一章 第4話 ミアとの再会
方向感覚を無理やり揺さぶられるような気色の悪い感覚と共に俺は意識を取り戻した。
「よく来たな、我が友よ!」
酒にも酔わず乗り物酔いもしない俺は慣れない酩酊感に胸を抑えながら、久々に聞いたその元気な声の方へ視線を向ける。そこはすでに教会の大聖堂ではなく、神となった最初の日に降り立った転移宮と呼ばれる円形の部屋だった。目の前にいるロゴミアスもムキムキな石像ではなくロリロリな幼女だ。今日は真っ赤な冬物のガウンを着ている。
「いやー、久しいのじゃ!」
ミアは嬉しそうに大声で笑った。些か過剰なほど嬉しそうに。たった3年。それでも友人となってからわずかな時間で別れたのだ。それまで幾星霜もの時を孤独感に苛まれて過ごした彼女にとって、まさしく一日千秋の想いだったのかもしれない。
それだけじゃないのは分ってるぞ……。
俺は頬をひくつかせる。
「さて、早速……」
「ミア」
「な、なんじゃ?」
いつも通り自信と尊大さを醸し出している彼女だが、俺の目には焦りが見えていた。早急に再開の挨拶を済ませて、楽しいお茶会へと逃げ込もうと言う焦りが。
「言うことがあるんじゃないか?」
「ひ、久しぶりじゃな!」
「それはさっき聞いたぞ」
あえて微笑みで言い返す。
「よ、よく来たのじゃ、我が友よ……」
「せい!」
「んぎゃ!?」
長年の使用で体に染みついた無拍子打ちで手刀をプラチナブロンドの頭へ落とす。ゴツ!といい音をさせ、頭頂部を抱えてうずくまる幼女神。別に本気で殴ったわけじゃないので怪我はないだろうが、それでも結構痛いはずだ。そういう風にした。
「な、何をするんじゃっ、痛いではないかー!」
「自業自得だ、このウッカリ駄目神」
「だ、駄目神とはなんじゃ!?」
憤慨したように目尻を釣り上げるミアだが、駄目神のそしりを免れるとでも思っているのだろうか。俺の暴挙が正当な怒りによるものだと、ミアの背後に控えたシェリエルが肩をすくめて容認したことが証明していた。護衛だからこそ日頃から駄目神のウッカリぶりを見ているのだろう。
それならそうと一言あってもよかったと思うがな!
「それより言う事があるだろう、駄目神様」
「だ、誰が駄目が……あぎゃぁあああああああ?」
そっぽを向こうとしたその小さな頭を左手で握りこみ、こめかみに親指と中指をあてがって力をかける。俗に言うグリグリ攻撃、すりこぎというやつだ。
「なにか言うことは?」
「ば、万事、計画通りぃだだだだだだ!?」
「なにか言うことは?」
「あ、案外少女になるという体験もガガガガガ!!」
「い・う・こ・と・は?」
「すみませんごめんなさい申し訳なかったのじゃ放してください頭つぶれるぅううう!!」
別に頭潰れたくらいで死なないがな、神は。どうせ数時間もすれば元通りになるだろう。
神に傷をつけようと思うとそれなりに手順や方法を考えないといけない。それは神同士でも同じだと、過去の善神と悪神の戦いが証明している。だからといってもちろん気軽にプチプチ頭を潰したりはできない。破壊されれば再生には多少の時間がかかる。その間は死体の真似事をさせることになるのだ。不死にして神聖な神に死体ごっこをさせるというのは冒涜的なことであり、結構な怒りを買うのは間違いない。よほど相手に非があるか、あまり気にしない相手にしかできない真似だ。
ミアならいいような気もするが……まあ、流石に面子もあるだろうし止めておくか。
「はぁ……しかたないか」
これ以上は本当に頭が潰れるか余りの痛みに粗相をするかの2択だ。仕方なしに拘束を解くと、彼女は音もなく膝をついてへの字に倒れ伏した。
「いだいのじゃぁ……」
「自業自得だと思いますよ、主」
床に這いつくばってメソメソと零すミアの横に進み出た青髪の天使が、相変らずの鈴のような美声で主にトドメを刺した。
