五章 第2話 姉弟の時間
!!Caution!!
このお話はクリスマス3日連連続更新の1日目です!
「ただいま」
「おかえりなさい。また凄まじく汚しましたね?」
屋敷に戻って早々、俺を出迎えたのは侍女アンナの厳しい視線だった。孤児院に行く際に返り血の類は魔法で誤魔化したので、彼女の言っているのはその後の鬼ごっこの結果だろう。小さい子たちに一丸となって襲い掛かられては俺もなすすべなく、地面を何度も転がる羽目になった。数の暴力と子供の無垢な狡賢さは最強だ。そんなわけで俺もエレナもどろんこである。
「どうせそんなことだろうと思ってお風呂を用意してあります。お夕飯まで時間がないのですぐに入ってくださいね?」
俺の小さい頃はしっかりしつつも可愛げのあったアンナだが、最近ではすっかりラナの厳しさを習得してしまっている。
まあ、それも当然か。
6年は長い長い歳月だ。生まれたときからの仲である彼女も大きく様変わりした。昔は俺と同じくらいに切っていた青髪が今や腰まで伸ばされていることもそうだが、左手の薬指に填められた銀の輪とわずかに膨らんだお腹が一番の違いだろう。そう、彼女は結婚したうえにもうすぐ母親になるのだ。
「アンナ、体調は?」
「ふふ、おかげさまでもう吐き気も収まりました。心配してくれてありがとうございます」
『神託』でパリエルに頼んでエカテアンサに聞いてもらったところ、妊娠中の体調不良はあまり聖魔法で調整しない方がいいと言われた。なのでほとんど俺はなにもしていないのだが、つわりが酷くて食事ができないときはたまに酔い止めの魔法クリアデイズをかけたりしていた。
「ん、お風呂行ってくる」
「わたしもー」
玄関口でそのままアンナと別れ、俺たちは風呂に向かう。時間的にトレイスは書庫で勉強中だろうから、風呂上りにでも少し様子を見よう。渡したいものもあるし。
~★~
浴室用の低い椅子に座ってヘチマにボディソープをなじませる。最近知り合いの薬屋のおばあさんがくれたこの石鹸はやたらと泡立つから好きだ。洗剤の類は泡がたてばたつほどいいような気がするのはなんでだろう。
「洗うよ」
「うん、おねがい」
たっぷりとたった泡を両手に広げてから目の前の背中に塗り付ける。きめ細かな肌を肩甲骨から腰に掛けてなぞり、円を描くように泡を広げていく。エレナの高い体温が手のひら越しに伝わってくる。
「痒いところない?」
「だいじょうぶだよ」
緩み切った声が肩越しに聞こえる。正面にはめ込まれた鏡は湯気で曇っていて顔色まで見えないが、十分彼女がリラックスしていることは分かる。伊達に10年以上背中を洗っているわけではないのだ。お互い、先に自分の体を洗って背中だけ順番に任せるのはずっと続く俺たちの約束のようなものである。
「ちょっと肩凝ってる」
「魔法撃ちまくったからかな」
アズライトファングの群れは結構な規模だったし、その半分を氷魔法で仕留めていた。いくらエレナが効率のいい魔法運用を得意としていても疲れないわけがない。それもあって孤児院では室内遊戯を担当してもらったわけだが。
「はい、流すよ」
「はーい」
鏡の横にホールドされたシャワーヘッドを取る。自分の手にお湯をかけて適当な温度に調整してから、背中を真っ白に覆う泡を流しにかかった。熱めのお湯にさらされてわずかに赤みを帯び、うっすらと生えた金の産毛が水滴を弾く。
「ん、できた」
「じゃあ交代ね」
「・・・ん」
