表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/65

第18話 地獄の遠征に行く・4

R15作品です。


Twitter始めました!

@akira_kouno0918


面白い!先が気になる!と思って下さる方は良ければブックマーク・感想・レビュー・評価よろしくお願いします。

「ミレニーよ! 私は帰って来た!」

「?」


「……ただいま」

「うん、おかえりハヤトにぃ」


 前世のネタが通じないっていうのは少し悲しい物があるよね。


 さて、ガイアス副団長様に転移魔法を見せてもらって家に帰ってきました。まだ夕方に差し掛かったあたりで夕御飯には少し早い。


 というわけで夕御飯まで俺は転移魔法の実験をする事にした。

 俺が確認しなければならない事が2つある。


 1つ、転移魔法に使う八主要以外の属性変換がどんなものか。

 2つ、循環術式に組み込む術式に有用な何かはあるか。



 本当は魂関連の事も確認したいのだが、これは後回しにする。実験途中に発生するかもしれない思い掛けない事故などを考えると、団長様に聞いてからの方がいいと思うのだ。


 なにせ魂だぜ?


 何かあったら身体は無事でも死んじゃいます……なんて事も有り得そうじゃない?



 ……あれ? そう考えると転移魔法用の属性変換を試すのも危なかったりするのかな?


 うぅむ……まぁ、大丈夫だろう。


 だって副団長様も転移魔法使ってたし。俺が転移魔法を知りたがってても、特に止められなかったし。


 という事はとりあえず命に関わるような危険は少ないのだろうさ。



 という訳で実験を始めようか。まずは見せてもらった術式に関しては特に問題はなかった。


 大体イメージ通りだったと言ってもいいだろう。



 手順は自分と転移先の座標を指定して、自分と転移先の間に魔素のトンネルを繋ぐ術式を作る。


 そして八主要とは別の転移用の属性変換をした魔素を術式に通すと、その道が使えるようになるわけだ。


 正直なんでこれで転移が可能なのかは未だによくわからない。副団長様は自分特有の属性に変換しなければ発動が困難と話していた。


 そこに転移魔法を発動する為の秘密が何かあるのだと思う。


 ……おそらくは魂と魔法の関連に繋がる重要な秘密が。



 今は考えても仕方がないな。まず属性変換から試してみよう。


 イメージは魂。俺は地面に胡座(あぐら) をかいて目を閉じる。

 そして自分の体内の隅々にまで感覚を研ぎ澄ませる。


 …………わかる……魔素の流れが。魔素の属性が。


 この魔素をゆっくりと俺がイメージする俺自身の色に変えていく。



 …………いい感じだ……


 俺は全身の魔素をイメージ通りに属性変換した。この状態で転移魔法の術式を構築する。


 うむ。術式も問題無い。そして……

「転移!」


 ……ん? あれ? 転移してない……俺は失敗したみたいだ。


 もう一度最初からやってみる。魂のイメージをした属性変換をして、その魔素で転移魔法の術式に流し込む。


 しかし、何故だろうか。失敗する。

 なんでだ?


 術式は問題無いはず。副団長様が見せてくれた術式と同じはずなのだから。


 なら原因は魔素という事になる。俺の属性変換のイメージが間違えている?


 間違えてると仮定して、俺はどういう風に間違えてるのだ?

 正解がわからないから修正の方向性がわからない。


 副団長様はなんて言っていた?


 確か……転移は八主要とは別の感覚的な物なので伝えるのが難しいってのと、自分特有の属性に変換しなければ発動が困難と言っていたはず。


 あとは自分の分身を用意して配置する感じとも言っていたな。

 自分の分身を配置するイメージ……ん?



 …………あれ?



 おかしい。



 本来ならこれは術式に組み込まれてるはずの事じゃないか?

 つまり作った分身を配置するのは術式の仕事だ。


 ならなんで副団長様はわざわざこんな事を言った? まさか……魔法はイメージ力にも影響を受けるのか?


 試しに指先に炎の球を浮かべてみる。GFOの世界では術式を構築して、そこに魔素を通すと魔法が発現するという設定だった。


 魔法の術式を構築する部分にかなり自由度があって、それに俺は惹かれてドハマりしたんだっけ。

 でも洗濯機様はこの世界がGFOの世界と「似た」世界と言っていたな。


 つまり同じではない。もし……イメージ力が魔法に影響するのだとしたら……


 そう考えて俺は指先に作った火の球が圧縮されるイメージをしてみる。



 ……お? おおお??


