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ローカル  作者: 不機猫
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計画

 その日の夜に、明日香から電話が有った。

「海人。おねえさんも一緒に行きたいって。良い?」

「お父さんとお母さんに話したら、お姉ちゃんも日本の大学に復学するから、アパート探したいんだって。」

「二人分、ホテル予約するからって、一緒に行ってあげてって言われた。」

「わかった。じゃ、おかあさんにいいホテル探しといてもらうよ。」

「8月2日~4日で予定立てとくね。」

「行きたいところある?僕の大学は、2日の午後だけで大丈夫だから。」

「じゃ、お姉ちゃんの予定聞いて、また連絡するね。勉強頑張ってね。」

「うん。」

 電話を切った。

とりあえず、僕は、今の状況と今後したいことを母親に連絡することにした。

母親の携帯の番号を押した。

3コール目で、玲子さんは電話に出てくれた。

「今、会社?それとも自宅?」

「自宅よ。」

「よかった。あまり無理しないでね。ちょっと相談があるんだけどいい?」

 玲子さんは、何もないときは、3コール目で出てくれる。

そして、ちょっと用事があるときは4コール目。そして、必ず僕の電話には出てくれる。

いつも会っていないから、そして、会えないから。

4コール目で、出てくれた時は、僕の方から「また、後で電話するね。」と言って切る。

そうすると、玲子さんの用事が終わった時に連絡をくれる。

 親子だけど、恋人みたい。

「玲子さん、8月の2日~4日まで、東京に行きたい。」

「行きたい大学があるから、今から見ておきたいんだけど。」

「どこの大学?」

「東医。」

「わかったわ。ここに泊まる?それともおじいちゃんのところがいい?」

「実は、明日香と明日香のおねえさんも一緒に、なんだけどいい?」

「良いわよ。両手に花ね。」

「おねえさんは、東京の大学に復学するから、部屋を探すんだって。」

「明日香は、僕と東京見学。」

「わかったわ。後は、私に任せて。おじいちゃんの所にも、一泊した方がいいわね。」

「もしかしたら、僕も、東京の高校に転校して、予備校に通うかもしれない。」

「おかあさん、もし、僕が玲子さんよりさきに死ぬようなことが有ったら、明日香と一緒に号泣してね。そして、それが僕のレクイレム。」

そして、沈黙が時を刻む。

「わかったわ。でも、ただじゃ死なないんでしょ?」

「そう、そうならないために今から、病気と闘う準備をする。」

「今は、とっても幸せだから、この幸せがいつまでも続くように頑張ってみたい。」

「病院がある医大に進学して、僕の病気のことを研究して治療方法を見つけるんだ。」

「明日香さんには、もう話したの?」

「まだだけど、時期が来たら話すつもり。」

「そう。もうこの際だから、2人とも大学生になったら結婚したら。」

「後のことは、すべて私が面倒見るわよ。」

「もし、そうなったらお願いします。」

「でも、彼女の気持ちを大切にしたい。」

「どこに行きたいか連絡くれたら、予定は、こっちでうまく組んであげるから。」

「おねえさんのアパートも、いいところ探しておいてあげる。希望だけ、聞いといてね。」

「わかった。また連絡するね。じゃ、おやすみなさい。」

「おやすみ。」

僕は、電話を切った。

 さて、また勉強するかな。最近は、勉強しながら寝落ちして、また目が覚めると勉強するような毎日を続けていた。

 もう少し、規則正しく勉強した方がいいんだけど焦りからか、そうなってしまう。

次の日、僕は、いつもの図書館で明日香に会った。ここだけは、いつまでも変わらない素敵な空間。そのその入り口を抜けると、昔の明日香とちょっとひ弱な僕に戻ってします。

「東京行きの件、おかあさんに頼んでおいた。」

「もしよかったら、おかあさんの所に泊まってもらってもいいけど。」

「ほんと。アーシャに会いたい。」

「じゃ、1日はおかあさんの所に泊まれるようにするね。」

「あと、もしよければ、東京の祖父と祖母も紹介したい。」

「良いけど、緊張するな。」

「後は、おねえさんのアパートの条件聞いておいてって。」

「事前に、探してくれるみたい。」

「わかった。聞いてまた連絡するね。」

それから、僕たちは、図書館の旅行雑誌を広げて、東京のどこに行きたいかを話し合った。

「なんか、修学旅行みたいだね。」

「じゃ、8月2日の9時に駅で待ち合わせね。」

「わかった。」

「部活頑張ってね。」

「海人も、勉強頑張ってね。」

「うん。」

「明日香、写真とってもいい?」

頷く明日香。

 図書館の前で、2人これ以上ないってぐらい顔を近づけて僕の携帯で写真を撮った。

2人で、覗き込む画面に夏いっぱいの笑顔がはじけていた。


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