一瞬の躊躇いが脳裏を駆け抜けるが、他にしようもないので俺は頷いた。そして座る位置を入れ替えて、頭からシャワーを浴びせられる。そしてとろりとした液体がかけられ、意外と強い力で髪の毛をかき回される。
「あ、また枝毛になってる!」
「ん」
「ダメだよ、ちゃんとお手入れしないと」
「エレナがして」
「・・・むぅ」
愛用の柘櫛は相変わらず俺ではなくエレナの手で使用されている。この体に馴染んでかなり立つわけだが、あいかわらず髪の手入れにはあまり気を遣っていない。
「流すよ、目閉じててね」
「ん」
再び熱いお湯が短い髪を伝って体に流れていく。
「じゃあ次背中ね」
しゃこしゃことヘチマで泡をたてる音がする。手持無沙汰になった俺は目の前の鏡を掌で拭った。そこに映るのは相変わらず人形のような少女。乳白色の髪は誘拐事件の後からずっと肩にかかるくらいのボブカットで、紫の煙水晶で作ったような瞳は相変わらず無感動だ。手足や腹にはしっかりと筋肉が発達し、その上から薄い脂肪がついている。同年代としてやや小柄なことを加味しなくても、十分に強くしなやか。そして自画自賛になるが、とても美しい体だ。胸元も張りのある肌がしっかりと押し上げられて、戦闘の邪魔にならない程度には育っている。
「ん」
むにっと指を沈ませてみても特に痛くはない。去年頃は鎧越しの衝撃でも死ぬかと思う程痛かったのに、なんとも不思議なものだ。
「アクセラちゃん、どしたの?」
ぼーっとしていたのがばれたのか、エレナの不思議そうな目が鏡越しにこっちを見ていた。
「ん、別に・・・」
「また胸触ってるの?」
「語弊のある言い方しない。体のコンディションチェックは冒険者の仕事のうち」
「ほんとかな・・・アクセラちゃん胸大好きなんだもん」
いつぞやの神々の宴会以来、彼女は俺が巨乳フェチだと思いこんでいる。正しくは巨乳にかぎらず胸が大好きな、いわゆるおっぱい星人か。あのときは酔っていたし覚えてないだろうと思っていたのに・・・いつか天界に戻ることがあったらトーニヒカはぶん殴る。
「でもちょっと分かるな」
「・・・」
何が分かるというのか。事と次第によってはくすぐりの刑だ。
「小っちゃいころは本当に母さまたちみたいになるのかなって思ってたけど、気がついたら大きくなっていくんだもんね」
「ん、そういう・・・」
分からなくもない。というよりよく分かる。なんなら生まれつきの女であるエレナより男の前世を持つ俺の方が、胸が膨らみだしたときの何とも言えないショックは大きかったと思う。
「ちゃ、ちゃんと見たことなかったけど、アクセラちゃんも結構大きくなったよね」
当時を思い出して内心半笑いを浮かべていると、そんな言葉と共に腕がにゅるりと脇を撫でた。
「んひゃ!?」
ボディソープの泡に包まれたエレナの腕が前側に回されたのだ。その掌はそっと俺の胸を包んでいる。
「ちょ、こら!」
「いいじゃん、減るわけじゃないんだし」
わずかに上ずった声でそんなことを言う妹に脱力する。
「・・・すけべ」
「むぅ、酷くない?」
これでも前世は娘を持つ身。しかも満足な家もない流浪の期間が長かった。年頃になって自分の体の変化や他人との違いに興味津々なのは分かる。が、そう露骨なのはいかがかと思う。
ちゃんと見たことなかったもなにも、ここ2、3年は風呂や着替えの時にガン見してるじゃないか・・・なんなら半年くらい前に好奇心爆発モードの君に散々触られましたよ?
