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第6話 男の娘な俺は誘拐される・2

R15作品です。


Twitter始めました!

@akira_kouno0918


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 さて誘拐犯である冒険者風のおじさんだが、近くには居ないっぽい。


 というか見張りすら居ない。


 面と向かって戦う覚悟も持って、俺は自由になった後に外を確認したのである。


 まぁこんな森の僻地に人なんか来ないだろうし、実際俺も魔法の実験でここの近くまでよく来るけど、今まで他の人がここまで来るのを見た事がない。


 それに俺みたいな子供が、更には見た目的には女の子が自力でどうにか出来るとは思わなかったのだろう。


 魔法に関しても、普通は口頭詠唱が必要だからこそ、念入りに口を塞いでいたのだろうし。



 ちなみに俺は無詠唱で魔法が使えます。

 無詠唱は結構自慢出来るくらいには凄いんですぜ?

 なんてったって、この国のプロの軍人である魔法騎士団の、更に『約束された勝利の剣』と呼ばれる世界最強と誉れ高い『ペンドラ騎士団』の中でも、数名しか使えないような高等テクニックなのだから。


 ていうか約束された勝利の剣ってなんだよ。

 しかもペンドラ騎士団って。


 これは偶然か?

 絶対元日本人の感性だよな。

 いやまぁ国に捧げている、貴族家である騎士の剣が世界最強なら、確かに約束された勝利の剣なんだろうけどさ。

 それでもペンドラなんて名前まで付くと、日本人の関与を疑うよね。


 まぁそれは今は置いとこう。




 つまりこの誘拐は俺じゃなかったら十中八九どうにも出来なかったと思う。


 たまたま俺だったからまだよかったけど、でもこれが俺じゃない誰かだったら。

 そして俺じゃない誰かが同じ目に遭ったらと想像した時に、俺は誘拐犯のクズが許せなくなっていた。



 決めた。

 ただ騎士団に通報するのは無しで、その前に地獄を見せてやる。たっぷり後悔させてからクラガお父様に突き出してやろう。


 幸いにして、この国では賊に対しての過剰防衛は認められている。相手が賊だという確固たる証拠さえあれば、最悪独自の判断で殺したって構わない事になっている。


 盗賊にしろ山賊にしろ、このインラ帝国では人権など無いのだ。

 当然それだけ厳しい国で賊なんてやらかすのは極少数のはずなんだけどね。



 さて、椅子に座りながら誘拐犯が戻って来るのを待とうかね。

 あぁでもどうしよう。今が夕方だからそろそろ帰らないとメニルお母様に心配掛けるよな。


 ん〜……まぁ怒られるのも覚悟しとこうかな。

 許せないんだから仕方がない。




 そうこう考えてるうちに日が沈み始めて薄暗くなった頃、地面サーチの水溜りレーダーに反応があった。


 反応は……近寄って来てるな……しかも二人居る。

 そして入り口の前までたどり着いた犯人達は扉を開ける。


「こんばんは誘拐犯のおじさん? そっちのおじさんは奴隷の売人か何かかな?」


 誘拐犯のおじさんは驚愕と共に狼狽えながら自問自答のような設問をしてくる。


「お前どうやって……いや、誰が此処に来たんだ! どうなってやがる!?」


 俺はそれに優しく答えてあげる。


「此処にはおじさん達以外に誰も来ていないよ? どうなってるのかは見ての通りだと思うけど」


「お前身体チェックと口塞ぎちゃんとしたのか!?」


 もう一人の誘拐犯の隣に居るおじさんが誘拐犯に怒鳴るように聞く。


 それに答えたのはまたしても俺である。


「口もキッチリ塞がれていたし、身動き出来ないようにキッチリ縛られていたし、勿論俺はこの縄を解けるような物も持っていなかったよ」


「じゃあどうやって……まさか……いや、こんなガキが無詠唱なんて使えるわけが……」


 これにはビックリ。

 まさか俺みたいな子供を見て、無詠唱の可能性にしっかり気付けるなんて。

 まだ俺が嘘をついていて、誰か人が来て助けてくれたという方が真実味があると思う。


 あぁそうか。

 森の入り口付近に見張りでも居たのかな?

 人の出入りの監視はキッチリしていたのかもしれない。


 おっと、誘拐犯の隣に居たおじさんが顔を青くしながら振り返ってダッシュした。


 勿論逃がしはしないけど。


「バインド」


 俺はたった一言だけの詠唱とも呼べない詠唱をする。

 そうすると逃げようとしたおじさんの足の下から刺々の岩が足の甲を貫通して、そのまま足首に絡み付く。

 そのまま前のめりに倒れながら足首が曲がってはいけない角度になる、ぶちぶちとアキレス腱の切れる音がこちらまで聴こえた。


「がぁぁぁあっっいっでぇぇぁあ!!!!」


 次いでおじさんは絶叫を上げた。


 ぶっちゃけ聴いてる俺もゾクッと寒気を感じるほどには痛そうだ。まぁだからといってなんだという話だが。


 こんな弱者を食い物にするようなクズ共に、情けも容赦も必要無い。


「ねぇ誘拐犯のおじさん」


 俺は動けずに固まったまま転んだおじさんを見下ろす誘拐犯のおじさんに話し掛ける。


「あ……あ?」


 どうやら恐慌状態でまともに喋れないらしい。

 しかし俺は気にせず設問する。


「俺は誘拐された後、どうなる予定だったのかな?」


 何と無く気になっていた事を問いかけた。


「あ……あぁ……あの……」


 誘拐犯のおじさんはまともに喋れない。

 仕方がないので足を抱えながら蹲っている方のおじさんに聞いてみる。


「ねぇそっちのおじさんはどうなるか知ってるんだよね?」


「あぁ!? くっそいでぇぇ!! クソが! てめぇは奴隷にして売られる予定だったんだよっ! あぁぁクソがぁいてぇぇ!」


 くそくそ言い過ぎだろこのおじさん。まぁでも聞いて良かった。これで遠慮は要らない。


 あぁでも一人は生かさないと、組織的な犯行なら芋づる式に捕まえられるだろうし。


 あれ? そういえば前世の知識では捕まえた犯罪者が複数居るなら個別に問い質して、嘘も口裏合わせも出来ないようにするんだっけ?


 ん〜、念の為両方生かすか。

 という事で殺傷能力の高い魔法は使わない事にする。


 さて、何からやろうかな〜。



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