「お久しぶりです、エクセル様」
「ああ、久しぶりだ」
天上の存在に3年は短い時間だ。彼女は俺の、人間の感覚に合わせて挨拶を選んでいるのだろう。ミアのように待ち焦がれていたからではないと思う。
「まずは粗忽なる我が主に代って謝罪します。申し訳ありません」
「まあ、こうなった以上は仕方がない。あの体でとりあえずなんとか頑張ってみるよ」
「こちらで新しい肉体を用立てることは可能ですが?」
「いや、やめておく。そうすると今の俺の体は死んでしまうだろう?さすがにそれは3年間大切に育ててくれた周りに申し訳ない」
「なるほど。承知いたしました」
天界基準で割と恐ろしい提案をしてきたシェリエルも、俺の返事を聞くと微笑んで了承してくれた。何度の言うようだが、天界の住人にとって人の一生など一瞬のことなのだ。
「ふぅ……頭が爆発するかと思うたのじゃ」
そこでようやく復活した最高神が立ち上がる。
「エクセルよ、すまなかった」
そしてちゃんと謝罪した。
「許そう」
苦笑気味にそう答える。素直に謝られると許さないという選択ができないのは俺の短所だ。もう少し厳格に接するべきだとナズナにも何度か言われたが、死ぬまでどころか死んでも治らなかったな。
「現状の整理をしたい。わしの部屋まで来てほしいのじゃ」
居住まいを整えたミアが提案する。否やのあろうはずもなく、二つ返事を返して彼女の先導に従った。相変らず馬鹿広い宮殿をホールまで向かい、そこからは通ったことのない道に入る。
「ステータスはもう見たのじゃよな?」
「ん?」
気が遠くなるほど長い廊下を飛ばし飛ばしに歩いていると彼女は藪から棒に、というより当然の事をただ話の切り口として聞いたという風情で訪ねてきた。
「見てないぞ?」
「なんで見ておらんのじゃ……」
「どれくらい鍛えられてるかは体感でわかる」
魔法や体のトレーニングはずっと繰り返してきたことだ、ステータスで一々どれくらい上がったかを確認しなくても大体は把握できるのだ。そう思っての返事だったが、どうも見当違いの答えだったようだ。
「……もしやそなた、自分の変化が分かっておらんのか?」
呆れ半分驚き半分の顔でミアが立ち止まる。
「変化?」
転生したら女になっていたこと以上に重大な変化があるのだろうか。そんな風に意地悪く返してやろうかと思っていると、彼女の続く言葉が俺の全意識をかっさらっていった。
「スキルじゃよ!スキルシステムの恩恵を受けられるようになっておることに気づいておらんのか!?」
「……なんだと?」
一瞬言われた意味が分からなかった。100年近くスキルを持たずに生き抜いてきたからではない。その点は使徒転生を行うときに説明を受けた。用意した使徒の肉体に宿り次第スキルシステムに接続されてその使用が可能になる、と。
「いや、だがあれは使徒の肉体になればだろう?」
「なわけないじゃろうが!」
「なわけないのか!?」
思わずオウム返しに叫ぶ。彼女はそんな俺に大きくため息をついて説明を始めた。
「スキルシステムは魂に影響するのじゃぞ?ブランクが肉体の問題ならいくらでもわしらのほうで調節するのじゃ」
肉体なら調整できるのか……それはそれで怖い話だ。
「転生した後のお主がスキルを使えるということは、魂がスキルシステムに接続できるということなのじゃ!」
そういうことだったのか……てっきり専用の肉体を創ったときに彼女が何かしらの細工をしてくれたのだと思っていた。
「ブランクは魂がスキルシステムに感知されないから恩恵を受けられない、だったな?」
「そうじゃな」
「じゃあ俺の魂は感知されるように変わったのか?」
「少し違うな。もともと魂の性質を弄るというのはそのままその者でなくしてしまう行為じゃからな、死んで輪廻に加わる者ならまだしも人格を持ったまま昇神したそなたにはできんのじゃ」
