五章 第12話 単角の淫獣
学院に入学して最初の週末、俺とエレナは日が昇ったばかりの時刻に旅装を整えて門に向かった。少し前に比べると太陽は少し高い位置にあり、寒くない程度に涼しい空気が流れている。
「誰もいないね」
「休日だし」
若干眠そうなエレナと、なんとなく小声で話す。
彼女は膝丈の青いスカートと白いブラウスを纏い、俺と揃いの胸鎧を付けている。腰には2本のベルトが交差するようにつけられ、昨日買ったポーションやポーチなどが留められていた。その後ろには解体にもとっさの護身にも使える中型のナイフが鞘に納められている。肩掛けの冒険者用鞄には昼食と加工したダンジョンクリスタルが入っているはずだ。そして鉄色の手袋に包まれた手には彼女の身の丈ほどもある杖が握られ、髪には領地の皆が贈ってくれた妖精の髪飾り。完全武装だ。しかも杖以外は新品ばかり。
「ほとんどぶっつけ本番だね」
「ん、でもどれも信頼できる武具」
俺は膝下まであるデニム地の頑丈なズボンに赤いチェックのミニスカートを合わせ、エレナと同じドレスシャツを上に着ている。胸と腕と足にディムプレートを纏い、新品のブーツに付属の補強鉄を取り付けた過去最高の重武装。愛用のベルトには薬とポーチ、そしてエレナの髪飾りと同じ領地の皆からのプレゼントである組紐でつないだ刀。変わらないのはベルトと紅兎だけ。防御力を重視した装備に見えるが、材料が上位魔物の素材だからか、付与魔法のおかげか……見た目程重くはない。ちなみにスカートはコーディネートしたエレナの趣味だ。
「あ、門だ」
最初に来たときにくぐったあの巨大な門に、結局誰に会うこともなく到着してしまった。ギルドカードを提示して依頼の確認を行い、門番用の小さな出口から外に出してもらう。まだ朝が早すぎて大門は開いていなかった。気のよさそうな門番に見送られて出たそこは、王都の城壁が遠目にしっかり見える平地だ。目指すユニコーンの出没地はここから東に街道を進んだところ。
「行こ」
「うん!」
~★~
王都付近の街道はとても整備されている。馬車が2台は余裕ですれ違える幅があり、大きさの揃った石畳が敷いてある。定期的に手入れもされているのか、目地から生える草の少なさから分かる。
「むぅ、そろそろ着かないかな」
「たぶんもうすぐ」
時々現れる頑丈なフェンスで囲まれた畑や小作人の休憩小屋、国軍の駐屯所らしき砦などを超えて俺たちは歩き続けていた。朝早くに2人で作ったサンドイッチもしばらく前に食べ終え、そろそろ昼過ぎのいい時間だ。大人の男が歩いて半日なので、俺たちの足ならそろそろ到着しそうなものだが。
「いやぁあああああ!!」
「「!」」
魔法で高台でも作ってみてみようか。そんなことを思い始めた矢先だった。聞こえたのは女性の悲鳴。右手の少し盛り上がった地形で見えないあたりからだ
「近い!」
「アクセラちゃん先行して、援護するから!」
「ん!」
背中どころか周りの警戒と牽制を全てエレナに任せて俺は踏み込む。鍛え上げた脚力で一気に声のした方向へ走り、丘とも呼べない盛り上がりを駆けのぼる。その頂点まで到達すると、100mほどのところに女性が見えた。すぐそばには体高2m弱の白馬が……いや、金の長い鬣に螺旋を描く一本の角を持つそれはユニコーンだ。すぐそばにいるのは3体だが、開けた草原には40体ほどいる。
多くない!?
