3話
「え、まじか……」
近所の図書館からの帰り際、明日から2日間資料整理で臨時休館だという張り紙を見つけた。
明後日はバイトだから良いけど、明日はどこで時間潰そう……
煩わしい不協和音から少しでも離れていたくて、高校に上がってから俺は出来る家にいないようにしていた。
幸いバイトを始めたのでバイトがある時は、放課後そのままバイト先に行って家に帰って寝るだけだ。
そしてバイトが無い時は、高校からの帰り道にある近所の図書館一番遅くまで空いてる図書館に入り浸っている。
図書館はいい。
皆んな静かにしないと行けないから人が起こす不協和音も少なくて済むからだ。
ゆっくり音楽聴いたり、気の済むまで本を読み漁って過ごす時間が何気に好きだ。
次の日、とりあえず放課後になって学校の図書館に行ってみたが人が思ったより多く断念した。
なので、何時も昼休みに行く比較的誰もいない穴場スポット中庭に足を進める。
中庭につくと案の定誰もいなかった。
高い生垣に囲まれた四角い空間には長いベンチ向かい合うように置いてある。
2回からは見えるかもしれないが、生垣が道ゆく人から視線を遮ってくれて隠れ家みたいなこの空間が好きだ。
ちょうど天気も良く日差しも心地いい。
俺はいつも通りに赤いイヤフォンで雑音を遮断しようと思ったが少し耳を済ました。
遠くから聞こえてくる部活動の音。
風が木々を揺らす音。
今日くらいはイヤフォンはいらないかな。
そうして音を遮断せずにベンチに寝転ぶと、事前と瞼が重たくなっていった。
なんだろう?
心地いい音がする。
「……さん……じ…ん…です」
意識が何かに反応して、に引き寄せられるように浮上した。
意識と共に感覚が戻り始めると、はじめに感知したのは耳に優しい音だった。
「下校の時間です。最後の曲が終わるまでに下校するようお願いします」
ふと耳に沁みた音に耳を澄ます。
ああ、下校の放送か。
雑音だと思っていた人の声が、心地よく耳にしみる。
大きい放送の音なんて本来は耳にガンガン響き渡り大嫌いなはずだ。
なのになんでだろう、この音はとても心地いい。
その余韻に浸るように、下校の曲を聞きながら俺は再び目をつむった。