4話
結局あの後夏休みに入ってしまって、あの音の正体はわからなかった。
何でだろうな。
何故か、あの時聞こえた音が今までのように雑音には思えなかった。
ただ、その音の正体が気になった。
現国の時間は格好の昼寝タイムだ。
元から現代国語が好きじゃないというのもあるが、昨日は遅くまでバイトだったから特に眠気が止まらない。
早々に授業を放棄して、俺は机に顔をふせた。
あ、またこの感覚。
女の子の声が教室の中に静かに響いていた。
「その時翁は、確かにそう告げたのだった」
あの時の音だ。
ピクッと体全体がそれに反応する。
耳を始め体が覚醒していく。
ああこの声だ。
耳にじんわり染みる音に身を委ねる。
この声の同じクラスの女子か。
女子が静かに朗読する声はそのまま続く。
なんだろう?
すごく耳に心地いい。
聴いているうちに、覚醒したはずの意識は気づけば再び眠りへと引き摺り込まれたいた。
あー、よく寝た。
音楽以外で人の声で眠りに落ちたの何て何時ぶりだろうか。
どれが声の正体なのか?
その後の休み時間に耳を澄ませようとしたが、雑音が気持ち悪くてとても出来そうもない。
ただ昼休みに中庭で再びベンチに寝転ぶ。
念のため、イヤフォンはつけたが音楽を流す気にならなかった。
イヤフォン越しに昼の放送が始まったことがわかった。
あ、同じ声!
とっさにイヤフォンを外してその音に聞き入る。
曲を紹介しただけの短い言葉だったが、曲中もその声が耳の中に響いていた。
メモ11: あの音の正体。
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女子
同じクラス
放送委員