内心で悪態をつきつつ、走る足はそのままに左腕を前へ突きだす。魔力を腕に埋め込まれた魔術回路へ流しながら、口では詠唱も行う。
「広がれ、眩きものよ。あらゆる形を塗りつぶせ……」
左腕の回路は万能属性の魔術弾。今回は女性を傷つけないように殺傷力に低い水を選ぶ。
水氷魔術・水弾
伸ばされた左手の指先に水の塊が生成され、飛沫を散らしてユニコーンへと発射される。目の前の得物に舌なめずりをしていた個体は一拍遅れてこちらに顔を向けようとし、飛来した水弾に無理やり逆方向を向かせられた。横っ面に直撃したのだ。
「……光の理は我が手に依らん!」
群れが一斉に何事かと視線を向けた瞬間、詠唱を完結させて魔法を解き放つ。
光魔法中級・フラッシュアウト
突如として強烈な光が俺と群れの中間地点に生まれ、全ての生物の視界は真っ白に埋め尽くされる。女性の悲鳴と魔物の嘶きが聞こえるが、俺自身瞼越しに目が焼かれてしまって何も見えない。なので地面を踏みつけて跳躍し、直前の配置から適当な場所めがけて落下する。『気配察知』も併用して着地点を補正し、見事なにか頑丈な存在へ両足を着けることに成功する。
「ギヒィイイイン!?」
足の下でなにか頑丈なくせに柔らかい感触がして、一際大きな嘶きが聞こえた。うまくユニコーンの背中に着地できたようだ。さらに痛みで声を上げてくれたおかげで頭の方向と距離が分かった。
「まず1体」
暴れているのか、跳ね上がった足元から重心を動かす。傾斜の上側に手を伸ばして、手に触れる生物の角や牙が持つ特徴的な感触を握りしめる。それを支えにもう片手で右内腿に固定してあるナイフを抜き、首筋らしき部分に突き立てる。
「!!」
ちょうど発声器官を貫いたのか、声にならない音を口からこぼしてユニコーンは暴れようとした。ナイフをそれより早く横に走らせて動脈を切断。手に熱い液体がかかるのを感じながら引き抜いたそれを今度は目のある場所に突きいれる。
ガチュ!
鈍く湿った音がして、手の下でなにか液体の詰まった包みが破裂するような感触がする。お構いなしにそのままぐりぐりと奥へ刃を潜らせると、あっという間に全身から力を失ってユニコーンは倒れた。巻き込まれないようにひらりと飛び離れ、綺麗な方の手で自分の目に回復魔法を使う。
「よし、見える」
白と黒のハレーションを起こしていた視界はいつも通りに戻った。そこにはいまだ視力を完全に回復できずにのたうち回る白馬に似た生き物の集団、同じく目を覆ってうずくまっている女性、白い毛並みを赤黒く染め上げて倒れた魔物がいる。
「ん!」
倒れたユニコーンの眼窩からナイフを引き抜く。脳まで達した割にはあっさり抜けた。さっと毛皮で汚れを拭って鞘に戻し、かたわらの女性を担ぎ上げる。
「いや、やめて!離してぇ!!」
「助けに来た。冒険者」
「いやぁ!いやぁあ!!」
恐慌状態に陥っている女性を宥めるのは後回しにして俺は来た道を走った。小高くなっている場所でエレナがこちらを監視してくれている。そこまで戻って陣形を構築した方がいい。
「エレナ!」
「うん!」
俺が何を求めているのかはすぐ理解してくれた。彼女は土魔法と氷魔法で長さ3mほどの壁を作る。その裏に逃げ込むと今度は同じもので残り三方向を囲む。そして内側の足元を半分に分けて交互に高くし、同時に壁も上に伸長することで高台を築き上げる。
「よし、高さ6mはあるよ!」
「ん、上出来」
エレナが氷魔法を上掛けして強度を上げる間、こっちはこっちで聖魔法を使って女性の錯乱を抑える。聖魔法中級のトランクイリティ、昔散々お世話になった安寧を与える魔法だ。
「落ち着いた?」
「は、はい……あの、ありがとう、ございます」
いまだ青ざめたままの女性は20歳前後で顔立ちは地味。服装も取り立てて注目するところのない、いわゆる村娘だ。
「君はどうしてここに?」
「あ、あの、私……私、王都に依頼に行こうと、思って」
「アクセラちゃん、事情を聞くのは後にしよう!」