そこまで言ってから、死んだ者もあまり手を加えると破損して転生できなくなってしまうがな、と付け加えるミア。しかし今気になるのはそこではない。
「なら一体どうやって俺の魂をシステムに認識させてるんだ?」
「そこはちょっとしたズルをしておるのじゃよ」
「ズル?」
「うむ、転生使徒にしか使えないズルじゃ」
神々と同じようにスキルシステムは世界を俯瞰的に見下ろしているようなものらしい。そしてそこに生きる者を認識して相互に繋がる道を形成、それを通して努力や条件を検知してスキルという恩恵を与える。ブランクはというと、その認識にうまく検知されない魂の性質を持っている。そのため努力を積み上げて条件を満たしてもスキルシステムがそれを検知できない。したがってスキルも得られない。ところが俺の魂は依然スキルシステムに引っかからない性質を持ったまま、スキルが使えるようになっているのだという。
「神の力でそなたの魂とスキルシステムを直接つないでおるのじゃ」
「遠隔で検知できないなら直に検知させればいい、と」
スキルシステムが目視で人を見つけてスキルを手渡ししているとして、目に見えないブランクの俺でもスキルシステムに紐で括りつけてしまえば認識されるだろうということだ。いささか乱暴ながら確かに効果的な方法と言えるだろう。
俺が納得した様子を見せるとミアはまた薄い胸をそらして鼻を鳴らした。
「わしのアイデアじゃ!」
だがすぐに申し訳なさそうに肩を落として「じゃがな」と続ける。
「これはそなたが神の力を持っておるからできることじゃ。他のブランク達には使うことのできない手ということになる」
やはりそうか。この優しい主神の事だ、もしそれが他のブランクにも可能だと分れば俺がここに戻ってくるまでに世界中へとその力を降り注がせたことだろう。たとえ悪神側に大きなアドバンテージを与えることになったとしても。
依然、ブランクの地位向上は技術の会得と民衆の意識改革に掛っているらしい。つまり俺の仕事だ。
~★~
案内されたミアの私室でお茶会が始まる。全体的に可愛らしい物に埋もれた少女趣味全開の部屋だが、その真ん中でふんぞり返る部屋の主はプラチナブロンドの長髪を靡かせる幼女なので絵面的にはむしろ似合っていた。むしろ教会にある石像の人物を座らせると不気味な光景だろう。
「伯爵令嬢で乳兄弟と乳母と使用人に囲まれてハッピーライフとはな、上からちょくちょく見てはおったが思いの外楽しんでおうようで何よりじゃ」
俺の3年間のあらましを聞いてニコニコと頷くミア。ミスしたとはいえ、結果的にその状況を俺が楽しんでいるのが嬉しいのだろう。
「アクセラの口が生前の俺より固いのはどうにかしたいところだが、まあそれ以外は概ね楽しいよ。新しい魔力の使い方も妹のおかげで完成したしな」
「新技術の誕生が赤子をあやすためとは、また思いもつかんところから来たもんじゃ」
「そうでもないさ」
肩をすくめて見せる。技術というのは多くの場合失敗やしょうもない理由でブレイクスルーが成し遂げられるのだと俺は経験的に理解していた。
「まあ、気掛かりと言えば俺の実の両親だが……どういう人物かわかるか?」
「うーむ、見よう見ようとは思っておるのじゃが、なかなか時間が取れなくてな。これでもそなたがおらん間に天上界では色々あったんじゃ」
天上界はてっきり変化が少ない場所だと思っていたが、そうでもないらしい。
「神々の関係性もそなたのおかげで大分変わったしな」
「俺のおかげ?どういうことだ」
「うむ……まあ、今度来たときにでも紹介するのじゃ。お楽しみじゃ、お楽しみ」
なにか飛び切り面白い事を隠す子供のような顔で話を棚上げするミアに、俺は首をかしげる。とはいえとても楽しそうなので悪い変化ではないのだろう。それなら明かしてくれるまで待ってやるのがいい。
