第22話 地獄の遠征に行く・8
R15作品です。
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ホワイ?
神様が世界を滅ぼそうとしてる?
いきなり師匠からそんな事を言われて俺の頭はクエスチョンマークでいっぱいだよ。
世界を滅ぼすってどうやって?
ていうかどういう理由で滅ぼすの?
そもそも神様なんだからそんなの簡単に出来ちゃったりしないの?
まぁ滅ぼされたらきっと俺も死んじゃうんだろうから、世界滅亡が達成されてない今は良いことなんだけども。
「まず神様っていうのがどういう存在なのかわかるかい?」
神様がどういう存在か?
そりゃまぁ……どういう存在なんだろ?
わからないので首を横に振る。
「私が知る神様は二人だけなんだけど、一人は私を転生させてくれた女神様でもう一人が私が話した事のある転生者なんだよ」
転生させてくれた女神様って、俺を転生させてくれた洗濯機様だろうか?
あの猟奇的洗濯機は思い出すだけで気持ち悪くなってくる…
それでもう一人は転生者か。
転生者?
という事は元は人間であり、元日本人が神様なの?
「気付いたみたいだね。そう…少なくともこの世界を滅ぼそうとしてる神は、元は人間だったんだよ」
元は日本人で転生者で人間やってて、今は神様になって世界滅亡を企んでるとかどんだけキャラが立ってるんだよ。
ていうか色々わからなさ過ぎて何を聞けばいいのかもわからん。
「神の名前はサーシャ・ナーギストと言ってね…昔、私の弟子をしていたんだよ。それはもう優秀な弟子でねぇ…私なんか直ぐに超えていったんだよ。」
サーシャ・ナーギスト。
女の子かな?
師匠の弟子って事は俺と師匠の間くらいの年齢だろうか?
………ん?
あれ?
そういえばこの師匠何歳なんだ?
見た目20代だけど昔に弟子が居て、ていうかペンドラ騎士団もそんな真新しい騎士団じゃないよな?
話の途中だけどこれは確認せねばなるまい。
「師匠」
「ん?なんだい?」
「師匠って何歳なんですか?」
師匠の顔が引き攣って固まる。
「ハヤトくん?レディーに年齢を聞くのは失礼じゃないかな?」
師匠は笑顔なのになんか背後に般若みたいなのが見えそう。
でも流石に20代じゃないと思うし…これは聞かなきゃ色々と俺の中で辻褄が合わないじゃん?
俺の退かぬ決意の眼差しを見て師匠は溜め息を吐く。
「私はエルフなのよ」
そう言って師匠は耳が見えるように髪をすくう。
見えた耳は先が少し尖ってて長い。
俺はエルフを初めて見る。
耳以外は人と変わらない見た目なんだね。
「エルフは長命で、400から500年くらいは生きるのねよ。それで、見た目は成人するくらいまでは人族と同じような早さで成長するんだけど、そこから350から400歳くらいまではほとんど見た目が変わらないのよ」
ふむふむ。
それで師匠はどうなんだろう?
まだ俺が疑問顔をしていると、師匠はキッと睨み付けてくる。
「もう一度言うけど、エルフは長命なの。わかった?」
これはあれか。
結構な年齢だからこれ以上触れるなって事か。
まぁつまりおばあ…
「おばあちゃんとか考えてたら今直ぐその考えをやめた方が身の為よ?」
……なんでわかるの?
これが俗に言う女の勘ってやつなのか?
恐ろしいな…
師匠がまた、今度は深く溜め息を吐く。
「話を戻すけど、私の弟子だったサーシャはどうやったのか知らないけれど神になったわけ。それで何を思ったのか、神になった途端に世界を滅ぼしたいと言い始めたのよ」
いやいや意味わからんし。
まず神様と人の違いってなんだよ。
俺が神を自称したら神様なのか?
神様になると世界を滅ぼしたくなる何かがあるのか?