つっかえつっかえにしゃべる女性の声は、エレナに遮られてしまう。顔を上げて妹の見据える先を見ると、そこには視界を取り戻したユニコーンの群れが。
「ひっ」
つられて壁の向こうを見た女性の喉から引きつった声が漏れる。それを聞いたユニコーンたちは互いを見合わせて、にやりと嗤った。
「わ、嗤った?」
「ユニコーンはまあまあ賢いですから。こっちが3人だと分かって見下しているんです」
青ざめる女性にエレナが説明する。
相手が少なくて見下したんじゃなくて、処女が3人でラッキーと思ってるんだよ。
そう訂正が思い浮かんだが、直前まで組み敷かれそうになっていた女性に聞かせることでもないと止めた。
「そこに姿勢を低くしてて」
「は、はい」
素直に指示された土砦の真ん中で女性はうずくまる。そこならエレナがどう立ち回っても邪魔にはならない。
「エレナ、私がいないあたりなら好きに魔法使っていい。でもここの修繕だけは気を付けてね」
「はーい」
「あとあんまりじっくり見ない方がいい」
「え、どうして?」
「嫌な物を見る羽目になる」
「?」
首を傾げるエレナを置いて俺は土砦の淵に足をかけ、ひょいっと跳んだ。最初の1体がどうやって死んだのかを目視できなかったユニコーンたちは、回避行動もとらないまま俺を迎え入れる。
「ギヒィン!」
嘶きとともに前足を高らかに上げる愚かな魔物。空中で体勢を変えて落下地点を微修正した俺は、その顔面に頑丈な靴底をめり込ませる。
「ギヒュ!?」
鼻筋を砕かれて変な声を上げるユニコーン。落下の衝撃と頑丈な魔物の肉体が拮抗して足場が安定した刹那、紅兎を抜刀して角を半ばで斬る。象牙色の滑らかな断面には緑の結晶が混じっていた。手首を返して首を斬り落とし、足場の落下に従って地面へと降りる。噴き出す血液を躱して、倒れる馬体を横に押しのけた。
「2体目」
「「「ギヒィィイイイイイイン!!」」」
俺の言葉を理解しているかのようにユニコーンたちは一斉に嘶いた。そこに怒りはない。むしろ歓喜の響きが込められている。
はぁ、変態馬め。
性欲と殺戮衝動しか持たないこの魔物はとことん気持ち悪い。群れの仲間が未通の雌に殺されるとこいつらは喜ぶ。自分たちの種をより強くする屈強な母体の登場を歓迎するのだ。
「ブルフフン」
鼻を鳴らしているのか嗤っているのか。淡い緑の瞳を持つ白馬型の魔物たちは俺を囲んで熱い視線を送ってくる。こちらの輪に加われなかった個体はエレナと女性のいる砦を中心に終結し始めていた。
「3体目になりたいのは誰?」
紅兎を握った右手の指だけでチョイチョイと挑発する。
「ギヒン!」
真っ先に乗ってきたのは俺の後ろの個体だった……が、俺が振り向いたときには既に死んでいた。轟々と爆風が頬を撫で、焦げた肉の匂いがあたりに充満する。血か肉かも分からない飛沫が白いシャツを黒く染める。振り向きざまに斬り捨ててやろうと思った相手は、エレナからの援護射撃で上半身を失っていた。
「大丈夫?」
「ん。でも馬肉シャワーは嫌だから、そっちに集中していい」
「あ、ごめんね!」
俺の視線の先で彼女はこちらに向けていた大杖を砦の足元に向け直す。あちらはあちらでユニコーンたちが嘶きの喝采を送っていた。
「気を取り直して、誰が4体目になる?」
~★~
「水の理は我が手に依らん!」
水魔法を即席砦の足回りに叩きつける。群がっていた白い背中に弱いウォーターボールを降り注がせて、3体をびしょびしょにしてやった。それでもさすがは野生の魔物、人も殺せない威力の魔法では大してダメージを受けてない。
けどそれでいいんだ、ただの仕込みだから。
3体はそれぞれユニコーン最大の武器である角を砦に突き立てる。あの角は螺旋になっていて、その溝に風魔法を発生させることでビックリするくらいの貫通力を生み出している。わたしが氷で補強した砦の壁にもあっさり根元まで刺さった。
そこが狙い目なんだけどね。
「凍えろ!」
