一章『王女様と異世界』2
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冥府の王ハーデス。
オリュンポスの十二柱の一人で全知全能の神ゼウス様の兄であり冥府を統治する神だ。
そのハーデス様が統治する冥府は死者を裁き、善人には天国へと、悪人には地獄へと選別すると聞いたことがある。
しかし、何故ハーデス様が直々に御出になるのだろう。
ハーデス様は冥府にある城に居るはずだ。
しかもハーデスが今言った『現世と冥府の狭間』だと?ここは冥府ではないのか。
『その通り。ここは魂の通り道。現世から冥府へと通る通路に過ぎん』
『そうなのですか……では、何故私はここにいるのでしょう?』
『それはお前の父、戦神アレースがお前に会わせてほしいと懇願したからだ』
『え?父上が?』
私は驚き目をパチクリさせる。
しかし、父上が、か―――
正直、私は父上に会ったことはない。
私が産まれたときには父上は天界で勤めを果たしていたという。
どのような人物なのだろう?
戦神と呼ばれるような方なのだ。それはもう聡明で気高く逞しい方なのだろう。
私が少々胸踊らせていると、
『いいや、アレースは女好きで酒好き。酔っては周りの迷惑なの考えぬだらしのない男だ。期待するだけ損だぞ?』
『え?そ、そうなのですか?』
ハーデス様はこっくりと頷く。
そ、そうなのか………少しショックだ。
って、あれ?私、今声に出ていたのだろうか?だったら恥ずかしいのだが……ち、違うのだ。女だけの生活が長すぎたのか父というのに少し憧れていたというのか……ともかく違うのだ!
私は心の中で自身に言い訳し、平常心を保とうとする。
『カッハッハ!そうか。アマゾーンの女王でも父親に憧れるのか。意外なことを知ったぞ』
ハーデス様は腹を抱えて爆笑し始めた。
『え!?ま、まさかまた口に出していましたか!』
私は恥ずかしくなって口を両手で隠し舟に体を縮込ませる。
『いいや、悪いな。仕事柄、死者の真意を見極めなければならんのでな。お前の心を読んでしまった』
先程とは違い陽気に答えるハーデス様。
いや待て。心を読んだ?ハーデス様は今そう言ったのか?
『ああ、そう言ったぞ。』
『あ、あいやあの……そのでは……』
『悪いな。丸聞こえだった』
私は耳を真っ赤にし両手で顔を隠ししゃがみ込む。
赤っ恥どころではない!
聞かれた。知られた。今まで誰にも……母にも姉妹にも家臣にも誰にも知られていないのに!
ハーデス様は愉快と大笑いされていたが私は暫く踞りその場から動かず必死に恥辱に耐えた。
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