第11話 俺の師匠はオタクだった件・2
R15作品です。
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エクスカリバーを持ったフィギュアをマジマジと見ていたらクラガお父様が受け付けから戻ってきた。
「その人形がどうかしたのか?」
クラガお父様はフィギュアに視線が釘付けである俺を訝しむように聞いてくる。
「これ、街でも見た事無いけど何処で買われた物なの?」
「なんだ? ハヤトは人形に興味でもあるのか?」
「別にそういうわけでもないけど、珍しくてさ」
「これは多分ユーエ・スフィア様の作品だろうな……ペンドラ騎士団の団長様だよ」
俺はビックリしてクラガお父様の顔を見る。
なるほど。ユーエ・スフィアという団長が作った騎士団がペンドラ騎士団で、約束された勝利の剣とかいう呼び名もユーエ・スフィアが広めたんだろう。
俺はそう勝手に解釈して納得する。
「さぁ魔力測定に行くぞ」
クラガお父様はそう言って歩き出す。俺もそれに付いていく。
魔力測定は個室で行われるらしい。
俺とクラガお父様は魔力測定具が置かれる個室近くのベンチで待機していた。
待っていると個室から出て来る冒険者のようなお兄さんがいた。多分魔力測定が終わって出て来たのだろう。
「ハヤト・ヴァーチさんどうぞ〜」
個室の中から事務員らしきお姉さんが出て来て、俺の名を呼ぶ。俺とクラガお父様は立ち上がって個室に入る。
「おぉクラガ、この子が例の子か?」
「はい、この子がバルト様にお会いするのは初めてでしたね」
中に居た筋肉ムキムキのスキンヘッドおじさんはバルトというらしい。
クラガお父様の上司か何かかな? 一応ちゃんと挨拶をしよう。
「クラガ・ヴァーチの息子でハヤト・ヴァーチと申します。よろしくお願いいたします」
「おぉこれはご丁寧に、我はバルト・スタッシュフェルド。君のお父さんが所属する魔法騎士第4部隊の隊長である。ところでハヤトちゃんはいくつなのかな?」
やはりクラガお父様の上司か。ていうかやっぱり女の子だと勘違いされた。まぁ見た目女の子だし、もう慣れたけど。
「今年8歳になりました」
俺は余計な事は言わずに年齢だけ告げる。
そこでクラガお父様がフォローに入る。
「バルト様、ハヤトはこんな見た目でも男の子です……」
「おぉすまんな、8歳か……学園もまだ先だのう」
こんな見た目って言われた。
まぁ自覚あるからいいけど、少し傷付いた。
ムスッとした俺に気付いたクラガお父様が慌てて話を切り出す。
「それで今日はハヤトの魔力値を測定しようと思いまして、昨日の件もありますし早い方がいいかと……」
「そうじゃな、ではハヤトくんはここに手をかざして魔素を思い切り流し込んでくれ」
そう言われて俺はかなり大き目な手の形に凹みが作られてある箱型の魔力測定具に、言われた通りに魔素を思い切り流し込む。
箱の横に魔力値を表示する針があるようで、測定員らしきお兄さんと、バルト様と、クラガお父様はそれを注視する。
「もう良いぞ」
バルト様からストップが掛けられる。
「まぁなかなかだが……思ったよりも普通じゃの……これではユーエ様に……」
そう呟くバルト様の横で測定員らしきお兄さんは口をパクパクさせながらバルト様の肩を叩いて魔力測定具の一部を指差す。
ん?
なんか針の上の4つある発光灯が全部光ってて、測定員のお兄さんはそれを指差してるようだ。
「これは……」
「まさかハヤトがこんな……」
「クラガ、ユーエ様を呼んで参るから暫し待っておれ」
「はっ!」
あれ?
これ俺なんかやらかしちゃった?
バルト様は足早に部屋を出て行った。そして残されたのは俺とクラガお父様と測定員のお兄さんである。
「きみ、これは測り間違えとかでは無いのかね?」
クラガお父様が測定員に問い掛ける。
「た……多分問題無いはずですが……」
なんか2人ともあからさまに狼狽えているのだが。
そうこうしてるうちにバルト様が人を連れて戻って来た。
バルト様と一緒に来た20代前半くらいに見える銀髪でセミロングの美しい女性が俺に話し掛けて来た。
「君がハヤトくん? あれ? 男の子って聞いてたんだけど……」
「クラガ・ヴァーチの息子でハヤト・ヴァーチと申します。こう見えて男です」
俺は直ぐさま挨拶をする。
さっきバルト様はユーエ様を連れて来ると言って部屋を出た。つまりはこの人物がペンドラ騎士団の団長であるユーエ・スフィアその人なのだろう。
俺の挨拶を聞いたユーエ・スフィア団長はあからさまにテンションが上がっていた。
そしてこんな言葉を口走る。
「リアル男の娘キタコレ!! 萌えるわぁ!」
あぁ……たった今確信に変わった。この人は俺と同じ日本人だったのだろう。
そして日本人としては少し変わった部類の、いわゆるオタクと呼ばれる人だと思われる。
こうして俺はペンドラ騎士団の団長である、ユーエ・スフィアと初めて顔を合わせた。
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