〜第4章 マスターとは?〜
部屋に戻ってきた頃にはどこかに行っていた
マスターが部屋の上部にあった画面上に出てきて、
「ハッハッハッハ。」
悲しんでいる生徒達をあざ笑うかのように高笑いをし、
画面越しでみている生徒達は不愉快な気持ちになる。
「何様のつもりなんだよ。
人の命を、俺たちの仲間の命を奪っておいて。
お前なんて生きている価値無いよ。」
親友を得体の知れない奴に殺された怒りは計り知れない。
そんな中、怒りの思いをマスターにぶつけた。
「何がしたいんだよ。そんなに人を殺して楽しいか。」
しばらく、マスターに対し憎しみ混じりの暴言を吐いていると、
急にマスターが何かを叩き、話し始めた。
「じゃあ、お前達はどうなんだよ。
担任だった教師の名前が第1ステージの答えだった。
それを踏まえて何も思わなかったのか。」
全員が黙り、それを良い事にマスターは話し続ける。
「お前達の担任教師だった宮田 卓は、
表向きは、お前達向けには辞職、退職した事になっているけど…、
でもな…本当はとあるクラスの奴らにいじめられ、
精神疾患を患い、自殺したんだ。
お前達は集団で担任をいじめ、死に追い込んだ。
生徒会長・特別顧問といった地位のある人間達が…
寄ってたかって人をいじめ、殺した。
自殺かもしれないけど、お前たちのせいで…
そんな奴らが、私がした事を責めれるか?」
黙り込んだ。名指しで批判された
海堂 みなみ生徒会長・涼元 葵生徒会特別顧問兼風紀委員長や
海堂委員長・松波副委員長らは皆より責任を感じている。
「それでも人を殺すのはどうなんだ。」
「復讐なんだよ。クラスの一員にも協力してもらってね。」
「誰なんだ。うちのクラスにいる協力者というのは。」
「教えるわけにはいかないな。」
「何故だ。教えろよ。」
「その前に君達は自分たちのいない学校がどうなっているか気になるだろう。
ニュース映像をまとめたVTRがある。それを見るがいい。」
砂嵐の後、映像を見せられる。
『続いてのニュースです。
特別法人『日森会』所管 学校法人『森近学園』九州支部鹿児島県指宿分校の
生徒が集団失踪した事件で日森会は緊急の理事・役員会を開き、
法人の報道対応を西谷広報委員長に一任する事を決定しました。
それでは、西谷広報委員長の会見映像です。』
『本日、臨時で緊急の理事・役員会を開き、
報道対応を私に一任する事や今後の初動対応を決定しました。
それを受けて本日の会見に入らせて頂きます。
◯月△日に学園祭の準備をしていた所で拉致及び誘拐をされ、
行方不明となりました。
これを踏まえ警察に必要な届け出を九州支部長、指宿分校長名義で出し、
法人本部に危機管理情報収集室を設置致しました。
ここでお願いを申し上げます。
報道関係者並びに一般の皆様に本件に関わります情報等を
入手致しましても公開をせず、
警察か危機管理情報収集室にお寄せ頂きますようお願い致します。
九州支部長及び指宿分校長等の処分につきましては
本件事案終了後に協議を致します。続いては…。』
会見映像が終わり、画面がマスターに変わった。
「もちろん大事になっている。
お前達がこれからどうなるか楽しみだ。
しばらくは少し休んでくれ。じゃあな。」
マスターとの通信も途絶え、静寂の時間が全員に流れる。
「あいつは人間じゃないよ。」
「人を殺して笑ってた。ありえない。」
「人殺しの言葉を肯定する訳じゃないけど、
確かに私達が担任教師をいじめていたのは確かだ。
そういう点からは何も言えないよ。」
「でもやっぱり気になるのは、うちのクラスにいる協力者だよ。」
「この中にいる誰が協力者なのか明らかにしないと。」
「この中にいるというのは時期尚早じゃないか?」
「まさか、死んだ奴の中にいるとでも言うのか。」
マスターの“協力者”について生き残っている生徒達の間で話し合われている。
「そうじゃないけど、その可能性もあるって事だよ。」
「でも、閉じ込められた部屋に水がパンパンに入って
息もできないんだぞ。ありえないよ。」
「協力者が何の意図で協力しているのかも気になる。」
「マスターと何らかの関係がある…友達か。」
「ただの友達がこんな事する?」
「大親友だったとか。」
「いや、それでもこんな犯罪行為に加担するとは思えない。」
「ただの親友じゃなくて好意を抱いていたとか。」
「もしくは相思相愛だったとか。」
「だとしたら、マスターは低年齢って事になるのか?」
「とは限らない。世の中には年の差カップルが山程いるんだから。
うちの学校法人の統括組織の森近理事長と西村 萌 元理事長代行なんて
それ程でも無いけど10近くは離れてるよ。」
