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ローカル  作者: 不機猫
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遊園地

 6畳ほどもあるお風呂を二人で使っていると旅館に来ているみたいだ。

窓からは、綺麗な庭が見渡せた。

洗い場も3つぐらいある。

「海人、元気そうでよかった。体つきもたくましくなって、見違えるようじゃの。」

「おじいちゃんこそ、82なのに筋骨隆々。」

「おじいちゃんの年代は、体が勝負だったからな。」

「背中流すよ。」

そう言ってぼくは、おじいちゃんの背中を流した。

「明日香さんか、彼女もなかなかよさそうな女性じゃないか。」

「僕の女神だよ。命の恩人。ぼくが、おかあさんの田舎に引っ越した時に、いじめられたのを彼女に助けてもらった。」

「そうか。それは、よかった。」

「うちの家系は、何かあった時に必ず女神様のような、女性が助けてくれる。」

「おばあちゃんは、おじいちゃんの女神なの。」

「そうじゃな。女神以上じゃ。」と言って、祖父は大きな声で笑った。

「今度は、お父さんと3人で入りたいな。」

「そうだな。自分が生きている間にそうしたいな。」

 祖父の何気ない言葉に、一瞬胸が詰まった。

ぼくが生きている間に、早く3人でお風呂に入らなきゃ。

僕が、祖父に晩酌の相手をしていると、やっと玲子さんたちがお風呂から戻ってきた。

「おかあさん、お腹すいた。待ちくたびれたよ。」

 料理は、すでに美香さんが運んでくれていたけど、みんなが揃うのを待っていた。

「ごめんね。お風呂が楽しくて長湯してしまったの。」

「ほんとに、良いお風呂ですね。また、入りたい。」と明日香。

湯上りの明日香もかわいい。思わず見とれてしまった。

祖父も「湯上りの明日香さんも、玲子さんも、おばあさんも別嬪さんじゃの。」と幸せそうに言った。

 晩御飯は、みんなが落ち着いて食事ができるように、仕出し屋さんのお弁当が準備されていた。これも、玲子さんが手配したものだった。

「これ、近所の仕出し屋さんのお弁当なんだけど、結構おいしいのよ。」

「ねえ、お父さん。お酒のあてに良いでしょ?」

「ああ、わしも好きだな。この煮しめと酢の物は好物じゃ。」といって、さっきから一人で先に食べ始めていた。今は、もう顔が赤い。

「明日香さんのおねさんの分が余ってるから、美香さんも一緒に食べましょう。」そう言って玲子さんは、お手伝いの美香さんもテーブルにつかせた。この辺の気遣いはさすがだと思う。

「じゃ、頂きます。」

僕の隣に座った明日香も美味しそうにお弁当を食べ始めていた。

「あっ、すみません。お味噌汁入れますね。」と言って立った美香さんの後を、ぼくと明日香も一緒に席を立って手伝いに行った。

 お味噌汁をお盆に乗せて持っていくと玲子さんが、

「息ぴったりね。ありがとう。」と言った。

「お父さん、お母さん、明日は、海人と明日香さんとDランドに行ってきます。

帰りが遅くなるかもしれないので、明日は、私のマンションに泊まってもらうようにします。」

「アーシャにも会いたいから、明日おかあさんの所に泊めてもらうようにお願いしたんだ。」

「明日香さんもここが気に入ったなら、いつでも遊びにきて。三人だけじゃ寂しくて。お部屋もいっぱいあるし、またお風呂も一緒に入りたいわね。海人が、一緒じゃなくてもいいわよ。」

「東京の別荘と思って、いつでも来てくれ。」

「はい。また来ます。お邪魔でなければ今度は、姉も連れてきます。お部屋とお風呂を見せてあげたい。」

それから、僕たちは、楽しく食事をした。

 次の日の朝、僕たちは、9時過ぎに祖父の家から、玲子さんのミニクーパーで出かけた。

三人とも、子供に帰ったようにはしゃぎまわった。特に、玲子さんが、一番はしゃいでいた。

「お母さん、また来たいね。」

「そうね。明日香さんがいると、ほんとに楽しいわ。娘ができたみたいで、ほんとに楽しかった。」

「私も、おばさまといるとお友達と遊びに来てるみたいで、ついはしゃいでしまって。」

「海人が、こんな楽しそうにしてるのを見たの久しぶりよ。」

「今日は、10歳ぐらい寿命が延びた気がする。笑うのって大事だよね。」

 僕と明日香は、明日帰るので、早めにDランドを切り上げることにした。

家で一人でお留守番しているアーシャのことも気になる。

Dランドから都心に向けて走るミニクーパーの中でも、三人は以前夫婦で出たテレビの話題で盛り上がった。

「おばさま、すごくきれいでしたよ。」

「でも、現物の方がもっといいでしょ。」

「はい。」

「おかあさん、無理やり言わせない。」

色々なことを話しているうちに、玲子さんのマンションの駐車場に着いた。

エレベータのボタンを押しながら玲子さんが

「ここの5階よ。景色は、そこそこね。あんまり、高いとアーシャが怖がるから。」

「ここです。」

そう言って、玲子さんはマンションのドアを開け、自分たちを2畳ぐらいありそうな玄関に迎え入れてくれた。


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