第63話 少女の決意・2
今回もリアン視点のままですね
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7月20日記載・次回の更新は22日に変更します。
待ってる読者様方には申し訳無いのですが、もう少々お待ち下さいませ。
「僕は2年Bクラスのタナトだ。よろしくね」
「私は1年Aクラスのリアン・ガナエリです」
私とカレンちゃんとレオニスくんは、学内序列戦で先輩方と戦う事になった。
私の相手はタナトという名の先輩になった。見た感じはオーソドックスな遠距離火力特化型の魔法使いっぽいよね。
ハヤトくんから教わったんだけど、リーダー気質で頭の良さそうな人は、大体が遠距離火力特化型らしいの。このタナト先輩は序列戦についての説明もしてくれたし、最初に声を掛けて来たのもこの人だ。
ハヤトくんやユーエさんみたいな近接型は珍しいみたいで、普通は魔法を使用した中〜遠距離でしか戦わない物らしいの。
魔物との戦闘を想定した魔法が多いから当たり前らしいけどね。魔法を使える魔物は極少数だし、わざわざ危ない近距離で戦う必要無いもんね。
「審判は私、3年Cクラス担任のシエスタがさせて貰うよ。ルールは説明した方がいいかしら?」
そういえばハヤトくんと一緒に序列戦を始めようと思ってて、細かいルールはまだ知らなかった。
「お願いします」
「ルールは1試合5分まで。どちらかが負けを認めるか、気絶するか、審判である私が危険だと判断した場合に試合を止めるわ。5分いっぱい戦って決着がつかなかった場合には、審判の判断で勝敗を決める事になってるの」
ふむふむ。
「それと……相手を死にいたらしめるような魔法や、再生不能レベルの部位欠損を目的とした攻撃は反則負けになるから注意してね」
なるほど、あくまでも模擬戦だもんね。
「わかりました」
「じゃあお互い準備はいいわね?」
私は頷く。対面に居るタナト先輩も頷いていたのが見えた。
シエスタ先生が魔道具で、タナト先輩と私の腕章に触れながら口を開く。
「それでは序列戦ランキング185位のタナト対、ランキング……ほう……ランキング482位のリアン・ガナエリ」
あ、私にも既にランキングあるのね。それにタナト先輩が驚いている。1クラス40名くらいで、1学年6クラスあるから……新入生を抜いて470人ちょっとくらいかな。
入試の成績で私は8番だったから、474人かな?
タナト先輩も同じように計算して、私の入試成績を逆算して導き出したんだろうね。
「試合、始め!!」
「限定解除」
私は試合開始の合図と共に、距離を取って『限定解除』を使用した。
周囲の魔素の多くが私の中に流れ込んでくる。
「なんか……尋常じゃない威圧感を感じるんだけど、俺不味いんじゃないの?」
タナト先輩が焦ったような顔をしながらそんな事を言っている。
「タナト先輩、もう試合は始まっていますよ?」
そう言って私は手を前に突き出した。私が使える属性は無・水・風・雷・光の5つ。その中でも得意なのは水属性なんだけど、今はこれにしようかな。
「風雷檻!」
タナト先輩を中心に、風の球体が出来上がる。その風の表面には放電現象が発生していた。
この魔法は風と雷の複合魔法で、檻を作って閉じ込める魔法なんだよね。球体の内部の空気を檻の維持に使っている為に、低燃費で効果は高い魔法なの。
そのまま閉じ込められたままなら、中の空気が無くなって倒せるけど……
パァァーンっ!!
凄まじい破裂音と共に、風雷檻は破られちゃった。
「ビックリしたな……流石は入試1桁だ」
タナト先輩が驚きながらも、余裕が見える表情でそんな事を言う。ても、風雷檻が破られるのは予定通り。
「ビックリするのはまだ早いですよ?」
私はタナト先輩の上に準備していた魔法を落とした。
「氷の竜巻!」
触れた者を凍りつかせる水が、上から流れ落ちながら形を成す。それは別名「死のつらら」と呼ばれる魔法だ。
「あ、これは無理だ。ギブアップします」
タナト先輩が、『氷の竜巻』に触れる前に自ら敗北宣言をしちゃう。
「試合終了! 勝者、リアン!」
なんか……あっけなかったな。
「新入生の8番でこれか……今年は凄いな」
シエスタ先生がボソりと言っているのが聞こえた。でも入試では『限定解除』使っていないから、実際の実力と比べたら入試成績は少し違った評価かもしれない。
「強いねリアンちゃん。正直舐めてたんだけど、完敗だよ」
「あ、いえ。ハヤトくんに比べたら全然足元にも及ばないので」
タナト先輩が目を見開いている。
「君で足元にも及ばないって……そのハヤトくんは同じ新入生かい?」
あ、そっか。ハヤトくんは『限定解除』教習で忙しいから、先輩方に名前をまだ知られて無いよね。教習が終わったらきっとみんなビックリするだろうな。
「はい。私の家族で、師匠で、とっても強いですよ? 今年の首席ですしね」
「なるほど、君の師匠なのか……そりゃ強いよね」
「二人とも、ランキングの更新するからこっちに来なさいな」
シエスタ先生に呼ばれて、二人で近付く。
「ほい、腕章出して」
私は促されるままに腕章を差し出した。
「リアンのクラスはナグルド先生が受け持ってるはずよね。なら腕章の使い方とか説明されてないよね?」
記憶を引っ張り出して思い出そうとするけど、そんな説明をされた記憶は無い。
「されてないです」
「腕章は学年別で色の違いがあるけど、それとは別に身分証明にもなるのよ。ほら、裏地を見て」
そう言いながらシエスタ先生が、私の腕章を裏返す。見ると魔石のような物が取り付けられていた。
「これに魔力を通す事で、自分のランキングや簡単なプロフィールが腕章に表示されるのよ。そして私の持つこの魔道具が、プロフィールの更新をする魔道具なの」
ふむふむ、なるほど。これは凄く重要な情報だと思うんだけど、ナグルド先生は本当に適当なんだね。
「はい、これで更新完了! リアンちゃんは185位昇格おめでとう! タナトは482位に降格ドンマイ! 新入生の、しかもこんなに可愛い女の子に負けて恥ずかしいねぇ」
シエスタ先生がタナト先輩をからかうように言う。
「いやまあ……あれは無理ですよ」
バツが悪そうにタナト先輩が言葉を漏らす。
そういえばカレンちゃんとレオニスくんはどうなっただろう?
試合に集中してたから全然見てないけど、そろそろ終わってるよね。
周りをキョロキョロと探すと、カレンちゃんは笑顔でマリエルちゃんと話していた。逆にレオニスくんは、四つん這いになって顔を俯かせている。クウデくんが、その背中をポンポン叩いているのが見える。
カレンちゃんは勝ったけど、レオニスくんは負けちゃったのかな?
「もう戻っても大丈夫ですか?」
シエスタ先生にそう聞くと、頷いてくれた。
この後はみんなと話しながらハヤトくんを待ってようかな。私が序列戦に参加して勝ったって言ったら褒めてくれるかな?
きっと褒めてくれるよね!
私は自然と頬が緩んだまま、皆の元に歩いていった。
次回の更新は予定を変更して22日の19時〜19時20分頃を予定しております!
もう少々お待ち下さい!




