表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/7

〜第2章 不安と希望〜

屋敷内の時計の針が一般的な夜ご飯の時間をさした。

なので、料理上手な女子達がみんなを気遣い、


「そろそろお腹すいてきたしさ。

丁度、食材もあるし、みんなで食事作りましょ。」

「そうだね。腹が減っては戦ができぬ。と言うしな、」


小林 杏が夜ご飯の話を切り出した事によって、

みんなが何だかほんわかしてきた。

女子がキッチンへ行き、調理をする。


「カレーで良いよね。たくさん作れるし、がっつり食べれるし。」

「こんな孤島なのに電気もガスなどのライフラインが通ってるんだから不思議よね。」

「屋敷に入ってくる時に貯水タンクや自家発電機が見えたよ。」

「すごくお金がかかってそう。」


そんな会話をしながら、女子達は楽しくカレーを作った。

こんな鬼気迫る状況ですら落ち着いて、

料理をしようというのは3年2組 女子特有の物だ。

一方、男子。女子達が夕食を作ってる中で、

少しばかりの休憩という事で、楽しく会話する。


「こういった事に陥ると、ホームシックになるよな。」

「親のありがたみを感じられるよ。」

「修学旅行みたいで楽しいけどね。」

「いつ帰れるんだろう。早く帰りたい。」

「とりあえず謎を解いて、ここから脱出する事。

そして、犯人をしっかりと懲らしめてやる。

俺達をこんな目に遭わせるなんて絶対に許さない。

それまで、みんな負けるなよ。」


しみじみした言葉が続く中、藤堂は激励の言葉をかけた。

それに同調するように、腰巾着の斎藤は頷く。


「何だかイラッとするけど、その通りなんだよな。

一人一人がしっかりと友達との絆を重視して、

しっかりと脱出をする。頑張ろう。」


1時間後、夕食が出来上がった。


「おぉ、カレーか。」

「さっすが、女子力高い女子達。男子の胃袋掴んでるね。」

「それは褒めてるの?。まぁ、良いけど。」

「よし、みんなでよそって食べましょう。」


ワイワイしてきた。意外とこの状況を楽しんでいる彼ら。

口一杯にカレーを頬張る。


「うんめぇ。流石だな。」

「人生の中で一番のカレーかもしれない。」


各々がカレーに対する感想を述べた。

みんながすごく楽しい表情をしている。

男子達はたくさんおかわりをし、

あっという間にカレーが無くなってしまった。

カレーを全員が食べ終わり、一息ついていると、

1人がある提案をしてきた。


「せっかくクラスでいるんだしさ。

このあとレクリエーションやらない?」

「お、良いね。何する?」

「王様ゲームとか良いんじゃない?」

「まぁ、とりあえず食器を片付ける事から始めましょ。」


食べ終わった人からキッチンで自分の食べた食器を洗い始める。

みんなが洗い終わり、いよいよ始まる。


「それでは、クラスレクリエーションを始めます。」


束の間の休息という事で楽しみたいのだろう。

みんなが拍手をする。


「じゃ王様ゲーム。という事でね。

番号の書かれた髪を入れた箱を回します。

その中から1枚取って下さい。」


イケメンボイスの純也の司会で始まった王様ゲーム。


「誰かな。王様は。」

「はい。」

「それでは仙華。命令をどうぞ。」

「5番の人が好きなタイプを言う。」


えー。と声があがり、誰だ。と全員が冷やかす。

王様ゲームにはありがちの展開だ。


「僕だね。」


そう言い、京一が立ちがった。

女子人気の高い京一が自分の好きなタイプを言うとあって、

女子達はキャーキャー歓声をあげる。

若干、男子は嫉妬心と引き目を覚えながら、


「僕の好きなタイプは…そうだなぁ、ちょっと天然で、

スポーツやってる活発な少女だけど、意外と本も読む文学少女かな。」

「意外とギャップ萌えをしやすい京一なのかも知れません。

それでは次参りましょう。次の王様は…

18番。おっと、クラス一の読書家 田中 咲良だー。」


車に潤滑油が挿されたかのように、

調子が乗ってきた純也に赤面の咲良。


「じゃ、3番の人が9番の人をお姫様抱っこ。」

「3番が葵で…、9番が佳奈。

美女コンビによるお姫様抱っこのようです。」


ヒューヒューと冷やかしや茶化す人物もいた。

いろんなレクをしているうちに2時間半が経過した。


「それではこれでお開きにしたいと思います。

就寝についてなのですが、ベットの部屋が1部屋しかありませんでした。

と言う報告を受けたのですが、本日調査しておりません2階を調査しました結果、

一番手前の部屋にもう1つの就寝部屋がございました。

1階を男子、2階を女子とします。入浴についてですが、

大浴場が1つしかございませんでしたので、時間制限で男女の入浴を行います。」


急に拉致されたので着替えなんかも無い。

少しばかりの身支度をし、最初は男子が入り、次に女子。

1時間後に就寝予定。

そして、全員が風呂に入りご丁寧に置いてあった着替えに着替え、再度集まる。


「それでは最後の事務連絡です。明日は8時30分集合とします。

それまでに洗顔等の軽い身支度を済ませて下さい。

大変な1日となりましたが、この困難をクラス全体で乗り越えましょう。

お疲れ様でした。」


それぞれの就寝部屋のそれぞれが向かい、

修学旅行であれば恒例の男子会・女子会が始まる。


「何だろうな。この不思議な体験。

俺たち普通に生きてきて、普通に学園祭の準備してただけなのにな。」

「もう、仕方がない、起こった事は。

起こった事をどう処理するかじゃなくて、

それに対しどう対応するかを考えるのが先決だ。」


2人用のベットに適当にペアを組み、話を交わす男子達。

