7話
何時も家に帰りたくなくて、時間が早く過ぎろとは思わない。
がしかし、その日は何故が放課後になるのが待ち遠しかった。
前の時のように人が居なくてなるまで赤いイヤフォンで音遮断。
下校の時間が近ずくと、イヤフォンを外してその時に備えた。
スピーカー越しのあの音が、他に人のいない教室にも優しく響き渡る。
その音を耳に聞かせる。
スピーカーを通しても心地いいが、直接聞いてみたいな。
あの朗読の時みたいに。
余韻に浸り机に突っ伏していると、ガラッと教室の扉が開いた。
だが誰も入ってこない。
もしかして、あの子かな?
寝てると思われて、静かにしないととか思ってるわけ?
少し態とらしいとは思ったが「うーん」と言いながら、おもむろに伸びる。
それなのに扉のそばの気配に変化なし。
そもそもあの子なのか?
意を決してクルッと振り向いた。
前回見かけたうちの髪のふわふわの女子が前回のように扉の側にたっていた。
ただ彼女は固まっているかのように何も言わない。
彼女の音を聞いてみたい。
俺が言えば何か言うかな?
前回の髪長女が言ったみたいに、挨拶でもしてみるか。
「あー……バイバイ」
橋津が声をかけると驚いたかのように目を見開いた。そして
「え、うん、バイバイ」
音が耳に優しく響いた。
あ、見つけた……
思わず笑みが浮かぶ。
ああこの子が、あの声の子だ。
メモ11: あの声の正体。
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女子
同じクラス
放送委員
名前は田辺沙紀か園田絢
髪ふわふわ