ちなみにそのとき彼女の知識欲を刺激していたのは人の体の硬さが違う不思議だったらしい。なんで同じ脂肪でもお腹と胸で違うのかとか、同じ場所でも俺と彼女で違うのかとか。さすがにそこまでは俺も知らないし、たぶん師匠も知らなかったと思う。
「否定するならとりあえず揉むのやめる」
「むぅ」
「よろしい。それから背中お願い」
春になったばっかりでまだ寒い季節だ。冷えてお腹でも痛くなったら困る。そんな意図が通じたのか、エレナは不服そうながらも背中を流す作業に戻ってくれる。そしていつものことだが、意外としっかりした指になぞられる背中がくすぐったい。傷跡の部分が変な再生の仕方をしたのか、若干皮膚が薄いのだ。普通は厚くなるものなのに。それとエレナが背中を流すときに半ば無意識に紋章をなぞるのも理由だったりする。
「いつまで私の杖触ってるの・・・」
「あ、ごめん。くすぐったかった?」
「ん、すごく」
「あはは、ごめんね。じゃあ流すよ」
すぐにそのくすぐったさは泡ともどもシャワーに押し流されて消えていった。
「ふう、入ろうか」
「うん」
お互い体を洗い終えて湯船に向かう。体が大きくなっても相変わらずゆとりのありすぎる風呂桶だ。2人そろって一気に肩まで浸かると結構な量のお湯が外に溢れだした。同時に熱が一気に浸透して一瞬心臓が止まるかと思わされる。
「熱いー・・・けど気持ちいいねー」
「あんまり熱いお風呂はよくないらしい。気持ちいいから止めないけど」
「そうなの?」
「ん、師匠が言ってた。師匠も熱いお風呂好きだったけど」
人が好きな物と人に良い物は意外と違うらしい。俺は好きな物重視で生きてきたし、今後もそうするつもりだ。
「そういえばこの前の打撲はもう大丈夫?」
「先週のグリーンビートルのことならもうバッチリだよ」
突撃しか能のないことで有名な昆虫系魔物グリーンビートルにエレナがどつかれたのは先週の依頼でのことだった。いつも通り俺が前線を形成してエレナが後方から魔法を撃つ陣形だったのだが、その前線をすり抜けて思いっきり突撃してきたのだ。エレナが後衛の慢心を抱き始めたようだったのでわざと抜けさせというのはナイショである。どうせ弱ったグリーンビートルでは軽い打撲以上の怪我は負わせられない。
「アザももう残ってない、ね」
脇腹のやや前側を見てそう結論付ける。
「じろじろ見て、アクセラちゃんのえっち」
俺より少し大きな胸を両手で庇いながら冗談めかして言うエレナ。
「散々触ったくせによく言う」
胸だけじゃない。並ばないとはっきりは分からない程度だが、背丈も彼女の方が大きい。腰回りの曲線でも負けている。エレナは俺のように引き締まった体の方がかっこいいというのだが、正直少女としては彼女の方が羨ましい体つきだと思う。それに俺よりは丸みを帯びているというだけで、おそらく同年代の少女より圧倒的に筋肉量も多いし引き締まった手足をしているはずだ。
身長だけはもっと欲しいな・・・主に刀のリーチの問題で。
「300数えたら出よ」
「ご飯の時間になっちゃうもんね」
晩御飯を食べたあとならいくらでも、それこそ溶けるまで入っていてもいいのに。
外で遊ぶことの数少ないデメリットだな。
そんなことを思いながら、俺たちは声を合わせて数を数え始めた。
~★~
晩御飯はお風呂から出てすぐだった。アズライトファングの群れを討伐したお祝いに大青鹿のステーキが出た。普段食卓に昇る鹿肉と違って食肉用に飼育されている鹿だ。肉の味が濃くておいしかった。
「トレイス、少ししたら部屋に行っていい?」
食後のシャーベットを食べ終えたところでトレイスに尋ねる。
「うん、いいよ」
12歳とは思えないほどあどけない表情で笑う弟の頭をそっと撫でる。ふわふわの綿毛のような白髪を。妹と弟のせいですっかり人の頭を撫でるのが癖になってしまった。
部屋に戻った俺はチェストから一つの箱を取り出す。これは数日前、リオリー商会のマイルズに頼んで用意してもらったものだ。
「よし・・・エレナも来る?」
「うーん、いいや。わたしはまた後で行くから」
「ん」