「それにな」
今度は一転、表情を曇らせたミアはもう1つの理由を挙げた。
「どうもここしばらく魔界の様子が騒がしいのじゃ」
「魔界の?」
魔界はロゴミアスの生み出した3つの世界の最下層に位置する世界だ。かつて善神と悪神が互いを滅ぼすべく大戦争を起こしたとき、悪神とその眷属によって奪われた場所でもある。つまりは悪神の本拠地であり、瘴気と邪悪の渦巻くおぞましい世界だ。
「悪神や悪魔、邪竜、その他大勢の住人がひしめき合っておる混沌の地じゃ。神力と物質が混在しておるせいで酷く不安定でな、安定した土地を求めて常に争いが置き続ける悲しい場所でもある。まあ、行ったことがあるそなたなら知っておるか」
安定度を無視すれば広大な土地が広がる魔界には悪神の神域や悪魔の王国、邪竜の根城、魔獣の巣窟と……A級以上のダンジョンを集めた死の見本市が開催されている。生前何度か旅したことがあるが、あれほど刺激的で腕を上げるのに相応しい旅路もない。迷った挙句に魔王の根城へ突入してしまったのも今となってはいい思い出だ。魔王や四天王も命をかけて戦える良い敵だった。愉しかった
「今碌でもない回想に浸っておるな?」
「愉しい思い出だ」
「魔界で楽しい思い出ができること自体碌でもない事態に他ならんのじゃ……まあとにかく、魔界の奥地でどうも新しい魔王が生まれたらしいのじゃ」
「魔王か、懐かしいな」
丁度思い出していたところだ。
「じゃろうな。そなたが倒して以来ずっと空座じゃった魔王が新しく即位するかもしれんと聞けば、わしらも魔界を注視せざるを得ん」
「魔王が生まれても善神は直接動かないだろう?」
魔王と言ってもあくまで下界の存在。神が直接対処するわけにはいかない。
「まあそうなんじゃが、それでも勇者の選定には口も手も出すことになるのじゃ。念入りに下調べをしておいて損はない。というわけで、しばらくは地上にあまり目を向けられんのじゃ」
神託によって選ばれた勇者には様々な神の恩寵が与えられる。それでも対象が人間である以上限界は存在し、どういった加護を与えるかを検討しなければならないのだという。
「転生早々にバックアップを止めることになってわしとしても心苦しいが、勇者には強い加護も必要じゃ。そなたがサクっと仕留めてくれると助かるんじゃが……」
「前の魔王と同格ならあと15年は貰わないと厳しい。装備も技も肉体もな」
「じゃろうな。さすがにそんな無茶は言わんのじゃ。とはいえこっちも向こうもあと10年くらいは様子見をしつつ準備期間じゃろうから、もしかしたら頼るかもしれんな」
「そのときはたっぷり加護を授けてくれ」
新しい魔王との戦い。愉しそうだ。何より目標があるというのはいい。
「あ、そうじゃ」
俺の軽口にミアがふとこちらを真っ直ぐ見つめて思い出したと口にした。
「そなたまだ加護や恩寵について決めておらんかったな?」
「ん?ああ、そういえばそうだな……」
使徒転生までの猶予期間を俺とミアは全て肉体作成につぎ込んでしまったために神としての仕事を一切しないままになっている。現状、技術神は無教義無加護無恩寵。いないも同然な神だった。
「なんじゃったかな、そなたの天使……パロエル?がそのことでそなたと話したいと言っておったそうじゃよ」
「パリエルか?」
「じゃったかな?天界には天使が多すぎてな……まあそなたの天使ならそのうち覚えるのじゃ」
なんともいい加減なことを言う太陽神に苦笑で応じつつ考える。
エクセル神の加護、どうすべきかな。
「まあ、元気そうなのが直に会えて分かったことじゃし、あんまり引き止めても予定がつかえるじゃろうからな。そろそろ解放してやるのじゃ」
