6話
何時もは嫌いなホームルームの中で、雑音を我慢して耳をすました。
やっぱり、雑音が多くて聞いてられないか。
俺がチェックできるのは静かな授業中だけ。
思い切って声が聞こえたら、振り返ってクラス中を確認するか?
あれ以来なんだかんだ昼の放送をチェックして入るが、あの音は聞こえたことがない。
あの日、勘違いしただけなのか?
いや、そもそもな話。何でこんなに気になって仕方ないんだ?
可能性があるとしたら、あの日放課後見かけた髪がふわふわした女子。
あの子は、やはり同じクラスだった。
自分より後ろに座って入るから声の可能性もある。
放送委員をチェックしたところ、うちのクラスからは女子が二人。
田辺沙紀と園田絢
このどちらかが、あの音の正体の可能性が高いだろう。
そんな風に自分が気づいたことを今日も中庭で整理して考えてみた。
今日もなんだかんだイヤフォンは形ばかりにつけたが、音楽のスイッチは押せないでいる。
ああ、もう一度あの音を聞けたら、
何でこんなに気になるのか分かりそうなのにな。
その時だった。
「…お昼の放送の時間です」
あ、これだ。
放送のスピーカーから聞こえたのはあの音だった。
やはり、その音はすーっと耳に入ってくる。
人の声は不協和音を生み出すものだった。
いつもは大きな音に耳の中を引っ掻き回すような、耳の中でガンガン響き回るような不快感がある。
なのに何故この音は違うのか?
これは、
優しく
包み込むように響く。
ただ分かったことは、この音が好きだということだ。
お昼と放課後の当番が一緒なら今日の放課後もあの音が聞けるって事かな。