確認だけ終えてから、エレナを残して部屋を後にする。相変わらず俺の部屋は半ばエレナの部屋と化していた。
あの部屋とも直にお別れかと思うと少し切ないな。
感傷を胸に廊下をずっと通ってかつて病室だった場所へとたどり着く。
「どうぞー」
ノックをすれば耳に優しいソプラノで返事が帰ってきたので扉を開く。レイアウトはほとんど俺のと同じになっているのに、そこはだいぶ印象の違う部屋だった。壁に剣がかけられているわけでもないし、書き散らしたメモや報告書がテーブルを占拠しているわけでもない。ただ書庫から持ち込んだ本が何冊も積みあがっている。トレイスが趣味にしている詩作の資料だろう。彼はラナが感心するぐらいにはそっちの才能がある。恥ずかしがってあまり俺には見せてくれないが。
俺が開発でエレナが研究、トレイスは文化的な方面と姉弟でも好む方向性が見事にばらばらなのが面白いな。
「ごめん、姉さま。ちょっと片付けが終わらなくって」
困ったようにテーブルの上の紙束を隠そうと辺りを見回し、いいものが見つからなかったのか枕を慌てて乗せた。
「え、えへへ・・・」
「気にしないで。トレイスが嫌がるなら見ないから」
「う、うん。姉さまのことは信じてるけど、やっぱり気恥ずかしいから」
エレナに負けず劣らずはにかむ姿が可愛らしい。顔の造作は俺とほとんど同じなのに、なぜか彼は温かみに溢れた子供らしい笑顔を自然と浮かべられる。死産予定だった体だから表情筋が既に死んでいるんだろうか、俺は・・・。
「とりあえず座ってよ」
「ん」
勧められるままテーブルの前の椅子に座る。正面にトレイスが座ると、2人の間に分厚い枕が鎮座した状態になった。
なんだろう、シュール。
「えっと、それで急にどうしたの?姉さま忙しいでしょ?」
「そうでもない。依頼は今日で終わりだし、荷物はもうほとんど詰めてあるから」
「そ、そうなんだ」
トレイスの反応が少しぎこちない。それは今に限ったことではなく、ここ2週間ほど続いているものだ。理由も分かっている。もうすぐ俺もエレナも王都の学院に行ってしまうから寂しいんだろう。
「トレイス、もうすぐ誕生日でしょ」
直接その話題にはふれず、俺は部屋に来た目的を果たすことにする。
「あ、そうだね」
「毎年お祝いしたいけど、今年はできないから」
「う、うん」
「ん、ちょっと早いけど」
俯きかけるトレイスに持ってきた箱を渡す。臙脂色の紙箱に黄色のリボンをかけたそれはプレゼントだ。
「わ、ありがとう!」
トレイスは陰りを追いやって向日葵のような笑顔を浮かべる。エレナもこの子も物喜びするからプレゼントのあげ甲斐がある。
「開けてみてもいい?」
「もちろん」
武器を握る俺なんかよりよっぽど細い指でリボンが解かれていく。そして箱の蓋があげられ、中に納められた物が彼の目に触れた。それは滴型にカットされた瑪瑙・・・に似た魔石のペンダントだ。
「すごい・・・」
青と白が細かく積層するそれを見てトレイスはため息のような感想をもらす。
「ジラコイアの魔石を加工したもの」
ジラコイアは全身に葉っぱを纏った首の長い魔物だ。前世では一度も見たことがなかった種類で、「災いの果樹園」の最奥部に行ったらたまたま遭遇した。ルオ曰く目撃例すらほとんどない魔物らしい。
「姉さまが?」
「ん」
ジラコイアの魔石は見ての通り積層型になっており、それぞれのレイヤーで独立した性質を持つ。要はシュリルソーン系のコアのようになっているわけだ。
「レイヤーごとに別の魔法陣を書き込んである」
1つの層では完成しないようにあえてパーツをばらばらにしてある。書きこむのに鼻血がでるほど集中力が要った。
「魔力を流し込んで地面に叩きつけると魔法が発動する」
「どんな魔法?」
好奇心と不安が混ざったような声でトレイスが尋ねる。開発好きの俺が大事な弟に贈る一点モノだ、普通の品でないことは彼も分かっているのだろう。
「神託の聖魔法」
「ええ!?」
それでもさすがに予想していなかったみたい。ああ、このびっくりした顔が見られるんだから開発は止められない。