また疑問顔をしている俺を見て、師匠も疑問顔になる。
多分俺が何を疑問に思ってるのかがわからないのだろう。
仕方がない、一つ一つ聞いてくか。
「まず第一に、そのサーシャさんが何故神だとわかるのですか?神と人間の違いが何かあるんですか?」
「ああそれは聖女に女神様から神託でお告げがされたらしいのよ。「邪神が生まれました」ってね。それに合わせてサーシャが豹変してて、自ら神を名乗ってたのよね」
なるほど。
聖女という存在が神託を受けて、同じタイミングでサーシャさんが自ら神を名乗りだしたと。
「それで、人と神の違いはなんですか?」
「わからない。私から見たら人に見えるけれど…でも魔法に関してはデタラメな力を身に付けてたわね」
これは神になったから魔法の力が強くなったのか?
それとも魔法の力が強くなったから神になったのか?
それとは別に何か原因があるのだろうか。
今の時点では何も判断が出来ないな。
「サーシャは神になった後にこのインラ帝国で大暴れして行方不明になったわ。その後は目立った動きは何も掴めてなかったのよ。でもここ数年で、ある犯罪組織が活動を活発にしててね…私の思い過ごしだとは思うのだけれど、その組織のリーダーがサーシャなんじゃないかと思ってるの」
犯罪組織のリーダーである可能性か。
そのサーシャって人がもし本当に犯罪組織のリーダーなんかやってるなら、俺は気に入らないな。
「君が誘拐された事件があるでしょ?あれは私がサーシャが居ると疑ってる犯罪組織の「ササナギ」の犯行なのよね」
児童誘拐をする犯罪組織……ますます気に入らないな。
弱者を理不尽に虐げる。
そんな存在を俺は許せない。
でもなぁ…師匠より遥かに強い神を相手にするとかぶっちゃけ無理だよなぁ。
俺が一人で思案に耽っていると、師匠が咳払いを一つする。
「コホン…それで何故君がササナギに誘拐されたのかという部分に付いて一つの可能性がある。それは君が転生者だからだ」
ホワイ?
俺が転生者だから誘拐されたと?
このキュートな見た目が原因じゃないのか?
「ここ数年で誘拐された子供の事件が他にも何件かあるんだよね。それで調べた調書を見ると、どうも私から見たら誘拐された子供達が転生者っぽかったのよ。それで今回の誘拐事件で見事に犯人達を返り討ちにした君が、転生者か確認する為に直接話しがしたくて根回しをして私に会いに来るようにしてたの」
なん…だと!?
つまりあの模擬戦とか弟子云々の話は元々予定されてなかったのか?
「あの模擬戦と、俺の師匠になる事は決まってたんですか?」
俺は思わず確認してしまった。
だってあの模擬戦本当に有り得ないんだもん。
俺8歳よ?
8歳の子供に対するは350歳以下ではあるけど相当な年増よ?
しかも軍でバリバリの現役で世界最強とか言われてる騎士団の団長よ?
有り得なくね?
「それは私の独断でその場で決めました!」
キリッとしたいい顔しやがってこんちくしょう。
何と無くそんな気はしてたよ。
俺は深く溜め息を吐く。
「まぁつまりね。転生者を狙う理由や目的が不明な今、君がまた狙われる可能性が少なくないと思うんだよ」
……あ。
確かに…もし本当に転生者を狙ってるのなら、その可能性は十分にある。
「本当なら監視して保護しておく予定だったんだけど、君の場合は君自身が強くなって自分を守る方が色々と都合が良さそうだからね」
まぁ監視されて暮らすよりはいいかな?
ていうか思ったよりもちゃんと計画性を持ってるのね。
そりゃ強いだけじゃ団長にまでなれたりしないか。
この人は俺が思ってる以上に優れた人なんだろう。
「もしかしたらサーシャが転生者である君を狙ってるかもしれず、今後も何かあるかもしれない…これが説明しようと思ってた事なんだよ」
これは知っておいて損はなかったな。
むしろ有り難い情報だ。
「教えてくださりありがとうございます」
師匠は俺の礼を聞いてウンウン頷いている。
「よし、じゃあ話はこれくらいにして循環術式を組み込んでよ。それを理由にサボ……それを見に来たのもあるんだよね」
ああ今このダメな師匠は確実にサボりに来たと言いかけた。
やっぱこの人何かがダメだわ。
そう思いながらも俺は黒刀・羅刹を手に循環術式の準備を始めるのだった。
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