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第48話 イオ第2学園に入学・3

R15作品です。


これから順次改稿予定となってますが、文章はほぼそのままで、空白や3点リーダー(…←これの事)の使用法などを修整していく予定です。

内容は変わらないのでここまで読み進めた読者様方はお気になさらなくても大丈夫ですよ!


Twitter始めました!

@akira_kouno0918


面白い!先が気になる!と思って下さる方は良ければブックマーク・感想・レビュー・評価よろしくお願いします。



 俺はイオ第2学園の入学試験を受ける為に1A教室に入る。


 入試とか懐かしいな。前世の日本では高校入試があった。せっかく受験勉強を頑張って入ったのに……あのクソヤンキー共に台無しにされた……思い出したらなんか腹が立ってきたな。


 まあ今の俺なら入学しても同年代にイジメられるなんて有り得ないから心配は無いけれど、もしイジメられてる子が居たら助けよう。




「お前、ハヤト・ヴァーチだろ?」


 俺が考え事をしながら黒板で指定されている席に向かって歩いていると、後ろから声を掛けられて振り向いた。


 見ると俺に声を掛けたのはリアンの双子の兄であるタニスト・ガナエリだ。


「そうだけど、そっちはリアンの双子の兄であるタニストくんで合ってる?」


「ああ」


 なんだろうかこいつは……ニヤニヤしながらこちらを見てくるからとても不愉快な気分になってきた。


「お前、男なんだって? 父様がえらく褒めてたからどんな豪傑かと思ってたら……実物はこんな軟弱そうなガキかよ」


 周りで聞いていた他の受験生達が俺の顔を見て驚いている。


 知ってるよ? どうせ俺が男だって事にビックリしてるんだろ? まあ俺は可愛いし、仕方が無い。俺は寛大だから許そう。


 それにしてもこのタニストくんはなんなんだ? 喧嘩売ってるの? それともこれがデフォルトなの? ガナエリ家当主の尊大な態度を思い出すと、デフォルトの可能性も否定出来ない。


 俺が黙っているとタニストくんは更に調子に乗り始める。


「ユーエ様はなんでこんな弱そうなのを弟子なんかにしたんだ? ハヤトって名前だからハヤトちゃんって呼んでやろうか?」



 ああうん……これは喧嘩売られてるね。さてどうしようか。そもそもなんでこいつは俺に喧嘩を売ってくるんだ?


「あのさ、俺とタニストくんは初対面だよね? いきなり色々失礼だと思うんだけど、何か用でもあるの?」


 直接聞いてみると、ずっと人を馬鹿にしたようなニヤケ顔だったタニストくんの顔が一気に真顔になる。


「お前は俺の玩具オモチャを奪っただろ?」


 俺がガナエリ家から受け取ったのはリアンしか居ない。つまりこいつはリアンの事を言っているのか?


「それはもしかしてリアンの事を言っているの?」


「ああそうだ。返して貰おうか? あれは俺の物だ」


 こいつは何を言っているのだろうか。そもそもリアンを物扱いして、挙げ句の果てには自分の物だと?