現象を明確にイメージしてから手を足元の砦に宛がう。氷属性になった魔力が一気に砦を伝って、深々と壁に食い込んだ角に襲い掛かる。自然界では滅多に発生しないほどの冷気が角からさらに額、頭、体と浸食してく。ユニコーンの毛皮は高い魔法抵抗力を持ってるから普通は効かないはずだけど、びしょ濡れのそれは今逆に体温を奪う凶器だ。見る見るうちに凍り付いたユニコーンは武骨な砦の装飾品になる。
よし、今度はうまくいった。
これまでの突撃で一番隙ができるタイミングと通りやすい魔法の種類を把握していたわたしは、実験がてらの戦法でようやく討伐に成功する。体の芯まで凍り付いて生きていられる生物はたとえ魔物でも多くはない。ユニコーンはその多数派に属す。
「ブルル!」
しかしわたしの達成感もどこ吹く風で、他のユニコーンが氷像になった仲間を足蹴にして踏み砕く。その残骸を足場に少しだけ高い場所へ角を突き立てる。この作戦を延々繰り返されたら砕けた死骸で乗り越えられてしまうかも。
「今度はこれでどう?」
もう一度氷の魔力を流し込む。水で濡らしてないから直接冷気を送り込むだけ。その分工夫する。ただの魔力じゃなくて魔力糸を角から潜り込ませる。角は中にある風の魔石から貫通用の魔法を生み出すわけで、そのために角事態に魔力を通しやすい性質があるのだ。
「ギヒュイィイ!!」
歪んだ悲鳴は魔力糸が通った組織が凍り付いて激痛をもたらすから。わたしの魔眼にはその様子が魔物の体越しに薄っすら見えていた。
うん、この手ごたえはあれがいける!
「氷の理を紡いで伸ばせ」
今まで誰も口にしたことのない詠唱を口ずさんでイメージを整える。4年ほど愛用している老木の杖に魔力を流し込んで練り上げる。
「大樹のように深く根を張り」
杖の繊維をイメージの依代にして一気に魔力糸を大量生産する。それをさらに縒り合わせ、砦を通じて周りに広げる。言葉の通り大樹に見立てて。
「大きく広げた……広げた……広がった?」
なんとなくイメージと詠唱が噛み合わなくなってしまったのでストップ。これはわたしが今研究している特殊な魔法の形、その試作品。やっぱりまだまだ難しい。
「むぅ、しかたないか」
詠唱は未完成でも魔法として必要な条件はもう満たしている。
半分しかできてないけど。
そのままイメージだけで魔力糸を操作し、魔法として発動する。
「フロストツリー……の下半分」
我ながらかっこ悪い魔法名を唱える。すると砦からまるで木の根のようにわらわらと魔力糸が生えてきて、周囲のユニコーンへ殺到する。魔力を見ることは彼らにもできないみたいで、角や毛皮が凍り始めてから慌てたように暴れはじめた。
「もう逃げられない。氷の魔力は一度絡みついたら凍った部分を媒介にとどまり続けるから……絶対に逃がさない」
フロスト・ツリーは氷の魔力糸を管制する魔法。この魔法の支配下にある魔力糸はちょっとやそっとじゃ絶てないし、数秒なら途切れてもつなぎ直せる。アクセラちゃんにお墨付きを貰ったわたしの魔力親和性を魔法の中に組み込んでみた結果だ。
砦の周りに集まっていたユニコーンたちは暴れて逃げようとしたけど、結局10秒もすると完全に凍ってしまった。見た目だけは美しい白い馬の魔物だから、辺りは恐ろしい光景になってしまった。倒れる者、前足を高らかに上げたままの者、走り去ろうとしている者……白と金のユニコーンたちが阿鼻叫喚のまま固まっているのだから。
「討ち漏らしは……うん、いないね」
前にアズライトファングへこの魔法を試した時は地面や草まで凍っていたけど、今回は対象の魔物だけを凍らせられたみたいだ。そんなふうにまじまじと観察していたとき、わたしは見つけてしまった。どのユニコーンもよくみると、その……あそこが凄いことになっていた。
「あ、あう……」
顔が赤くなるのがわかる。なにせ初めて見た。あんなに大きくて怖いとは……。
い、いやでも図鑑で見た!生物図鑑とか酪農の本で、えっと、繁殖の項目とかもあったし!そもそも初めて見たもなにも、あんなの魔物のだし!馬の、魔物の、ただの一部!
