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不協和音の世界  作者: ami.
2/11

2話


  はは、ざまあみろ。

 めっちゃ高いの買ってやったぞ。

 

 最新の携帯電話に無駄に高性能の赤いイヤフォンが入った紙袋を、振り回しながら久々にクスッと笑えた。


 そして、入学祝いとだけ書かれて置かれていた封筒をくしゃっと握りつぶした。





 俺は高校に進学した。


 受験勉強もせず推薦っていうやつだ。



 これで人生イージーモードだろう。これで両親が離婚でもしてくれて、家でのゴタゴタが無くなればだがな。




 入学式の日。


 変わらず耳の調子は悪く、ほぼ聞き流したままでいたら入学式もホームルームも終っていた。


 人が帰るのざわめきが収まってから席を立ち、新しく買った赤いイヤフォンをつけて少しでも楽しくなるような緩いアップテンポの洋楽をかける。

 緩く歌うこの女性シンガーの歌が最近のお気に入りだ。



 この春から自転車通学のため駐輪場までの道には、入学生を祝うように満開の桜が咲いていた。


 桜吹雪にこの曲。


 なかなか良いチョイスだと自己満足して、見上げた桜吹雪と一緒に自分の染めたばかりだった明るい茶色の髪が舞い上がって視界を覆う。


 髪を明るく染めると共に、卒業と同時に開けたピアスの穴にゴツメのピアスをつけた。

 グレたわけではない、今ハマっている洋楽のアーティストの真似をしただけだ。


 似合っているかは分からないが自分では気に入っている。




 高校に進学しても、学生生活は不協和音の世界のままだった。


 ただ難聴の診断書を提出したところ、何処と無く教師陣には多めに見てもらっている気がする。


 ただ人声が混ざり合う、不協和音には耐えられない。

 普通の人でいう黒板に爪を立てた時のような、鳥肌が立ってしまって仕方がない。


 高校入学と同時に変えたスタイルは、思わぬ功をそうし”グレたやつ”と思われたのか、周りを遠巻きにするのに一役飼っている。



 それでも自然に学校にあふれている人の雑音には耐えられない。


 登校時、休み時間……


 雑音を断ち切るために大きめな遮断性のある大きめな赤いイヤフォンを今日もつける。


 そして音楽の世界に逃げ込んだ。


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