第8話 男の娘な俺は誘拐される・4
R15作品です。
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@akira_kouno0918
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俺の気分は今や忍者です。
夜の闇に溶け込んで、颯爽と移動する俺……すいません嘘吐きました。
颯爽とは移動してません。
のっそのっそゆっくり歩いてます。
この魔法ステルスは、俺のオリジナルで簡単に言えば光学迷彩である。
光と闇魔法の応用で、薄い闇の膜を自分の周りに展開し、その膜に触れた光を反対側の膜から同様の光を放出するという仕組み。
膜の中に関しては光をシャットアウトしてある。
その代わりに前方の膜には外からは判断出来ないような蚊ほどの目の代わりがあったりする。
この魔法は我ながらいい出来だとは思うけど、まだ素早く動ける程では無いんだよね。
激しく動くと脳の処理が追い付かなくて、光が揺らいでしまうのである。
ちなみに俺の脳はハイスペックだったりする。脳だけじゃなく肉体的にもである。魔素の運用を頑張った結果であろう。
それはさておき、森の入り口までたどり着いたわけだが。
ん〜……誘拐犯の見張りみたいなのはパッと見で見当たらない。
少し離れたところから観察してるのかな? まぁいいや。
見当たらないものはしょうがないし、家に帰ろう。
こうして俺は家に戻った。戻ったのだが……
「ハヤト! 今まで何処行ってたの!? ママとっても心配してたんだよ!? パパに頼んで捜索隊も出してもらったし! パパもまだ外に捜しに行ってるし! こんな時間まで何してたの!」
メニルお母様激オコである。そりゃまぁしょうがないけど。
俺は正直に話す事にした。
「いつも魔法の練習をしてる森に入ろうとしたら多分魔法で気絶させられて誘拐されました……」
メニルお母様の隣でミレニーがオロオロしている。やはりミレニーたんマジ天使である。
おっと、今はそれどころでは無かったな……さて、メニルお母様の反応は……
思わずギョッとした。メニルお母様は泣き出してしまったのだ。
「ハヤトのばかぁぁ! 心配かけてぇぇ! 誘拐って何よぉぉ! うわぁぁぁんっ!」
俺はすかさず謝った。
「心配かけてごめんなさい……」
なんか俺もちょっと泣きそう。
「パパにぃぃパパに早く言わなきゃぁぁハヤトがハヤトが……ぐすんっ……ハヤトが……あれ……ひっくっ……ハヤトが、ここにいる……? ぐすっ……」
どうやらメニルお母様は少し落ち着いて来たらしい。何がどうなったのかはわからないが、パニクり過ぎて俺が此処に居るのに、クラガお父様に誘拐された俺を救出しに行って貰おうと考えたっぽい。
人間冷静じゃない時は何考えるかわからないよね。
ちなみにミレニーはメニルお母様の横で訳もわからず一緒に泣いていた。ミレニーたんマジ天使。
少し落ち着いて泣き止んでからメニルお母様は口を開いた。
「えっと……誘拐されたはずのハヤトちゃんはどうして此処に居るの?」
これも正直に話そう。
「誘拐犯に捕まってから俺は森の中で拘束されてまして。目が覚めた時には見張りも居なくて、椅子に縛られてたけど自力で脱出しました」
すかさずメニルお母様が抱き締めてくる。
「よかった……何も無くて本当によかった……」
けど俺の話はここで終わりでは無い。
「メニルお母様、まだ続きがあります」
「続き?」
俺はその後の顛末を説明する。
許せなかったので犯人達が戻って来るまで待ち、魔法で拘束して森の小屋の地下空間に閉じ込めて来た事。
組織立った犯行だと判断して、戻る途中で共犯者に見付かる可能性を警戒し、詰め所に直接犯人達を連れて行く事はせずに、隠れて俺だけ戻って来た事などを説明した。
「パパに直ぐに知らせなきゃ! ハヤトちゃんとミレニーちゃんはお留守番して待っててね? 鍵を掛けて行くから誰か来ても開けちゃダメだからね?」
「ぐすっ……ハヤトにぃとお留守番する」
ミレニーはいつの間にか泣き止んでいた。
はぁぁもうミレニーたんマジ天使。癒されるぅ。
……っと、その前に。
「メニルお母様少しお待ちを、今地図を書きます。」
「あ、そうね! お願いするわね!」
やはりまだ少し落ち着きが無いみたいだ。
俺は森の入り口から小屋の位置、それと土魔法の地下空間の空気穴であるパイプが目印である地図を書いてメニルお母様に渡す。
その時にメニルお母様はまた、今度はミレニーも合わせて優しく抱き締めてくれた。
「じゃあお留守番よろしくね?」
「はい。あっ、それと土魔法の使い手を連れて行くようにも伝えておいてください」
「わかったわ! 行ってきます!」
「ママ行ってらっしゃい」
「メニルお母様行ってらっしゃい」
数時間後、ミレニーと二人で待っていたら、ミレニーは先に寝てしまっていた。
俺も寝ようかと思い始めていたら、メニルお母様とクラガお父様が一緒に帰って来た。
そしてクラガお父様に開口一番こう聞かれる。
「あれはハヤトがやったのか?」
流石にこの件があったらクラガお父様には俺の実力を隠し切れない。当然の結果であった。
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