ホームタウン
「京香さん、アパートはどうでした?」と僕が尋ねると
「大学からは遠いけど、海が近くていつでもサーフィンができそうな平屋の一軒家で、部屋が5部屋ほどあって、そこに優香と一緒に住むことにしたの。」
「それと、時々玲子さんもサーフィンをやりに来るって。」
「あと、部屋の掃除は毎週ボスが、来てくれることになってる。」
「それに、家賃も3等分だから結構安いのよね。月に3万円だって。東京に就職するならそのままいてもいいって。」
「明日香も遊びに来ていいよ。」
「へえ、そうなんですね。だから、ボスは、あっさり帰ったのか。」
「お姉ちゃん、私の方も聞いて。海人のおじいさんとおばあさんのお屋敷に、いつでも来ていいって言われたのよ。とっても大きくて、レトロで素敵なの。お姉ちゃんも来ればよかったのに。お風呂も広くて泳げそうだった。」
「へえ、そなんだ。3日じゃ足りないよね。きのうは、Dランドにもいったんでしょう。良いな。」
「お姉ちゃんも、こっちに引っ越して来ればいつでも行けるでしょ。」
「明日香だって、東京の大学に来ればいつでも行けるよ。」
「でも、ほんとに楽しかった。」
「僕も、楽しかったです。」
「そうそう、海人君、優香がまた会いたいって、うるさかったよ。」
「初めて、サーフィン負けたって。」
「明日香、ちゃんと、飲んで妹の彼氏だからちょっかい出さにように言っといてあげたから。」
「ありがとう。」
「あら、否定しないのね。残念。お姉ちゃんも狙ってるのに、なんてね。」
それから、新幹線から、在来線に乗り換えると、急に見慣れた風景に安心感を覚えた。
「ローカル線に乗り換えると、なんか落ち着くわよね。」
「戻ってきた感じ、しますよね。」
「でもまた、来月から東京ですね。」
「引越し、手伝ってね。」
「わかりました。ボスも呼びましょう。」
そう言いながら、僕らは、いつもの駅に着いた。
「お疲れ様でした。」
「お疲れ。」そう言って、僕たちは、それぞれの家路についた。
その日の夜、僕は明日香に電話した。
「もしもし。明日香です。」
「今晩は。なんか声が聴きたくて。」
「私も、今電話しようと思っていたところ。」
「東京は、どう?って言うか、ごめんね、うちの家族に会ってもらって。気疲れしたでしょ。でも明日香に紹介できてよかった。」
「大丈夫。でも、よかった。色々見れたし…。皆さんに、気に入られたかな?」
「みんな、明日香のことは気に入ったみたいだよ。あんな楽しそうなお母さん、見たことない。それに、祖父と祖母も楽しそうだった。アーシャも気にいったみたい。」
「ありがとう。好きになったのが、明日香でよかったよ。」
「私も。」
「また、明日から勉強頑張るよ。」
「来年は、東京の高校に編入するの?」
「たぶん、そうする。」明日香も一緒にって言いたいけど、それはできない。
それぞれの事情もあるし、あまり明日香を振り回したくない。
「夏休みとかは、帰ってくるよ。」
「絶対ね。」
「わかった。何があっても、僕の女神様は離さない。覚悟してね。」
「良いわよ。」
「じゃ、お休み。」
「お休みなさい。」




