十月の1
280字の軛 10月頭
・
夜半だった
不意に上がったアラームに
思わずびくりとする僕に
地球がごごごと音を立てた
あわあわとばたばた走る音に
空気を切り裂く警報に
吃驚したのだろう
地球は。
・・
今日は本屋へと行った。
あてどなく彷徨く私に
この本は素晴らしい、正に人生の全てなのです。
などと男が本を突き出してきた。
いりませんよ、そんなもの
突き返すと男は本を受け取り損ね煙のように消えてしまった。
恐ろしくなって周りを見ると、
まっしろで。
ははぁ、どうにも人生であったらしかった。
・・・
気付いたら誰も彼もがvtuberであった。
偶像崇拝の果てなのだろう。
サブカルチャーとされてはいたが
結局は多数につくのだ。
それが事由なのだ。
肉体のくびきから放たれ、
自由となった彼らに僕は只
漠然とした躊躇い、感情を抱いて
あまりにもそこは遠い。
・・・・
フォローしているアカウントにはいませんさんの足跡を追いかけた。それが僕のライフワークだ。ほうぼうを巡り、遂に捉えた僕は。拘束されたそれを皆に見せ賞賛を手にするのだ。弾む胸を嗤うようにそれはいなくなっていた。誰も信じてくれず、省みるといませんさんだけがいた。
わっと泣きたくなった。
・・・・・
日付が変わったので辺りを見回してみた。
誰もいない。
漠然としたネットの海にただひとり。
フォロー、フォロワー誰ひとり。
支えなくして支えれない人間は
どうなるのだろうとあぐねていると
10月1日の残滓のようなものが転がっていた。
そうなるんだよと風が吹いた。
何処かへ誘うようだった。
・地震警報がありました。不謹慎にも思い立ってツイート。
・・本屋に行きましたが押し付けられてはいないです。仕事の休憩に入ると中々の頻度で本屋に行きます。
・・・受けが良さそうだったから。そんなもんです。
・・・・フォローしている何某さんがバズってたから・地震もトレンドにあったから。
・・・・・Twitterアカウント作った日の夜に何か呟かんといくまい! て張り切ってツイートしたやつ。
ここまで読んでくれた皆様、有難う。
ちまちま更新してきますので今後ともによろしくね。