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賽の目新聞

伝説の焼きそば

作者: 草鳥龍女

ピンチはチャンスと言うがそんなのは間違っている。ピンチは自分、味方などが危なくなっている時に使う言葉であって決してチャンスではないのだ。仮に何も持っていない状態で拳銃を向けられたとしよう。まず助かるはずがないのだ。

そう思いながら夜の屋台の前で友人が捌かれるのを見ていた。次は僕。わかっているはずなのに足が動かない。理解できない現実。理不尽な世界。こんな状況ではチャンスなどという希望など生まれるはずはない。そして、考えることを放棄しようとしていた。

然し乍ら物語は逆転劇があるから面白いのだ。だからこそ、ピンチはチャンスなんて馬鹿げた言葉も様になる。ただ、今は現実である。物語−御都合主義が現実なのだ。今私が何もアクションをしなければ眼前の友人と同じ事になるのは明白であろう。成功にはどんでん返しが付き物で失敗には予定調和が憑き物なのだから。足よ動いてくれ…私はただ祈る。

頭では分かっている。

あとは体を動かすだけだ。

振り下ろされる一刀、体を捻り間一髪躱す。

1秒に満たない刹那、互いに状況を確認する

敵は圧倒的だ 刃物を持ちただの一般人を襲うだけ、だからこそ慢心する――!

『 うあああ!!!』

渾身の力を持って右手を振り抜くーーーー



ーーーー気づけば家だった。全身にまとわりつく泥のような汗が気持ち悪い。

『そうだ… たけしは…? 』

携帯を取り出し通話アプリを起動する。

ただ 何故か心は安心しきっている。

いつも通り返事をしてくれるだろうと…

結果から言うとたけしは普通に電話に出てくれた。

伝説の屋台に行こうなどと抜かしていたが笑って止めておいた。

これがオレが体験した不思議な物語だ。 けれど気をつけるといい、 ピンチがチャンスになんて絶対にならない。

たとえピンチを乗り越えたとしても新たな窮地に立たされるだけだ。

オレは今、血だらけのTシャツを見つめている。

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