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ローカル  作者: 不機猫
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図書館で出会った少女

 僕は、そのまま、ボスの待つ学校の正門に向かった。

「すみません。お待たせしました。」

ボスは、車の外で待っていてくれた。送迎付きのお坊ちゃまのように見られるのが嫌で、僕はいつも助手席に乗るようにしていた。

僕の家族と明日香とボスだけが、僕の病気のことを知っている。

僕の病気のことは、母親から聞いたみたいだけど、とりあえずそのことは内緒ということになっているようだ。

だから、お互いそのことは何も言わない。

「海人、今日は、学校どうだった。」

いつものようにボスが聞いてきた。

「午前中は、数学と物理、午後は、英語の授業が有ったけどいつもの通りかな。」

「その後、大学の図書館で本を読んでた。」とりあえず、今日話しかけた彼女のことは、黙っていた。何故だろうと思ったけど、たぶん茶化されるのが嫌だったのとのと、なんとなく彼女のことは明日香に最初に話したかったからかもしれない。

 無事に、祖父の家に着いた。ボスは、門の前で僕を下すとそのまま帰っていった。

その日の夜、ぼくは、ちょっと長めのお風呂の後、リンゴジュースを飲みながら、明日香に電話した。

いつも通り、4コール目で明日香は電話に出てくれた。

「もしもし。」明日香のかわいい声が聞こえてきた。

「海人です。今、良いですか?」

「ちょっと、声が聴きたくて電話しました。」

 それから、ぼくたちは、学校での出来事を話し合った。そして、耳の不自由な彼女のことを話した。

「今日、大学の図書館で医学の専門書を見ていたら、耳の不自由な子から、突然、手話で話しかけられた。最初は、全然手話ってわからずに、首をかしげていると、僕が持ってきた本を見せてほしいってノートに書いて見せてくれた。」

「手話って初めてだから、ちょっとびっくりした。」

「そうなんだ。」

ちょっと明日香の声が、不機嫌そうになった。焼いてる?

「たぶん、その子も僕と同じ病気かもしれない。」

「だって、彼女は、ぼくが前に読んでいたのと、同じ本を机の上に置いてた。」

「そうなんだ。今度、東京行ったときにその子紹介してね。」

「えっ、まだ話もしたことないけど。」

「今度、明日香が東京に来た時に声をかけてみるよ。」

「わかったわ。」

 お互いもうすぐ期末テストが近いから、それで電話を切ることにした。

期末テストが終わると夏休み。今年は、明日香のおねえさんも東京に居るので、ご両親と一緒に東京に来ることになっていた。

ホテルに滞在する予定だけど、一泊は、祖父の家に泊まって、もう一泊は、おねえさんの家に泊まる予定になっていた。それから、御両親が帰った後に明日香は、おねえさんの家に泊まって、来年の受験に備えて大学を見て回る予定だった。

 もしかしたら、その時に彼女に会ってもらえるかもしれない。

もし,彼女が僕と同じ病気なら、色々なことを聞けるかもしれない。

そう思いながら、ぼくは、期末テストの勉強をした。

そのまま、大学に上れるにしても医学部は、別枠だった。

受験のためにも、高校の基礎勉強は、疎かにできない。

また、どこに病気を治すヒントが隠れているかもしれない。

だから、体の調子を崩さない程度に時間制限を決めて、勉強することにしていた。

とりあえず、期末テストで良い成績を残さないと内申書に影響しそう。

自分の体と相談しながら、何とか期末テストは、乗り切ることができた。

夏休みまで、後1週間。

 それまでに、この高校でも、学年順位の発表がある。

夏休み前に発表することで、生徒たちの気を引き締め、夏休みも勉強をさせようという魂胆らしい。

そのおかげで、夏休み中もエアコンの効いた図書館が開いているので、勉強したい人間には、素晴らしい環境だった。

 終業式の前日、廊下の掲示板に学年順位が張り出された。

2学年1位、星野玲492点、2位山田海人465点、3位恵正也462点・・・。

何とか、2位をキープできた。でも1位とは、ちょっと点数空いたかな?

さすがに東京の高校は、優秀な生徒ばっかり。

3年まで、この順位持つかな?

でも、医学部だともう少し、ランクアップしないと難しいかも。

お母さんに頼んで、予備校に通わせてもらおうかな?

その方が、たぶん効率がいいかもしれない。

そんなことをちらっと思ったけど、もうすぐ明日香に会えることですぐに頭の中がいっぱいになった。

教室に戻ると、一人の生徒が声を掛けてきた。

「山田君、すごいね、今年転校してきたと思ったら、いきなり学年2位なんだ。」

「ありがとう。たまたま、ヤマが当たったんだよ。」

「あっ、失礼。自己紹介が遅れました。今まで、学年2位だった恵正也です。」

「・・・」

 暫く言葉がでなかったけど、悪気はなさそうなので、彼が差し出した右手を強く握った。

「これから、もよろしく。」

「こちらこそ。」

「恵は、1位の星野さんて、知ってる?」

「それが、謎なんだよね。」

「僕も、中学1年からここにいるけど、あの名前聞いたことが無いんだ。」

「生徒にやる気を出させるための、学校側の陰謀っていう噂も有るんだ。」

「そうだよね。あの難しいテストであの成績は、すごいよね。」

そう言いながら、二人は、慰め合った。

もしかして、恵、今まで学年1位だったの?いきなり2人に抜かれた?ごめんね。


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