9話
念願の水曜日だ。
今日は机になんて伏せずに彼女を待つ。
そうしていたら、彼女がやって来た!
今日は自分から「おはよー」と声を掛ける。
ただCDを貸すと話すことが無くなってしまった……
「そっそいうえば、橋津君は何で早く来てるの?」
すると彼女がまた気を使って話しかけてくれる。
本当、天使だ!
そこから俺もポツポツ話すことが出来た。
「園田はなんで?」
なんて彼女の名前をさりげなく呼ぶ事にも成功。
彼女とは通常は話せないが、こうやって朝の時間に話せるといいな。
そんな風に考えていたら、どさくさに紛れて来週もCDを返してもらう口実で朝会う事になった。
このままいけば、毎週水曜日に園田と話せるかも。
今日は園田が教えてくれた当番の日だ。
この間話した時にさりげなくスケジュールはチェックした。
いつも通りに中庭にスタンバイし、彼女の声を聞くのを心待ちにしていた。
「お昼の放送の時間です!さて一曲目は〜」
えっだれ?
がーん
期待していた分、落ち込みも大きい。
彼女の声に癒される気満々でいたのを裏切られた気分だ。
そのうち、彼女に貸したCDの曲が流れ始める
これは単純に嬉しい。
自分が役に立ったわけだし、彼女が気に入ってくれたわけだから。
それでも彼女の声を聞けなかった事に、彼は放課後になっても落ち込んでいた。
ただ、下校の放送はいつも通り彼女でホッとして落ち込んだ気分も浮上した。
何て現金なのだろう。
それだけで気分が上がる?
あれ俺なんで、こんなに左右されているんだろう?
ただ、あの子の声が好きなだけなのに?
彼女の声が精神安定剤みたいになってるのかもしれないな。