「まぁ、日本中でもおしどり夫婦で有名だからね。」
「でも、改革党 総裁選を巡る対応で法人を除名処分になってから、
離婚したって噂も聞いたよ。」
「あれは表向きで、西村 元執行役員はまだ離婚をしていないみたいだよ。
家庭に専念しているらしい。」
「話が逸れてるよ。」
「マスターの正体が何なのか。謎だ。」
マスターとその協力者について話し合い、平行線に終わった。
しばらく休んでいるととある映像がモニター上に急に流れた。
『お前達。やめないか。こんな事。
3年で進路の関わる時期になってくる。
こんないじめで進路狭めたくないだろ。
やめてくれれば先生怒らないし、黙っとくから。』
『うるさいな。いい加減にしろよ。
この学校の副校長だか何だか知らねーが、
えらっそうに人に指図しやがってよ。
挙句に生徒の成績を操作しやがって。
早く…』
少しだけ間を溜め、
『辞めちまえよ。それとも死ねば?』
人殺しのマスターだったが、このような罵詈雑言を浴びせた生徒も生徒だ。
映像が流れている間、非常に重い空気、どんよりとした空気が流れている。
「これの翌日に失踪。その2日後に懲戒解雇され、
すぐに自殺したよ。確かに私は人殺しだ。
法に違反した。でも、お前達は法にこそ触れなかったが、
間接的に人を殺したんだよ。私と同じなんだよ。お前達は。」
「申し訳ないと思っています。」
「謝りますから助けて下さい。」
「卓先生もそう言っただろうに。お前達はそれを突っぱねた。
そんなお前達に助かる余地は無い。と言いたい所だが、
今やっているゲームに勝利した者は生きて帰してあげよう。
次のステージの前に班を再編しよう。君達は一体の班となる。
15人となるからやはり指示を統一しないといけない。
そこで代表・代表代行・対策幹事長の職を君達に与えよう。
代表には海堂君。代表代行はみなみ君。対策幹事長は涼元君。
その下で君達は脱出を目指してもらおう。」
そして次のお題が出された。
『マスターの正体を明かせ。』
「明かせといった所でヒントが無いのに。」
「とりあえず考えよう。」
指令の後、タブレットにメールが届いた。
「本棚をどければ隠し通路がある。
その先に私の正体を知るヒントを知る事が出来る部屋がある。
まずはそこを探索すると良い。」
「とりあえず行ってみようか。」
全員で力を合わせ部屋にある本棚をどけた。
屈まないと通れない通路を通り、とある大きな部屋についた。
「さっきと同じくらい大きな部屋。」
「あぁ、不気味な上にいくつか扉がある。その奥にヒントがあるんだろう。」
「それにしてもいつになったら助けは来るんだ。」
「探されてるのかな。」
生徒達の期待に答えるように、必死に捜索・捜査が行われている。
日森会の方でも警察と連携し、情報収集に務めている。
「続いてのニュースです。
学校法人『森近学園』指宿分校の生徒が集団失踪した事件で
鹿児島県警は特別捜査本部を設置した事を明らかにしました。
森近国家公安委員長も先日の閣議後会見で「警察庁としても
協力ができるようであれば喜んで協力する。
一刻も早く犯人が捕まる事を望んでいる。
何よりも生徒の命が第一だ。」
とコメントし、県警の捜査を全面的に支える事を表明しています。
続いて日森会 西谷広報委員長の会見映像です。」
日森会の方でも必死に捜索活動が行われている。といっても限度があるが…
「私の方から申し上げる事が一つございます。
鹿児島県警より生徒に関する資料を任意提出して欲しい旨の
要請がありましたので、その通りに致しました。そして……。」
次は閣議後の森近国家公安委員長。
「私から申し上げる事はありません。質問をどうぞ。」
「森近学園 指宿分校の生徒が集団失踪した事件で鹿児島県警が
特別捜査本部を設置しました。
森近氏は所管法人の理事長としてこの事態を
どのように受け止めていらっしゃいますか。」
「まず、このような事態になった事については、
警備体制に問題があったのではないかと指摘されても致し方がありません。
その上で担当者である指宿分校長と九州支部長については
誠に遺憾であると考えます。」
「今回の事件で鹿児島県警の捜査が難航しているようですが、
自身が相談役を務めているICPOに捜査協力を依頼する気はありませんか。」
「まず本事案が海外勢力と関連をした訳ではありませんので、
協力要請の大前提である部分に抵触していませんので、
要請する気はありません。」
鹿児島県警 特別捜査本部の捜査は難航している。
何せ生徒達が急に消え、消えた様子がカメラに映っていない。
だが、犯人の正体を薄々掴んでいるようだ。