将来展望
次の日から、僕は、パソコンで東京にある病院が併設されている、医大を検索した。
K大医学部が、良いかな。
それから、偏差値を調べ、2年半の勉強のスケジュールを立ててみた。
そんなに、時間がない。
体のことも心配なので、できれば東京で勉強した方がいいかもしれない。
明日香は、どこの大学行きたいのかな?
まだ、早いかもしれないけどオープンキャンパス誘ってみようかな?
そんなことを考えていると、前に東京に行きたいようなことを言っていたのを思いだした。
今晩、電話してみるかな?
夜になって、明日香に電話した。
いつもなら、すぐ出るのに、この日に限ってすぐに出なかった。
居ないのかなと思って、電話をきろうとしたら、
「はい。」と声が聞こえた。
「明日香?海人だけど、今、いい?」
「大丈夫。」なんとなくいつもと雰囲気が違う。
「どうしたの。なんか今日は変だね。」
しばらく、沈黙が続いた後に笑い声が聞こえた。
「やっぱりわかるのね。こんばんわ。明日香は、今お風呂に入ってる。」
「おねえさんですか?」
「そう。」
「ご無沙汰してます。」
「こちらこそ、ご無沙汰。今、サマーバケーションで日本に戻ってきたの。」
「そうなんですか?」
「昨日、明日香とサーフィンしたんだって。」
「わたしも誘えばいいのに。あの子、何も言わなかったのよ。」
「帰ってきたら、嬉しそうな顔をしてたから、問い詰めたら、海人君とサーフィンしたって。ほんとに嬉しそう・・・。」
電話の向こうで、笑い声と一緒に、突然悲鳴らしきものが聞こえた。
そして、突然電話が切れた。
しばらくして、明日香から着信があった。
「もしもし、海人です。」
「ごめんね。今、お姉ちゃん追い出したから。」
「うん。久しぶりに声が聞けた。今、こっちに帰ってきてるんだね。」
「突然、出て行って、突然、帰ってくるんだもの。」
「でも、なにか楽しそう。兄弟っていいかも。」
「うん。」
「話変わるけど、明日香、前に東京行きたいって言ってたこと、あるよね。」
「今でも、行きたい。」
「ちょっと、早いけど夏休みのオープンキャンパス行ってみない?」
「行きたい大学見つけたの?」
「そうなんだ。で、ちょっと早いけど見ておこうかなと思って。オープンキャンパスで無くてもいい。」
「明日香と見に行きたい。明日香もどこかみたい大学ある?」
「あと、もし明日香のご両親の許可が出れば、母のところに泊めてもらってもいいよ。」
「おねえさんと一緒でも良いよ。僕は、おじいちゃんのところに泊めてもらう。お父さんの方のね。」
「明日香が行ける日程に、合わせるよ。」
「わかった。お父さんとおかあさんに聞いてみる。おねえちゃんと行くのは最後の手段ね。」
それから、ふたりで、今日、何をしていたか話あったら、あっという間に、時間が過ぎていった。
こんな感じで、ずっと暮らせたら良いのに。
「じゃ、そろそろ切るね。勉強しなきゃ。」
「わかった。また電話するね。おやすみなさい。」
「おやすみ。」
次の日の朝、部屋から外を見ると明日香のおねえさんがサーフィンをしていた。
今は夏、おねえさんも、ウエットではなく赤い水着でサーフィンをしていた。
僕は、窓から手を振るとおねえさんも手を振りかえしてくれた。
本当は、僕もサーフィンをやりに行きたいのだけれども、今は、ちょっと無理かな。
やっぱり、世界を渡り歩いてるだっけあって上手だな。後で、砂浜に行ってみようっと。
歯を磨いて、顔を洗って、
「おばあちゃん、明日香のおねさんが、サーフィンやってるからちょっと砂浜行ってくるね。」
「気を付けてね。」
「はあい。」
僕は、玄関を出て道路を渡って、防波堤の階段を下りて砂浜に降りていった。
おねえさんは、砂浜に座って、スポーツドリンクを飲んでいた。
「おはようございます。」
「おはよう。」
どこかで見たことが有ると思ったら、明日香が来ていた水着と同じだった。
その水着をじっと見ていると
「わかった?明日香の借りてきたの。」
「ちょっと、胸のところがきついけど、あの子も大人になったのね。」
「サーフィン、相変わらずお上手ですね。僕なんて、全然追いつけない。」
「聞いたわよ。この間、東京の不良とバトルしたんだって。動画取って!明日香にお願いしたのに、ひろしのしか撮ってなかったのよ。見たかったな、君のサーフィン。」
「東京の不良じゃないですよ。結構いい人たちでした。」
「お互い、勘違いしていたみたいです。」
「そうなんだ。今日は、サーフィンしないの?」
「最近は、波の静かな時にロングボードするぐらいです。」
「そろそろ、受験勉強はじめないといけないから、さぼってますね。」
「医大受けるんだって。すごいわね。」
「ちょっと、やりたいことが有って。」
「良いわよね。やりたいことが有って、がむしゃらにチャレンジしていくって。」
「応援してるわ。」
しばらく、おねえさんと一緒に波を眺めていた。
「この砂浜も、いつも綺麗ね。」
「ひろしさんと一緒に、時々ごみ拾いしてるから。」
「じゃ、そろそろ帰るわね。水着、明日香に気づかれないうちに返さなきゃ。」
「よかったら、うちでシャワー使って、着替えて行ってください。」
「のぞいたりしませんから。もし、よかったら朝ごはんもいかがですか?」
「朝ごはんまで食べたら、明日香に怒られそう。お言葉に甘えて、シャワーだけお借りします。」
「どうぞ。」
「のぞいてもいいわよ。海外だとそんなこと気にしてられないから。」
「では、お言葉に甘えて、ちょっとだけ。って冗談ですよ。」そう言って僕は笑った。
おねえさんも微笑んでいた。やっぱり、姉妹っていいな。
僕は、おねえさんのボードをもって、先に防波堤をのぼっていった。