「もちろんまともに作動しないけど」
そんな簡単に道具で再現できるなら神官は廃業だ。
「えーっと、それだと何の意味があるの?」
「神託が行使されたことは天界に伝わる」
「うん・・・?」
「その神託のあて先はエクセル神、つまりお姉ちゃん」
その部分だけ小声で言う。
「えーっと・・・あ!」
物わかりのいい弟で嬉しい。君みたいに勘のいい子供は大好きだよ。
不発とはいえ神託は天界に把握される。俺がいない以上察知するのはパリエルになる。そして彼は俺に報告する。地上への過剰干渉に思われるかもしれないとわざわざ確認したところ、神託の要請があったことを神に伝えるのは当然なのでルール的に問題はないそうだ。渋い顔をされたが、弟の安否のためならそれくらい安い。
ペンダントに仕立ててくれたマイルズともども今回は助かったよ、わが副官。
「もしトレイスに危険があればすぐに分かる。それで、絶対に駆けつける」
「姉さま・・・」
「大事な弟だから。どこにいてもちゃんと守ってる」
「ねえさまぁ・・・!」
やっぱり寂しかったのか、トレイスの可愛らしい顔が涙に歪む。
「おいで」
腕を広げて上げれば彼はすぐにテーブルを回り込んで抱きついてきた。
いくつになっても甘えん坊、というのは少し酷かな。
「ねえさま、いかないでよ・・・」
ぐずりながらワガママをいう弟に苦笑が浮かぶ。それが無理なことは彼もよくわかっている。それでも言わずにはいられないのも、俺にはよくわかる。
「大丈夫、ほんの1年の辛抱」
トレイスは俺が2年になると同時に学院に入学する。つまり会えないのはそれまでだけ。夏休みは帰ってくると考えると半年もかからない。
「でも・・・でもぉ!」
「ん、泣かないで」
結局それからトレイスが泣き止むまで数十分、ひたすら俺は頭を撫でた。本当に手触りのいい真っ白のクセ毛をたっぷりと。
「トレイス」
「・・・うん」
床に膝をついて泣いていた彼を腕の力だけで引き上げて膝に横座りさせる。赤くなった目元がすぐそばに来て、宝石のような赤い瞳に自分の顔が映り込むのが見えた。
「トレイス、これからは君が一番偉い」
「・・・ビクターじゃないの?」
「ビクターは偉いけど、この家で一番偉いのはもう君」
「姉さまじゃなくて?」
「わかるでしょ?」
おでこをくっつけてじっと見つめ合う。
「・・・・・・うん」
認めたくないことを不本意ながら認めるように頷く。
「いくらでもビクターやラナ、イザベルを頼りなさい」
「うん」
「でも一番偉いのは君。最後に頑張るのはトレイスだよ」
慰めておいて言うことじゃないかもしれないけど、今言わないと言える日がいつになるかわからない。
大好きな弟だからこそ、不本意な道には行ってほしくない。こう言うとなんだけど、俺はビクターと同じ思いをすることだけは絶対に嫌だからさ。
「がんばれる?」
「・・・がんばる」
「ん、なんとかなる」
もう一度しっかり抱きしめて背中をさすってあげる。トレイスの抱きつく力が少しだけ強くなった。なんだかそれが彼の決意の表れのようで、俺はとても嬉しくなってしまった。
がんばれ、トレイス。屋敷の皆は任せるからね。
クリスマス連続更新が始まりました。
私はクリスマスは24日にパーティー、25日にプレゼントという家で育ちまして。
24日に鶏の丸焼きを家族みんなで食べて、翌朝ツリーの下に置かれているプレゼントを夢見て早めに寝たものです。
クリスマスぴったりに実家にいないと母がチキンを焼いてくれないので、ここ数年ありつけていませんが・・・。
まあ、そんなわけで(どんなわけだ)狐林さんの新イラストというプレゼントは明日の更新です!!(笑)
もちろん次の0時ですよ。
~予告~
王都のギルドにて立ちふさがる男たち。
ついに秘められた実力が白日の下にさらされる!!
次回、この業界ではテンプレートな戦いの一幕。
エレナ 「絡んできた人たちを突出した力で軽くあしらうんだって」
アクセラ 「あんまりテンプレ展開しないのに、めずらしい」
ミア 「嘘予告じゃないのじゃ・・・きな臭いな」




