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第64話 少女の決意・3

活動報告にも記載しましたが、次回の更新は10月半ば予定となります。

未告知で長期休載してしまい、待ってる読者様方には本当に申し訳無い気持ちでいっぱいです!


それと活動報告にて告知してますが、新作出します。

気になる方は作者ページかTwitterに情報載せてますので一読いただけると幸いです。



 今頃はレオニスとカレンが序列戦に挑戦してる頃かな。俺も、そろそろ挑戦してみようとは思ってるんだけど、なかなか機会が無い。

 リアンが俺に合わせて、序列戦を始めるつもりみたいで、なんだか待たせちゃってる気がして申し訳無い。



「今日もよろしくねハヤト」


 俺にそう声を掛けるのはアーナ・フィニアさんだ。今、俺は『限定解除(リミットブレイク)』を教える為に、貸し切りの魔法演習場に来ている。


「こちらこそ、学ばせて貰いますよ」


 このアーナさん、なんとSランク冒険者の資格を持っている……それはつまり、俺の師匠であるユーエ・スフィアに模擬戦で勝っているのだ。



「ちーす」


 いつも通り、最後に顔を出す人物が軽い挨拶をしながら入って来る。


「ナグルド、いつも遅いぞ?」


 アーナさんがナグルド先生を注意するが、本人はどこ吹く風という感じで軽く話す。


「俺はこの学園の教師だぜ? ハヤトより早く来れねぇっつうの」


 このやり取りが最近のテンプレになりつつある。



「はい、じゃあ今日もやりますよ。皆さん集まってください」


 俺がそう呼び掛けると、アーナさんとナグルド先生以外の俺の生徒も集まって来る。みんな歳上だけどね。


「そろそろ皆さんも、それなりに魔素の制御が出来てますから……今日は組み手形式で訓練しようと思います」


 俺の言葉に何人かの生徒が喜色の表情を見せる。ずっと魔素制御の訓練してたから、少し飽きてたのかもしれないね。


「それじゃあ2人ペアを作ってください。アーナさんとナグルド先生は、俺が相手です」


 アーナさんとナグルド先生以外は、好きにペアを組んで7組が出来上がる。


「いいですか、今日は身体を動かしながら、それに合わせて魔素の制御をします。『限定解除(リミットブレイク)』を使ったら身体強化を意識して動いてください。あくまで訓練なので、丁寧にゆっくり身体を動かしてくださいね? それでは始めてください」



 俺に指示されて、生徒達が『限定解除(リミットブレイク)』を発動していく。俺が先に『限定解除(リミットブレイク)』を使っちゃうと、周囲の魔素が無くなって、他の人が使えなくなっちゃうからいつも最後に使うんだよね。


「それではナグルド先生とアーナさんも『限定解除(リミットブレイク)』を使ってください」


 俺に促されて2人も準備する。


「「限定解除(リミットブレイク)」」


 そして俺以外の準備が、終わった事を確認してから、俺も『限定解除(リミットブレイク)』を発動する。




「早速始めましょうか。アーナさんとナグルド先生、お二人同時にお相手します」


 俺の言葉にアーナさんとナグルド先生が、少しムッとした顔をする。本来なら、この2人を同時に相手するなんてありえない……しかし、今は2人とも動きが、かなり制限されるはずだ。


 なにせ、『限定解除(リミットブレイク)』を使用中に動くという事はかなり難しい。どのくらい難しいかと言うと……


「いっでぇっっ!!」


 ナグルド先生の脚から血が滲み出す。魔素が暴走して、肉体が耐え切れなかったのだ。


「ナグルド先生ならやると思いましたよ……ちゃんと丁寧に動かないと皆さんこうなりますからね?」


 そう言いながら、俺はナグルド先生の脚を治癒する。


「ちっくしょ、動くってだけでこんな難しいのかよ」


 ナグルド先生が悪態をつきながら、素直に治癒を受ける。


「…………なるほど、私とナグルドを同時に相手出来る理由がこれか」


 アーナさんはゆっくりと身体を動かして、制御の難しさを確かめながら口にした。



「治癒も終わりましたし、今度こそ始めましょうか」



 俺がそう口にすると、アーナさんとナグルド先生の顔付きが真剣味を帯びる。


 こうして組み手形式の訓練が始まった。




 それから1時間ほど経った頃だろうか。アーナさんとナグルド先生は、やはりこの中でずば抜けてセンスが高い。

 もう既に、普段と同じくらいに動けている。そうなると、俺も全力で動かなければ訓練にならない。

 あくまでも身体強化のみの全力だけどね。



「大分慣れて来たな。ナグルドはどうだ?」


 アーナさんが組み手をしながら口にする。かなり余裕が見て取れるので、強がりでもなんでも無いだろう。


「相っ変わらず化物みたいなセンスだな、オイ。でもまぁ……俺もそろそろ行けるぜ?」


 そう口にするナグルド先生の顔は、獲物を見付けた野獣の如く目がギラ付いている。



「じゃあそろそろ……」

「ああ」

「「行くか」」


 2人が同時に加速した。明らかに人間の限界を超えた動きをし始める。


 こんな短時間でもうこれか。ナグルド先生は『限定解除(リミットブレイク)』に向いてそうだからわかるけど、アーナさんは規格外だな……まるでミレニーみたいに才能の塊だ。



「はあっ!」


 アーナさんの横薙ぎの蹴りが迫る。『限定解除(リミットブレイク)』で増やした膨大な魔素を使って、身体強化された蹴りだ……常人にはもう、まともに受けられない威力が秘められている。


 でも、まだ甘い。


「はっ!」


 俺は腰を低くし、蹴りを腕で受け止める。ちなみに体内の魔素を、受け止める部分に集中して、後は踏ん張る為に足にも集中させているのだ。


「腹がガラ空きだぜっ!」


 そう口にしながら、ナグルド先生がアーナさんと入れ替わるように、貫くような蹴りを振り抜く。


 ズドンッ!!


「おいおい……マジかよ」


「これが『魔闘衣(まとうい)』です」


 俺はきっちりとナグルド先生の蹴りを、腹で受け止めていた。その腹には魔素を凝縮して作られた、布が巻かれてはいるが。



「『限定解除(リミットブレイク)』使用中の膨大な魔素を、更に凝縮するとこんな事が出来るんですよ」


 手が止まった二人に都合が良いと思って、俺は軽く説明を始める。


「この技術は体内に凝縮されている魔素を、更に部分的に集中させる物です。見ての通りに、かなりのパワーを出せます。その分制御は難しいですけどね」


「なるほど……『限定解除(リミットブレイク)』が外から体内に凝縮する技法ならば、『魔闘衣(まとうい)』は体内から部分に凝縮する技法で、根本的に同じなのか」


 アーナさんが口にする考えは、大正解だ。難易度が大分違うけどね。


「じゃあ今日はこの辺で終わりにしましょうか。明日からは組み手形式を続けながら、『魔闘衣』の練習をしましょう。それでは皆さんお疲れ様でした!」


「「「「お疲れ様でした!」」」」


 こうして本日の教習は終了となった。



 さて、リアンがきっと待ってるだろうから、序列戦をやってる魔法演習場にでも顔を出しに行くか。

次回の更新は10月半ば予定です!

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