猫と休息
化粧は、仕方が無いのでそのままにして、明日香のお父さんとお母さんのところに向かうようにした。
最後に店長に
「今日は、ありがとうございました。」と挨拶すると
「また来てね。」とウインクされた。
やばい、明日香が、東京の大学に来るようになったらバイト先がここになりそう。
そんなことを思いながら、僕たちは、東京駅に急いだ。
20分位で東京駅に着くと、お父さんとお母さんは、2人仲良く腕を組んで待っていてくれた。
「お待たせしました。すみません。遅れてしまって。」
「これから、ホテルに向かいます。浅草の方です。」
「明日は、家族水入らずで、浅草寺とスカイツリーと上野動物園と回って、夕方に僕の祖父母のところに来てください。」
そう言って僕は、明日香様ご一行を本日の宿泊施設に案内した。
ホテルのロビーでチェックインの手続きをしているとボスが、優香さんと一緒に京香さんを連れてきた。
「今晩は。お久しぶりです。」とぼくは、優香さんに挨拶した。
「ほんと。久しぶりね。東京にいるんでしょ。また一緒に遊びましょ。」
「ボスも一緒にね。」心配そうにボスがこっちを見たので、そうぼくは答えた。
「いらっしゃい。」と京香さんが、挨拶をした。
明日香は、久しぶりに会う姉の腕に手を回して嬉しそうだった。
「いつもお世話になってます。」と明日香のご両親が、優香さんとボスに挨拶した。
「じゃ、僕たちは、これで失礼します。」
「明日の夕方に自分が、こちらにお迎えに上ります。みなさんそれまで、東京見学楽しんでください。そのあと、海人のお家にお連れします。」
とボスが言った。
「僕は、色々準備してお待ちしてます。あすは、うちの母も来ますのでよろしくお願いします。」
「こちらこそ、よろしくお願いします。」
そう言って僕たちは、ホテルのロビーで別れることにした。
「海人、お疲れ。今日は、先に送っていくよ。」
「晩御飯、まだなら一緒にたべる?」とボス。
「そうしなさいよ。」と優香さん。
「すみません。今晩は、母親と晩御飯の約束をしているので帰ります。」
「ボス、すみません。お母さんのマンションまでお願いします。」
「すみません。いつも、運転手のように使ってしまって。」
「良いよ。海人は、弟みたいなもんだから。頼られてるようで、気持ちいいよ。」
「そうそう、どんどん使ってやってね。」
「すみません。」
そのまま母親のマンションに降ろしてもらった。
ぼくは、2人の乗った車を見送るとふっと、ため息がでた。
本当は、祖父母の家まで送ってもらう予定だったけど、今日はちょっと疲れてしまった。
思わず、近くの母親のマンションに送ってもらった。
オートロックに鍵を差し込みドアを開けて、エレベータに乗り込み、8階を押した。
マンションのドアを開けると、アーシャの泣き声が聞こえてきた。
リビングの扉を開けると、アーシャが足元にすり寄ってきた。
「今晩は、アーシャ。今日は、ここに泊めてね。」
そう言ってアーシャを抱き上げた。
まず、お風呂にお湯を入れて、それからアーシャのご飯をセットした。
今度は、冷蔵庫から、冷凍食品のスパゲッティを取り出しレンジで温めた。
アーシャと並んで食事をしていると、母親が帰ってきた。
「お帰り。」
「ただいま。」
「今日は、こっちだっけ。」
「ううん。ちょっと疲れたからこっちにした。」
「そうなの。ちょっと待ってて。今、お味噌汁とサラダと簡単な料理作るから。」
「うん。その前にお風呂入っていい?」
「良いわよ。でも、お風呂で寝ないでよね。」
「本当は、お風呂で寝そうだったから、お母さん帰ってくるの待ってた。」
「そうなの?よかったわ、今日は、早く仕事が終わって。」
「毎日、忙しそうだね。明日は、大丈夫?」
「午前中ちょっと仕事するけど、それが終わったら月曜の朝までフリーよ。」
「よかった。じゃ、お風呂入るね。」
そう言って、僕は、お風呂に入った。
さっきの僕の言葉を聞いて、お風呂で寝ないか心配してくれるのか、アーシャがお風呂のドアの前で動いているのが見えた。
お風呂上りにオレンジジュースを飲んで、それから玲子さんの手料理を食べて寝ることにした。
アーシャは、僕がベッドに入ると横に来て寝そべった。
「お休み。アーシャ。夜中に起こさないでね。」
次の日、気が付いたら、10時を過ぎていた。アーシャは、知らない間に部屋を出て行ったみたい。ちょっと寝すぎたかな。でも気分は、だいぶ良くなった気がする。
部屋のカーテンを開けると、暑そうな日差しが僕を射抜いた。
エアコンの音と玲子さんのパソコンの音が、リビングからかすかに聞こえてきた。
やはり、昨日は、明日香に会えた嬉しさでちょっとはしゃぎ過ぎたみたいだ。
今日は、おじいちゃんの家だからゆっくりできるかな。
「おかあさん、おはよう。」
「よく寝てたわね、ご飯食べる?」
「うん。」
「歯、磨いてくる。」そう言って僕は、洗面台に向かった。
途中でアーシャとすれ違た。
「アーシャ、おはよう。」僕がそう言うと、アーシャを尻尾をピンと立てた。
歯を磨いて、再びリビングに行くと、テーブルの上にトーストとサラダと目玉焼きが置いてあった。
「仕事もうすぐ終わるから。そうしたら、おじいちゃんのところに行きましょ。」
「今晩の準備しなきゃ。でも、ゆっくりでいいわよ。アーシャとも遊んであげて。久しぶりでしょう。」
「うん。」やっぱだめだ。玲子さんと一緒だと甘えてします。
ご飯を食べ終わると、食器を洗って僕は、玲子さんのお仕事の邪魔にならない様に、別の部屋でアーシャと遊んだ。ティッシュペーパーを丸めて投げると、くわえて持ってくる。
まるで、わんこみたい。
しばらくして、お母さんがやってきた。
「仕事終わった。」
そう言って、玲子さんが僕に抱きついた。
「お疲れ様。」
「ちょっと休憩。」
しばらくそうしてから、玲子さんは、パワー注入と言ってシャワーを浴びに行った。
ぼくも着替えないと。
30分後に、僕と玲子さんは、ミニに乗って祖父の家に向かっていた。
「おかあさん、アーシャをおじいちゃんの家に連れて行っちゃダメ?」
「ダメよ。あんな広い家に連れて行ったら、迷子になっちゃう。」
「それに、アーシャが居なくなると会社に入りびたりになるし、あなたも来なくなるでしょう。」
「わかった。僕がおかあさんのところに、来ればいいんだよね。」
「物わかりがいいね、今日は!」
「アーシャもあのマンション、気に入ってるみたいだし。」
「昨日は、どうだった?」
「楽しかった。明日香さんとコスプレした。」
「そう。でも、あんまり無理しないでね。そばにいるから、以前ほど心配にはならないけど。」
「ありがとう。注意するよ。」




