一章『王女様と異世界』1
第二話読んで頂きありがとうございます!
ぬこ舌ですm(._.)m
何かわからないことがあれば気軽に言っていただければ幸いです!
『――――』
誰だろう。
私を呼ぶ声がする。
私を―――呼ぶ―――?
私は―――一体―――誰だ?
思い出せない。
記憶に靄が掛かっているようだ。
『―――』
何か聞こえた気がする。
そう思うと同時にズキッと頭痛がする。殴られたような、いや刺されたような、いや潰されたような――――ともかく痛みだ。何か思い出せそうだ。
何か大事なことのような気が―――
『う―――しい』
やめろ!
それを言うな!
私は―――
『――つ―――い』
あ、あぁ……やめてくれ!
頭が……頭が割れそうだ!
『――――く―――』
やめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろ
聞きたくない聞きたくない聞きたくない聞きたくない聞きたくない聞きたくない聞きたくない!
『美しい』
やめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろ――――――――
やめろぉぉぉぉぉぉぉ!
―――――――――
雄叫びを挙げる。
咆哮か、悲鳴か。
怒りと悲しみが混じり合うそんな叫びだった。
叫び終わると意識がハッキリとし始める。
私はアマゾーンの女王、ペンテシレイア。戦神アレースの子にしてオトレーレーの娘が一人。
トロイア戦争に置いて私はトロイア軍に味方し闘った。
そして、ギリシア軍の英雄、アキレウスに一騎討ちにて敗れ、死んだ――――はずだ。
今自分が置かれている状況に疑問に思った私は辺りを見渡す。
私はいつの間にか舟の上に立っており、目の前には暗闇の景色。振り返ると純白の景色が一面に広がっていた。どうやら私はその中心にいるようだ。
(ここは何処だ?)
私が初めに思ったのはそんな感想だ。
私は確かに死んだはずだ。
そうあの時――――
『美しい』
ッ!
最悪だ。思い出したくないことまで思い出してしまった。
怒りが込み上げてくるが奥歯を噛み締めグッと堪える。
大きく呼吸をし、息を整え、私はまたこの状況に考えを廻らせる。
私は死んだということは―――ここは冥府か?
アッサリと答えを出す。というかそれ以外に思い当たらなかったと言えるのだが―――
『半分は正解だ。ペンテシレイア』
私は暗闇の方へ振り向いた。
そこには骸骨の面に影のように揺らぐ黒いローブを着た者が足を組んで膝を着きながら退屈そうに豪華な漆塗りの椅子に座っていた。
私にはなんとなくあの人が誰であるのかわかった。
『貴方様は――冥府の王ハーデス様でしょうか』
『ああ、その通りだ。我はハーデスだ。ようこそ、現世と冥府の狭間へアレースの娘』
ハーデス様はなんだか退屈そうに答えた。
誤字脱字があれば気軽に言ってください
感想などあれば幸いです!
トロイア戦争をちょっと解説
小アジアのトロイアに対してアカイア人の遠征軍が行った戦争のことです
この戦争の記述から数多くの叙事詩があります。
例えばこの作品の主人公として登場したペンテシレイアが出てくる『イーリアス』
その『イーリアス』の続編にあたるイタケーの王である英雄オデュッセウスが主人公の『オデュッセイア』があります
気になった方は是非チェックしてくださいね(私も勉強中なのですが……)