すると、学・大翔ペアの学が大翔に話しかける。


「大翔ってさ、好きな人いるの?」

「いきなり何聞くんだよ。」


大翔は心底驚いたような顔でそう答えた。


「答えろよ。親友なんだからさ、絶対喋らないし。」

「そうだなぁ…まだ好きという感情では無いだろうけど、

萌絵美なんか女子の中では一番話しやすいと思うけどな。」

「きっと、それがいつか恋心に発展するんだよ。

いやー、体育会系の大翔もいよいよ恋愛をする日がくるのかな?」


冷やかしめいて学は聞く。一方女子は、

「私さ、怖い。」

「……。」


こんなやり取りをしているのは葵と茜。


「今までこの学校のために生徒会として引っ張ってきた。

やっぱりみんなの上に立つ存在だから、弱音を吐いちゃいけない。

諦めちゃいけない。そんな事ばかり考えて…

そして今回のこんな事件。私、もう限界。」


嗚咽気味に葵はそう言った。

普段抜けている茜だが、無言で話を聞く。

そして、それを慰めるように茜は続ける。


「生徒会だから強くいなきゃいけない。

生徒会だから最後まで完璧にやらなきゃいけない。という考えは古いよ。

誰が何の役職にいようと一人の人間なんだよ。

人間は当たり前のように弱音を吐く、悲しい事があれば泣く。

誰にでも当たり前がなきゃダメなんだよ。

それがないと人間としてのサイクルは成り立たないよ。

何か困った事があったら私に頼って。私じゃなくても良い。

誰がに頼り愚痴ることから始めてみよう。

親友だから話せる事、話しにくい事あると思うから。」

「ごめん。取り乱しちゃって。

明日も早いから寝ようか。」

「うん、おやすみ。」


何かが吹っ切れた葵。すっきりと眠った。

一方、葵達と同じく寝ようとしていた友香だったが、

とある女子の行動が目に入り、後をつける。

その女子は静かに部屋を出て階段を降りて、食堂に向かう。

その様子を見ていた友香だったが、


『ギー』


扉に足が当たってしまい、こちらの存在が気づかれてしまった。

ビクッとした様子の相手。すぐさま話しかける。


「何やってるの。楓。」


夜中にこそっと抜け出し、

こそっと食堂に来ていたのはなんと、楓だったのだ。


「いや、ちょっとお水が飲みたいな。と思って。」

「絶対、嘘だ。挙動不審だし、

さっきなんか隠したでしょう。出してよ。」

「無理…。」

「なんで。」

「とにかく、水飲みに来ただけだから。早く戻って。」

「いや、見せてもらうまで帰らない。」


そのしつこい友香の姿勢に諦めたのか。

楓は隠したものを見せてくる。


「何、このメール。」

「さっき、レクしてる時にきたの。」

「件名 ゲーム。差出人 マスター。

内容 これはあなただけに特別にお知らせしています。

絶対に見つかってはいけません。食堂の燭台を暖炉上の規定の場所に置いて下さい。」


友香はスマホの画面を見ながら状況を理解するようにそう言った。


「仕方ないね。緊急性を要する案件という事で全員を起こし、食堂に集めます。」


こんな孤島なのに無駄に設備は揃っている。

探索時に見つけた放送室へ行き、

スイッチを入れ放送する。

「学級副委員長の松波です。

緊急性を要する案件が生じましたので、

全員、今すぐ食堂へお集まり下さい。」


その放送を聞き、何事かと全員が集まる。


「何なのよ。」

「寝てたんだけど。」


みんなが口々にそう言った。

友香はこれまでの経緯を説明した。


「つまりその燭台を暖炉の上に置けば、

何かが動くという事か。よし、やってくれ。」


燭台は全部で3つあった。暖炉の上には1つしか置くところが無かった。

当然その違和感は全員にあった。

当然、その違和感は的中し、1つ置いたが何も変化がない。


「やっぱり、ほかに2つ置く所があるんだよ。」

「探そう。」

「待って、その前に大事な疑問忘れてない?」


みんながピンと来ていない。

その疑問を打ち砕くように、そう言った仙華は続ける。


「何でネットが繋がってるの。おかしくない?」

「そう言われればそうだ。おかしい。」

「この孤島は孤島なのに、水道・電気、ありとあらゆるライフラインが通っていた。

でも、ネット環境がない。というよりは、どこかにWi–Fiはあるけど、

それを遮断する装置が何処かにある。と考えた方が良いだろう。」

「とりあえず、残りの2つを置く所を探そう。食堂の中に無いかも知れない。

屋敷中を探してくれ。」


全員が必死に探した結果、キッチン・本と椅子が置いてあった部屋にあった。

トランシーバーで各所と連絡を取り、燭台を置くよう指示する。


「置くよ。」


3つの燭台を置いた結果、


『グラグラ……、ゴー……』


どこかが動いた。

全員がその変化の場所を探しているとキッチンで変化があったようだ。

それを見つけた椿薔薇 郁也がみんなを呼ぶ。


「おーい。みんな来てくれ。」


キッチンに全員が集まった。


「隠し通路?」

「危険だけど、行くしかないか。」


全員がキッチン床に出来た地下へと通じる階段が出来た。

その道を進み地下通路を進むと降りてきた階段が閉じた。

それと同時に両脇にある照明がついた。


「何?」

「行こう。」


無言で手を取り合い、進む。1分弱の時間ずっと廊下だった。

廊下を進んだ先には、1つの錆び付いた扉。恐る恐る開けると、

大きな部屋が1つあった。


「何…この部屋。」


全員が不安と疑問を覚えた。

が、脱出するために前へ進まなければならない。

クラスの友達同士で不安を拭うようにして入る。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