5話
その日はそのまま放課後の下校放送まで待ってみることにした。
何時もは下校時の騒ぎを横切って帰るところだけどな。
俺が思ったより、放課後の教室は心地よかった。
音楽を流してひたすら机に突っ伏してたらうとうとしてうたた寝していたようだ。
皆部活やら遊びにやら出かけたのだろう、気づけば周りが静かになっていた。
前回のように中庭に行こうか、このまま教室にいようか迷う。
誰もいないガランとした教室を見渡すと、2つ机に荷物がまだかかって入るのが見えた。
部活動?でも、もしかしたら鞄の持ち主は……
結局わざわざ動かなくていいやとそのまま机に突っ伏した。
ただ今度は音楽をかけずに。
やっぱり、あの音だ。
放送が終わると机に体を伏せたままぱちっと目を開ける。
昼と下校は同じ当番なのか?
音の確認に満足して、立ち上がると今まさに向かおうとしていた扉が勝手に開いた。
いや違う。勝手に開いたのではなく女子が開けたようだ。
開いた扉の後ろに女子が二人立っていた。
誰だこいつら?同じクラスか?
再びもしかしてという思いがムクっと起き上がる。
背の高い髪の長い女子が「橋津じゃん、バイバーイ!」と声をかけてきた。
なんだ、この音?不快、うるさい、こいつではない。
声を返すのも面倒臭く、ただ挨拶がわりにペコッとサヨナラの意味を込めてお辞儀をした。
もう一人の小さい肩くらいまでのふわふわとした髪の女子は動かず、扉のそばにたったままだった。
うんともすんとも言わない。
じゃあもしかして、この子かな?
思わずじっと見てしまった。
何故だろう、同じように挨拶をしてくれることを何処か期待してるのか?
ただ、その子はバイバイとは言わなかった。
とりあえず、礼儀とばかりのペコッとお辞儀だけして背を向ける。
残念。
彼女の音は分からなかったな。
うん?なんで残念だ?
まあ、次は自分からバイバイと言ってみようか?
そしたら、あの音が聞けるのかもしれないし。
メモ11: あの音の正体。
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女子
同じクラス
放送委員 昼と下校は同じ当番
髪ふわふわ?