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〜第3章 怒りと悲しみ〜

生徒たちは「何個部屋があるんだ」「どんだけ金をかけているんだ」と

呆れる者もいた。


「何ここ。さっきの屋敷より不気味。」

「不思議の国のアリスに出てきそうな部屋ね。」

「ねぇ、そこの何?」


楓が指差した先には1つの資料があった。


「何かの写真とこの部屋の座席表?みたいだけど。」

「見せてその写真。」


楓からその写真を受け取る高梁。

自分の持ち味である閃き力で

何だか閃きそうなのか、考え込む。


「何か分かった?」

「この写真変なんだよね。」

「何が変なの?」

「ちょっと待って。今、思いつきそうだから。」


5分。それぐらいが経った頃、

高梁は思い出したかのように立ち上がった。


「誰か、この部屋を探る前の写真を持ってる人いるか?」

「私なら動画を撮影してたけど。」


スマホを差し出した。女子達の声が入っているため多少、騒がしい。


「やっぱりな。」


高梁は何かを1人で納得しきっていた。


「1人で納得するなよ。しっかり説明しろよ。」

「衝撃の事実かもしれないが心して聞いてくれ。

そこにあった資料の写真は1ヶ月前やそんな前に撮られたものではない。

ごくごく最近に撮られたものだ。

その証拠に写真の本の位置・椅子の傾きが動画と同じなんだよ。」

「回りくどいな。つまり何だよ。」

「こんな事が出来るのは周りに犯人がいる事以外考えられない。

計画犯はともかく、実行犯がこのクラスの中にいる可能性がある。」


衝撃が全員の心を駆け走った。


「それなら辻褄があう。

考えたくはないが、私達をこんな目に遭わせた犯人が、

この中にいると考えて間違いないだろう。」


誰もがこの中に犯人がいると信じたくはなかったのだろう。

絶句するものが大半だった。


「それはそれで良いんだけど、いつまで何も起こらないの。」

「楓の言う通りだよ。いくら何でも事態が沈着しすぎだよ。」

「確かにここに入ってから結構経つ。何かアクションがあっても良いはずなんだが。」

「そうだ。座席表あったよね。まずはそれ通りに座れ。って言う事なんじゃないかな。」


一応、その通り座ってみようか。

という事で、指定された席に座った。

その5分後。


『コン、コン、コン、コン…』


「なに、何の音。」

「何かの靴の音みたいだけど。」

「こっち来るの?」

「犯人かな?」


扉の向こうの人物はゆっくりゆっくりこの部屋に近づいてきた。

そして、音がやむとゆっくり扉が開けられた。

扉が開いた先にいたのは、

仮面を被った如何にも。っていう感じの人物だった。


「ようこそ、皆さん。私の別荘にお越し下さいました。

当ゲームの支配人でありますマスターです。」


「マスター」を名乗るその人物は機械を通した声でそう話した。


「まず、皆さんの携帯とトランシーバーを含めた全てをお預かり致します。

この袋に入れて下さい。」


反撃をするため、クラス数人が立ち上がった。


「おっと、私に何か危害を加えればあなた達の後ろにある爆弾が爆発しますよ。

ちなみに、この島を吹っ飛ばせる威力のある爆弾ですからね。

さぁ、ここに入れて下さい。」


抵抗をしようと試みたが、

もう、抵抗しても意味が無いと考えたのか、大人しく袋に入れていった。


「新しくタブレット端末を5台渡します。

今後はこれを使用して下さい。」

「あなたは何がしたいんですか。」

「もう、すでにヒントは出してます。」


目的についての質問が飛んだが、マスターはそれについて

「もうヒントがある」と言った。

全員が首をかしげる。


「あ、資料を見せてくれ。」


資料を受け取り、順也が喋り出す。


「確か、空席があったよな。座席表に。」

「この厳しい中で唯一のヒントと言うなら、

その空席だよな。」


誰か来るのか。来ないのか分からない。


「さて、1つ目の試練だ。」


『ピロン』


「それぞれのタブレットに、あなた方の班が行くべき部屋、

指定された部屋に3分以内に移動して下さい。スタートです。」


タブレットにカウントダウンが始まった。

皆が急いで部屋へ向かった。全員が入った瞬間、扉にロックがかかった。


「また新しい部屋。」

「モニターが2つあるだけ。」

「しかも全部の部屋が観れる。」


モニターとは別に、それぞれの班に渡されたタブレットの画面が切り替わる。