 火の球が縮んだ。


 これは……やばいかもしれん。

 俺が図書館通いで学んだ記憶の中にも、確かにイメージが大切だという記述は何度か見かけた。


 俺はそのイメージの影響が、術式の精度の高さに繋がると勝手に解釈していた。先入観だな……前世のGFOの知識が、そこで思考をやめさせてしまった。



 しかしこれは本当に凄い事を発見したぞ。俺の魔法はこれで飛躍的に伸びるんじゃないか? ていうかホントなんでも出来ちゃうんじゃなかろうか?


 あれ? 俺最強なんじゃね?



 試しにもう一度転移魔法をやってみよう。今度はイメージを重視して……そうだな。次元を切り裂いて道を作って通るイメージか。


 集中してまずは属性変換をする。まだ慣れてないから時間を掛けてゆっくりとだ。そうして作り上げた魔素を、転移の術式構築をしてそこに通す。


 通しながら転移の入り口である俺と、出口の次元を切り裂いて通るイメージもする。


 そして……

「転移!」



「…………いっっ、でぇぇぇっっ!!!!」


 思わず俺は叫んでいた。


 痛い痛いめっちゃ痛い何これ本当に痛い。


 痛みのする方へと目線を向けると、そこには手首から先が無くなった右腕があった。

 なんだこれなんだこれ痛い痛いめっちゃ痛い何があった?


 腕を押さえながら俺は周りを見渡す。



 俺の居る場所は目標とした転移先に移動していた。そして俺の手首から先は元居た場所に無造作に落ちていた。



 俺の叫びを聞いてか、家の中からメニルお母様が出て来て俺の惨状を目撃する。


「ハヤトちゃんっ!!!」



 俺は苦痛に顔を歪めながら自分の手首から先を拾いに向かう。そして手首と、腕先の断面に水魔法を構築して洗浄する。


「ぐっっ!!」


 はっきり言おう。めっちゃめちゃに痛い。

 尋常じゃないくらいに痛い。


 血も流れまくってるし、見てるだけでも痛々しい。痛々しいというか本当に痛い。


 洗浄が終わった手首と腕をくっ付けて、俺は痛みを我慢しながら集中する。


「我が望むは最果ての癒し、我が求めるは清浄なる姿、光と水より彼の者を癒せ!ハイヒール!!」


 俺の手首が光り輝く魔法に包まれる。

 そして光に包まれた手首から徐々に痛みが引いていく。


 やがて光が治まってきて、俺は恐る恐る自分の腕を確認する。


 良かった……本当に良かった……ちゃんと繋がってる。


 しっかり動く事も確認してから俺は地面にへたり込んでしまった。


「ハヤトちゃん! 何があったの!?」


 そこにメニルお母様が涙目になりながら詰め寄ってくる。


 なんだっけ……あぁそうか。


 転移魔法を使ったら転移出来たけど、手首から先が置き去りにされたのか。

 なんて説明しようか。とりあえず一度落ち着きたい。



 メニルお母様もテンパっているし。


「メニルお母様、一度家の中に入ってからでいいですか?」


 そう言って俺は立ち上がる。立ち上がった瞬間にメニルお母様が抱き締めてきた。



「もう……あまり心配ばかりかけないで? ママ心配し過ぎて死んじゃうかと思ったわ」



 この場合に死んじゃうのはどちらの意味なのだろうか?


 俺が死んじゃうのか、心配のし過ぎでメニルお母様が死んじゃうのか、多分後者でメニルお母様自身の事だろう。


「まったくもう……」


 俺が抱きしめ返して落ち着いたのか、メニルお母様は離れて俺の手を握りながら家の中に2人で戻る。


 ちなみにミレニーは部屋の中で訳もわからずオロオロしていたのだが、俺の姿を見ると落ち着いたようだ。

 俺がソファーに座るとメニルお母様が向かい側に座る。


「さぁ、何があったのか説明してもらうわよ?」


 こうして俺は先程の事故に関する説明を始めるのだった。


Twitter始めました!

@akira_kouno0918


面白い!先が気になる!と思って下さる方は良ければブックマーク・感想・レビュー・評価よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