第19話 地獄の遠征に行く・5
R15作品です。
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「転移魔法の練習をしていたら成功はしたのですが、失敗もしてしまいました……」
俺はメニルお母様に先程の事故の説明をしていた。
先程の事故は簡単に言えば次元を切り裂いて転移をしたのだが、俺のイメージの甘さが原因で手首から先がその場に取り残されてしまったのだ。
「全くホントにもう……誘拐されたり軍の遠征に連れていかれる事になったり大怪我しちゃったり……ママここ数日で少し老けちゃったかもしれないわよ」
確かにここ数日は色々俺の身に何かがあるんだよな。
「心配かけてごめんなさい……」
少し居た堪れない気持ちがあったので謝る事にした。
「まぁハヤトちゃんが大丈夫だったからいいんだけど……」
そう言いながらメニルお母様は何か考え込んでいる。
「ハヤトにぃ元気出して? よしよし」
ミレニーがシュンとしてる俺を見て頭を撫でてくる。
見たか? これがミレニーたんだぞ!
俺は心の中で世界にミレニーたんの素晴らしさを叫ぶ。ミレニーたんマジ天使!!
「ママにはハヤトちゃんの凄さがまだわかってないのかしら? ハヤトちゃんから見て本当に危なかった事は今までどんな事かしら」
ん? 本当に危なかった事?
ううむ……誘拐事件は眠らされてる間に何かされてたらヤバかった。団長様との模擬戦も命の危険を感じたな。
さっきの事故は……まぁ死ぬまでの事ではないよな。でも失敗した転移で取り残されるのがもっとヤバイ……例えば首とかなら一瞬だったわけだから危なかったって事なのかな?
うん。今なんで俺は五体満足で居られるんだろうか。俺は思い付いた命の危険をそのままメニルお母様に話した。
「ハヤトちゃんは自分で何が危なかったのかちゃんとわかってるのね? なら少し安心したわ〜……でもわかってるなら今後は気を付けてね?」
メニルお母様はそう言いながら俺の頭をぽんぽんと優しく手を乗せる。
うむ。転移魔法はともかく、誘拐と模擬戦は俺悪くないと思うんだけど……まぁいいか。
「はい、気を付けますメニルお母様」
俺は一言そう言うと満足したのか、メニルお母様は台所に戻っていった。
さて。さっきの転移魔法について考えてみよう。
作った術式と属性変換した魔素は転移が発動しなかった時に使ったのと同じはずだ。つまり、やはり大切なのはイメージという事なのだろう。
俺は再度庭に出て、今度はしっかりとイメージしてから転移魔法をやってみる。
魔素の変換、問題無し……術式の構築、問題無し……イメージは俺の全身から周囲30センチほどの空間を指定した転移。
集中して叫ぶ。
「転移!」
……お? これは、成功だ。
俺はしっかりとイメージした場所に転移が出来ていた。他にもイメージで何が出来るのか色々と試していく。
そうしてわかった事がいくつかある。まず、しっかりとイメージした魔法は術式の構築すら不要かもしれない。
俺が無詠唱と、オリジナルの術式構築が複雑な魔法を発動出来ていたのには理由がある。
それは俺の記憶にある術式を、魔素で属性変換した電気質のシンプルで簡単な魔法で直接脳から引きずり出して、イメージと術式構築を考えるという過程を省略していたのだ。
俺はこの魔法を「リーディング」と呼んでいる。
発動に一言必要なのは、引き出したい魔法を判断する為であって術式の構築には関与していない。つまり実質無詠唱である。
そして今回発見したイメージ力による魔法の影響……これは俺がやっていたリーディングとそんなに原理は変わらないのだと思う。
俺のリーディングはイメージする手間が無いけど、その分応用が効かない。逆に今回発見したのは、その場に適したイメージをする事で応用性は格段に高くなる。
まぁイメージする手間があるけれど。
なんにせよこれで循環術式の構築の目処が付いた。
……よし。こうして俺はナイフに向かって循環術式の構築を試し始めた。
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