、地元で有名和菓子を玲子さん手渡した。
「わあ、懐かしい。ありがとうございます。食後に皆さんで頂きましょう。」
僕が、明日香の家族の荷物を持とうとすると、どこからかボスが現れ、
「一緒に運びます。」と言ってほとんどの荷物を持ってくれた。
玲子さんもそれを見て「ボス、ありがとう。」と言った。
最近、玲子さんもボスをボスと呼ぶようになったので、会社では、社長のボスって誰?って、状態になっているようだ。
「明日香、部屋は、どこにする?」
「お父さんとお母さんは、2階の中央でおねえさんと私は、その隣ね。」
「おねえさんを見張ってないと、何するかわからないから。」
「そうだね。ボスは、ここの2階初めて?」
「この家に上らせていただくのも、初めてですよ。」
「廊下の花瓶とか気を付けてね。結構高いものらしいから。でも、もし壊したら僕に言ってね。将来僕のものになるから。」
「ダメよ。わたしに言ってね。将来私のものになる可能性も、有るから。」
「はいはい、わかりました。」
後ろで、その会話を聞いてたご両親が一番気を使ってたように思う。
おねえさんは、平気で触っていたし、ボスは、何度も鞄にぶつけていた。
おじいさんが見てたら、顔が引きつっていたかも。
「お父さんとお母さんは、こちらのお部屋になります。部屋の中には一通りの設備は整ってますから。」
「明日香とおねえさんは、こちらのお部屋になります。」
ボスは、それぞれの部屋に荷物を運びこんだ。
「お疲れ様です。ボスも今日は、泊まっていきなよ。ご飯も準備してあるから。」
「おじいちゃんと3人で、お風呂入ろうよ。」
「えつ。良いんですか?」
「良いよ。おじいちゃんも喜ぶよ。」
「じゃ、よろしくお願いします。ちょっと、着替えを近くのコンビニで買ってきます。」
そう言って、ボスは、着替えを買いに階段を下りていった。
僕も、台所に戻って、おじいちゃんの好物の茶わん蒸しを作ることにした。




