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ローカル  作者: 不機猫
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祖父&祖母

やがて、郊外の大きなお屋敷の前で車を止めて、携帯でボスが連絡すると、建物のゲートが自動で開いた。

 もう、6年ぐらいご無沙汰している祖父の屋敷だけど、何も変わっていなかった。

明日香は、はしゃぎすぎたのか僕のとなりで寝息を立てていた。

「明日香、着いたよ。」

そう言って僕は、明日香を起こした。

駐車場には、ミニクーパーが止まっていたので玲子さんは、すでに来ているのがわかった。

 車から、荷物を降ろしているとお手伝いさんの美香さんが玄関から出てきた。

「お帰りなさい。坊ちゃん。」

「ただいま。こちらは、明日香さん。僕が、学校で色々お世話になっている人です。」

「玲子様から、お聞きしております。」

「さあ、中へどうぞ。」

「ボス、中へどうぞって。」

「いえ、私は、こちらで失礼いたします。」といて、頭を掻いた。

 たぶん、玲子さんより、祖父が苦手なんだろう。

「そう。じゃ、今日はありがとうございました。」

僕と、明日香はボスに手を振って、家の中に入った。

 十畳ぐらいありそうな洋風の広い玄関。

白い壁と大理石そして2階に上がるゆるくカーブした階段が、おしゃれに調和していた。

「思わず立ち止まる明日香。大丈夫だよ、僕の祖父の家だから。

大正の初めごろに建てられたみたいなんだけど、結構いろいろ見るとこもあるよ。後で案内するよ。」

「そこの柱のキズは僕が、幼稚園の時に付けたものだよ。」

 周りが木に囲まれているせいか、空調が効いているのか家の中は涼しかった。

「おじい様、おばあ様そして玲子様は今、応接室にいらっしゃいますが、いかがいたしましょう。」

「挨拶していきます。」

「明日香、荷物は、そこに置いといて大丈夫だよ。」

そう言って僕は明日香の手を握って、応接室に連れて行った。

 ノックしてから、見た目より軽い扉を開けると、玲子さんと祖母の笑い声が聞こえてきた。

ぼくは、扉を開けて、明日香を中に誘った。

天井が高く、そして、今は、必要ないけどクリスマスには、活躍しそうな大きな暖炉がある。そしていかにも座り心地のよさそうな、ファブリックのソファに祖父と祖母そして玲子さんが座っていた。

「ただいま。海人です。こちらは、明日香さん。僕が、ずうっとお世話になっている人です。」

「ほう、玲子さんが言っていた通り、聡明でおきれいなお嬢さんだ。」

と祖父が、嬉しそうにいった。

「明日香です。わたしの方こそ、いつも海人さんにお世話になっています。」

「今回も、私が東京を見たいとわがままを言って、連れてきてもらいました。」

「古い家だけど、部屋だけはいっぱいあるからゆっくりしていくといいよ。」

「打合せは、終わったから私もこれで失礼します。」

玲子さんも、僕たちと一緒に部屋を出た。

「明日香さん、もう、どの部屋にするか決めた?」

「いえ、まだ今来たところなので。」

「花巻くんは、もう帰った?」

「ああ、ボスのこと。玄関にも入らずに帰っていった。」

「明日香さんのおねえさんは?今日は、ここで一緒に泊まっていただこうっと思っていたんだけど。」

「すみません。今日は、東京のお友達のところに、泊めていただくみたいです。」

「じゃ、明日香さん、今日は、おばさんと一緒の部屋に泊まってもらえないかしら。」

「海人は、久しぶりなのだから、おじいさんとおばあさんといっしょに居てあげて。」

「明日の予定は、決まってるの?」

「Dランドに行くつもりだけど。」

「ほんと、お母さんも行きたい。いい?明日香さん。」

「ぜひ、お願いします。うれしいです。」

 玄関でそれぞれの荷物をもって、僕は、いつも泊まる2階の奥の部屋に、明日香と玲子さんは、とりあえず案内がてら部屋を見て回ることにした。

僕は、お決まりの部屋に荷物を置くと、再び応接の扉を開いた。

「坊ちゃま、お飲み物は、何かお持ちしましょうか?」

「じゃ、オレンジジュースを、お願いします。」

「大きくなったわね。」祖母が、感慨深そうに言った。

「体は、結構元気になったよ。」

「さっき、紹介した明日香さんや、玲子さんのおじいちゃんやおばあちゃんに、色々面倒を見てもらった。」

「そう。」

 2人の笑顔に支えられ、僕は、今回東京に来た理由を話すことにした。

「まだ高1だけど、出来れば東京の学校に来て、早く医学の勉強をしたいんだ。」

「この家から、通ってもいい?そのお願いも兼ねて、今回、東京に来ました。」

「全然、問題ない。そうしてもらえると自分達はうれしいけど。」

「玲子さんには、話はしてあります。そして、さっき、紹介した明日香さんにも話しました。」

「彼女も、すべて納得してくれました。」

「そう。まあ、自分たちのことは、気にせずに色々やりたいことをやればいい。これも、うちの血筋かな。」

それから、僕は、祖父と祖母に携帯の写真を見せながら、玲子さんの実家での暮らしぶりを話した。毎朝サーフィンをやって、今まで以上に元気になったことも、そして、お父さんとお母さんがテレビに出たことも話した。

そのうちに玲子さんと明日香も部屋に入ってきた。

「どの部屋にしたの?」と聞くと

景色がいいのと窓を開けると風が気持ちいい、2階の南のベランダのある大きな部屋に泊まることにした。

「良いよね、あの部屋。一日居ても飽きないわよね。」

「もうすぐ、夕食の時間になりますけど、お風呂にお入りになられます?」

玲子さんと明日香に冷たい麦茶を持ってきた美香さんが、誰に聞くともなく声を掛けた。

「僕、久しぶりに、おじいさんの背中を流したいから、一緒に入ってもらってもいいですか?」

祖父は、嬉しそうに頷いた。

「海人、ここのお風呂すごく大きいよ。泳げそうだった。」

「そうでしょう。知ってる。子どもの頃泳いだ。明日香も一緒に入る?」

「だめよ。玲子さんと一緒に入る約束したから。おばあ様も一緒に入っていただけます。

今晩泊めていただくお礼に、お背中流させてください。」

「残念。おじいちゃん先に入ろう。」

そう言って、僕は、久しぶりに祖父とお風呂に入ることにした。


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