「さて、今からあなた方にやってもらうのは命懸けのクイズゲームです。

今から出す画像から1つの答えを出せ。

というのが私からの第1ゲームの出題です。

間違ったら、あなた方がいらっしゃる部屋に水が入り、溺死。

全員生き残る可能性もありますから安心して下さい。

制限時間は2時間。スタートです。」


そう言って出てきた画像は、

34・741478 134・905969という

先程の緯度経度の数字が載っているのと1個の黒いシルクハット。

解こうとする班、さらに閉じ込められた部屋の中にどこか抜け出せる所はないかと探す班。

またその両方な班とばらばらだ。

タブレット4の葵、綾音、萌絵美、陽太、幸長はとりあえず考えてみるようだ。


「茜がひらめいた緯度経度だけど…」

「これが一体なんだって言うの?」

「どこかの場所を指してるとか。」

「仮にそうだとしても分かるわけないじゃん。」

「シルクハットもこれは一体…」


一方、役割が半々に分かれているタブレット1の純也、大翔、藤堂、みなみ、結愛達。

頭脳班である純也、みなみは考える。大翔、藤堂、結愛は何かないかと探す。


「この緯度経度は単純に考えればどこかを指しているのだろう。」

「でも、こんなことを仕掛けてくる知能犯だから違うでしょうね。」

「探索班は何か見つかったか。」

「小さい換気口があったけどとても人間が通れる大きさじゃないな。」

「探しても無駄ね。私達も考えましょう。」

「あぁ、そうだな。」

「あ、高梁が言ってた。こういったミステリーの類は

以前に出てきたものがヒントになるって。」

「以前に出てきた物……」

「本か椅子か、どちらかだな。」

「もう1つ肝心な物を忘れている。」


ドラマのラストシーンのように神妙な面持ちでそれを藤堂が言う。


「座席表だよ。2つ目の部屋の座席表。

それなんだよ。答えは。」

「座席表誰か覚えてる?」

「タブレット貸して。」


タブレットを操作する。


「あった。」

「そう、1席だけ空席があったのが気になってた。」

「ここに座るべき人間…」

「…そうだ。宮田 卓副校長…」

「でもあり私達の元担任。」


座席表の空席の所は事情により退職した宮田 卓元副校長。

だが、彼らの謎は尽きない。これで終わる訳がない。


「だから何。宮田先生なんだろうけど、それが分かった所でどうすれば良いの。」

「タブレットに打ち込むんじゃないの?」


タブレットを操作し、入力画面を見つけた。


「宮田 卓っと。」


そう打ち込んだら、ピンポーン。

という音とともに『水を止める方法』が画面に出てきた。

何とか純也班は解けたが他班は苦戦しているようだ。

その苦戦しているタブレット5の楓、佳奈、高梁。

ここは、楓が主となり思考を巡らせている。


「緯度経度は社会的なものだし、そう言った連想系と考えて良いでしょう。」

「だったら、後はシルクハットか。」

「黒…ブラック…ブラックハット…」

「確か黒いシルクハットには尊敬。

っていう意味があったって、お母さんが言ってた。」

「楓。本当⁉︎」

「私達が尊敬する人物…」

「西谷先生じゃない?」

「そっか。西谷 純子副校長兼第3学年第2学級担任。

よし、きっとそれだ。タブレットに入力しよう。」


入力したが、もちろん不正解。

水の注水が始まり、注水完了の時間が表示され、

どんどん水かさが増し、あっという間に腰までになった。


「ごめん。私が間違ったばっかりに。」


楓は自責の念にかられ、すごく悲しんで涙を流す。


「もう仕方がないよ。こうなったときに覚悟はしてたから。」

「そう。楓のせいじゃない。ここで1人に責任を押し付けるのは違うと思うな。」

「本当にごめん。」


早めに水が完全注入されてしまった。

息が長く続くわけもなく、残念ながら死んでしまった…。

2時間が過ぎ、注水を免れたのはタブレット1、3、4のメンバー。

生き残ったメンバーが部屋に集められしばらく待つ。


「仙華が…仙華が…」


親友がこんな無残な方法で死んでしまい、嗚咽し悲しむ生徒たち。

呆然して言葉が出ない生徒達。

反応は様々だったが、死んでしまった生徒達に悲しみの想いを抱いているのは確かだ。

これから、マスターに対する反感は強まり、

さらなる怒りが湧き出でてくる事は間違いないだろう。

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