本当に名残惜しそうで不本意そうな顔で立ち上がるミア。確かに言われてみればパリエルと会談までして帰るならそろそろ動いた方がいいかもしれない。
「そうだな。これからは時々教会にも来れるだろうし、そうすればまた時々会えるからな」
今回は3年も開けずに済む。
「もう頭ぐりぐりは勘弁じゃぞ」
「お前がされるような事をしなければな」
ワケもなくヘッドロックかましたわけじゃない。
そんなやりとりをしてから2人同時に笑う。
「次会うまで達者でな」
「わしよりそなたの方が心配じゃ」
どちらからともなく拳を打ち合わせ、俺は部屋を退出すべくドアノブに手をかけた。
「あ、そうじゃそうじゃ、忘れるところじゃった」
「ん?」
振り返ると真面目な顔をしたミアがこちらを見ていた。真鍮色の瞳には慣れした親しんだ墨色の俺が映っている。
「お主の乳兄弟、エレナじゃがな」
「ああ」
思ってもみなかった名前がミアの口から飛び出した。
「あの子は相当とんでもない才能の塊じゃぞ」
まるで脅すような、あるいは忠告するような低い声でミアは言う。とはいえそれはすでに分っている事でもある。
「今更改めて言われてもな」
「いや、お主の思っている以上に彼女は強い運命と可能性を宿しておる」
「強い運命?」
俺の記憶が正しければ運勢を司る神はいても運命を司る神はいない。天が定めた、あるいはその者に定められた運命などというものは地上で使う比喩表現でしかないはずだ。しかしミアは力強く頷いた。
「そうじゃ。もちろんわし等が言う運命も比喩に近いが、長い間人間を見てきて養われた直感のような物があるんじゃ」
神の直感。それは被造物としても、戦士としても無視できない言葉だ。
「強い運命を持つ者の将来はいくら知識のある神でも予測し難いのじゃ。そしてそれは運命の埒外におるそなたの影響でさらに複雑で奇妙なモノになるじゃろう」
神である俺は時に発想が人間とは大きく違い、行動もとれる選択肢の多さや規模の問題から完全な未知となる。何度となく人類の営みを見てきた神々でも想像すらできないそうだ。
「あの娘は歩む人生でその在り様を大きく変えるハズじゃ。制御することができないと思うなら余り芽吹かせぬ方がいいかもしれんとわしは思うのじゃ……」
「……ミア、カリヤとナズナは見たか?」
「うむ?そなたの息子と娘じゃな」
突然の話の転換についていけなさそうに首を捻りながらも彼女は答える。
「あの子らの運命は強力か?」
「そうじゃのう、エレナほどではないが人類では飛び切りに強力じゃ」
やはりそうか。いや、そうだろうよ。薄弱な命の者にあんな人生は歩めない。
「別に俺は制御していないが、あの子らは危険じゃないだろ?」
「それはそうじゃが……」
「ミア、俺はエレナを制御することはできないだろうし、する気もない」
「……」
「俺はただ彼女に自らを御する技術を授けるだけだ」
「…………そうじゃな、それがよいかもしれんのじゃ」
師とはそうあるべきだと、俺は自分の師から教わった。なら万民の師となるべき技術神もそうあるべきだろう。
「忠告は感謝するよ」
「なに、我が友の為じゃからな」
お互いに十年来の友達であるかのような笑みを浮かべ、俺は今度こそ部屋を出た。
ちょうど外で待機していたシェリエルに頼んで案内してもらう先は、この宮殿の中で俺が間借りさせてもらっているエリアだ。そこで仕事に追われているであろう専属天使のパリエルに会うために。
米がない、味噌もない、お金もないし、牛乳もない・・・
牛乳がないと小説が書けない・・・
嗚呼、牛乳・・・
~予告~
神様公認で危険人物判定されてしまったエレナ。
彼女こそ未来の大魔王であった・・・
次回、大魔王エレナ
エレナ「大魔王になるの?」
ミア「いや、さすがにそこまではならんじゃろ!?」
※※※変更履歴※※※
2019/5/4 「・・・」を「……」に変更