「まず一つ、リアンは物じゃない。そして二つ、リアンは誰の物でもない。そして三つ、お前みたいなのにリアンは絶対渡さねぇよ」




 俺の返答にタニストは怒りを隠しもせずに俺を睨み付けて言葉を発する。



「俺と勝負しろ! 俺が勝ったらリアンは俺が貰う!」


 タニストは本当に何を言っているのだろうか。


「そんな勝負を受けると思うか? そもそも何の勝負をするつもりなんだ?」


「この学園の入試では入試終了後、直ぐに合否判定と成績が張り出される。その成績でどちらが上か勝負だ!」


「やらないよ? やる意味が無いからね」


 だってそうだろう? そんなリスクだけしか無い勝負なんかしても、何の得も無いのだから。


「いいのか? お前の家は騎士爵位なんだろう? そして兄のヨガルは見習い騎士として修行の身……俺が父上に頼めばヨガルはーーーー」


「わかった受けてやる」


 俺は思わずタニストを睨み付けてそう言っていた。リアンは家族だ。でも俺が連れてきた人間で、俺が責任を持たなくちゃいけないと思っている。


 このクズはヨガル兄を権力で何かしら潰そうと言っているのだろう。リアンを理由とされた出来事で家族に迷惑は出来るだけ掛けたくない。



「ふっ、最初からそう言えばいいんだよ軟弱者が」


「ただし条件がある。俺が勝ったらリアンには二度と近付くな」


「いいだろう」



 こうして俺とタニストは勝負する事になった。絶対負けられないな……ていうか勝手にこんな勝負を受けたなんて家族に知られたら怒られそうだ。



 そして試験開始の時間が迫り、教室の扉が開かれて紙束を持った20代くらいで爽やかな見た目の人物が入ってくる。


「ええと、試験を担当するシースと言います。今からテスト用紙を配りますが、裏面のまま時間まで待機してください。チャイムが鳴ったら表にして取り組んでくださいね? 途中退室も認められますが、その場合は席を立つ前に手を上げてください。その場合に私がテスト用紙を回収しますので、その後に退室して貰います。ただし、一度途中退室した場合はテスト終了時間まで教室内には入れられませんので、用事が終了後には廊下に備えられた椅子にて待機してください。試験は開始のチャイムが鳴ってから60分後に、再度チャイムが鳴るのでそこで終了となります。試験終了のチャイムが鳴ったら廊下で待機する生徒は教室に入ってくださいね」



 つまり途中退室はイコールで筆記試験終了なのか。


「そろそろですかね……」



 シースと名乗る試験官がそう言った数秒後にチャイムが鳴った。日本で生きていた頃に学校で毎日聴いていた、とても懐かしい鐘の音だ。


 さてさて、テストはどんな感じかな? ふむふむ……ん? 少し簡単過ぎないか? たまに単語を書く問題もあるけれど、基本マルバツ形式だ。


 問題の内容も基礎的な物が多い。テストは一般教養と魔法学。あっ、でも魔法学はなかなか難しい問題が最後にある。




 あれ? ていうかこの問題は俺の『限定解除リミットブレイク』に関する問題じゃないか?


「周囲に満ちる魔素は自然に吸収される物であるが、これを意図的に吸収する事は可能か?可能ならばその理由と方法を、不可能ならばその理由を説明しなさい」


 という問題である。


 まさに『限定解除リミットブレイク』の事だよなこれ。


 まず周囲の魔素の属性を感知し、体内の魔素をその場に漂う魔素に合わせて属性変換する。そうする事で吸収自体は意図的に効率よく出来る。


 周囲の魔素に属性がある事は書物にも載ってない……つまり一般的に知られていないはずだ。俺の『限定解除リミットブレイク』の技法まで書いたら流石に面倒な事になるか? いや、あのクズに絶対負けられないし書いてしまうか。



 まず体内の魔素を凝縮する、そして体外の魔素に合わせて順次属性変換と吸収、そして凝縮を繰り返す。


 これが『限定解除リミットブレイク』の使用法だ。もちろん魔素の制御がとても難しいし、八主要とされる属性から更に微調整した属性変換技術が求められるから普通の人には出来ないだろう。




 師匠なら説明すれば出来そうだけどな。あの人脳筋っぽいけど、歳重ねてるだけあって魔素制御のレベルが半端ないし。


 ちなみにリアンは八主要全てとはいかないけれど、説明したら『限定解除リミットブレイク』の劣化版みたいな事は出来るようになった。


 そしてミレニーたんは……俺と同じように『限定解除リミットブレイク』を使える。あの子はとんでもない天才だよ……ミレニーたんは可愛いだけじゃない女神でした。



 何はともあれ、筆記試験についてはこれで問題無いだろう。あとは試験終了時間まで待つだけだ。大分時間が余ったし、トイレにでも行ってこよう。



 俺は手を上げて途中退室の意思を試験官のシースに告げる。するとシースは俺の席まで歩いて来て、俺のテスト用紙を回収する。


 そのまま俺は教室を出てトイレを探して用を足してから、教室前の廊下に備えられた椅子で待機した。




 そのまま待つ事数十分。ついに懐かしい鐘の音が鳴ったので、俺は教室の中に戻って自分がテストを受けていた席に戻る。


「皆さんお疲れ様でした。次はこのまま魔法演習場に移動となりますので、私に付いて来てくださいね?」



 俺を含めた受験生が試験官のシースに付いて移動を開始した。校舎から外に出て、6つ並んだかなり大きめの体育館のような建物の一つへと入る。中はサッカーグラウンドくらいの広さはあるだろうか。



 最初は魔力測定らしく、二つ並んだ魔力測定具前に受験生は集められる。他の教室で受けていた受験生も混ざっている。



 そして試験官が変わるのか、新たにだらしない無精ヒゲを携えたおじさんが前に出て説明をし始めた。


「あぁ……俺はナグルドってもんだ。今から順番に受験番号を呼ぶから、呼ばれた奴は魔力測定具で魔力を測れ。終わったら戻って待ってろ」



 説明それだけかよ? 見た目通りにだらしないというか、適当なんだなこの試験官。でもなんていうか……そこそこ強そうなたたずまいをしている。このおじさん、ペンドラ騎士団でもやっていけそうなくらいじゃないか?


 まあいいか。番号呼ばれるまで待ってよう。



明日も19時頃に更新予定です(^^)


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