必死に場違いな気まずさを消し飛ばそうと頭を回転させる。それでも考えれば考えるほどその意味を理解してしまう。いっそ清々しいほどに繁殖行為に特化したユニコーンは、命を懸けた戦いの間ずっとわたしやアクセラちゃんに欲情していたわけだ。
アクセラちゃんがよく見ない方がいいって言ってたのはこういうことだったんだね……凍らせた後でまだよかったかも。
霜が全体に降りて白くなった遺体は生々しさが少ない。
本当ならもっと……あう。いや、別におかしくはないよね?だって、普通に好奇心だもんね?いったい誰にわたしは確認してるんだろうかわからないけど、別にね?
いっそ開き直った方が楽かと思ってみても、やっぱり変な罪悪感と焦りが消えてくれない。むしろ若干好奇心が……いや、ないないない!
「エレナ?」
「ひゃぁ!?見てないよ!全然、何も見てないからね!?」
すぐ近くから聞こえた声に口をついて否定が飛び出す。言った瞬間に余計怪しいと気づいたのに、それでも言葉は止まらなかった。
「そ、その、新しい魔法の実験してみて!凍ったの、うん、カチカチに……じゃなくてその、完ぺきに凍ってるよ!?」
「ん。わかったから、落ち着く」
「う、うん、そうだね。落ち着いてるけどね?凄く落ち着いているから、大丈夫!」
何事かをまくしたてながら振り向いたわたしの視界には、赤黒いシャツを着たアクセラちゃんがいた。返り血で白い部分がないほど汚れてる。もとからそんな色だったみたいだ。
「とりあえずこっちは片付いた」
「う、うん、こっちも終わったよ?ちょっと今から砕くから待ってね」
「こらこら。砕いたらお金にならない」
とっさに杖を握った手をアクセラちゃんが取り押さえる。そうか、たしかに砕いたらお金にならない。
「とりあえず解体しよ?」
「えーっと、うん、がんばる」
自分でも笑顔が引きつったのがわかる。これまでも雄の魔物を捌いたことはある。でもどの個体もその、アレは普通に普通の状態だったし。それが今から解体するのは目に見えて大変なことになっていて、しかもその矛先は自分たちだったわけで。
触りたくない。近寄りたくない。木っ端みじんにしてしまいたい。……でもちょっとだけ見てみたい。
「大丈夫、別に変なことじゃない」
「むぅ?」
アクセラちゃんが優しい笑顔でわたしを見る。
「エレナももうすぐ成人だし、ちょっとくらい興味がないと困る」
「え、ちょ……ちが!そうじゃないからね!?」
「私は私の得物を解体してくるから、エレナはゆっくりどうぞ」
「なにが!?なにをどうゆっくりどうぞなの!?ちょっと、アクセラちゃん!!」
生暖かい視線だけ残して最愛の姉は血の池と化した自分の戦場跡に帰ってしまった。残されたのはいつのまにか気絶した女の人と凍ったユニコーンの群れ、そして解体ナイフを持ったわたし。
「……しかたないよね」
諦めとほんの、ほんとうにほんのわずかな知的好奇心を胸に、わたしは砦の淵から下に降りた。
狐林さんに紋章のイラスト化をお願いしたところ、
私の描写のとおりするとクソダサなことが判明しました。
というわけで新規紋章を書いていただきまして、
それをもとに該当描写を修正しました。
【三章 第24話 使徒アクセラ】
・エレナの胸元の加護による紋章
・アクセラの背中の使徒としての紋章
【三章 第25話 後始末】
・トレイスの脇腹の加護による紋章
以上が修正箇所になります。
紋章の意味や展開に関してはまったく変更がないので読み直しはしなくて大丈夫です!
それ以外で「あれ?紋章出てたよね・・・」と思った場所があったら作者まで通報してくださいm(__)m
感想からでも誤字報告からでも結構です。
~予告~
「僕と契約して・・・」その獣が最後まで言うことはできなかった。
頭には赤く輝く刀が刺さっていたのだ。
次回、まじでマジカ
アクセラ 「どうみても私だし、犯人」
ミア 「まあ淫獣じゃしな」
パリエル 「なんにせよタイトルが雑過ぎませんか?」




