四章 第11話 反逆の楔ホルン
!!Caution!!
このお話は一周年記念隔日更新の3日目です!
王都について2日目の朝、俺は朝食を食べずにエレナとアペンドラを連れて外に出た。3人とも平服でお忍びスタイル、武装も見える範囲ではなし。一応、距離を開けてガックスとマレクが平服に剣というスタイルで護衛をしてくれている。トーザックは依頼主からの命令として今日一杯の療養にした。
働き過ぎだからね、アイツ。
「それにしても、王都のスイーツ巡りなんてサイッコーじゃない」
家紋のない馬車から富裕街の入り口で降りると、水色のワンピースに身を包んだアペンドラが大きく伸びをする。いつもの頑丈な衣装じゃない分、腕を上げると胸元の寂しさが際立つ。
「でもわたしまで一緒でよかったの?」
「一緒の方が楽しいですから!」
「ん」
いつもよりさらにテンションの高いエレナの言葉に頷く。今日は船の上で約束した通りスイーツ巡りの予定なのだ。
約束したはいいけど、俺の胃に甘い物はそこまで多く入らない。なのでアペンドラは俺があまり食べないことに気づかせないためのデコイ役だったりする。
しかし言わぬが花とはまさにこのこと、とりあえず奇抜な屋敷を背景にカフェが軒を連ねる区画を目指す。ビクターの資料によると菓子の名店の多くはそこにあるらしい。
「ケイサルにはお菓子って種類がなかったから楽しみ!」
ユーレントハイムでは砂糖が比較的安定して生産されているものの、需要に比べると少なくやや高い。ある程度の規模がある街ならお菓子屋もそこそこあるのだが、そういう場所じゃ試行錯誤に回すほどは確保できない。そうすると古典的で安価な菓子以外はあまり流行らないのだ。これは王都の一般街でも同じことが言えるらしい。
それに対して貴族街はそもそも店が少ない。土地の狭さと貴族の多さからほとんどが住宅地なのだ。加えてそういう場所にある店はとてつもない高級店で、気軽にお忍びでいくには向かない。
「富裕街なら試行錯誤しても儲けが出るし、気軽に立ち寄れるくらいには格式ばってないんですって」
ビクターの資料にあったことと同じ内容をアペンドラがエレナに説明する。「夜明けの風」の情報担当だけあってその口調に淀みはない。
「アペンドラさんは王都に来たことあるんですか?」
「まあね。て言っても依頼で3回くらいよ。一般街までしか入らなかったし」
Bランクともなればその身分は下手な騎士爵より高い。当然非公式にはと注釈付きだが。ギルドマスターお抱えである彼らなら冒険者カードだけで貴族街まで入れるだろう。
「そういえば泊まり心地は?」
「もちろんいいわよ。気軽に出歩けないのが玉に瑕ね」
貴族街に入れることと自由にうろつけることはまた別だ。よそ者がウロウロして歓迎されることはない。不幸中の幸いは観光すべき場所も店もないことか。
「ま、護衛任務の途中だしそれはいいのよ」
屋敷では使用人区画の空いている個室をそれぞれに使ってもらっている。食事も3食きちんと賄われるので仕事の条件としては上々だ。
「あ、アクセラちゃん!」
見え始めたカフェ通りにエレナの声が弾む。走りだす彼女を、俺とアペンドラは苦笑を浮かべて追いかけた。
「あのお店凄く綺麗だね!」
彼女が指さしたのはテラス付きのカフェで色とりどりの植え込みに彩られている。店の名前はテレジアーヌ、ビクター厳選甘味処の一角を占めている。
「オススメはアップルパイとミルクティーらしい」
ちょうど朝食時間を過ぎたあたりで席に人はいない。
「まずここにしましょうか」
アペンドラの言葉に頷いて店に入り、適当な場所を確保して注文を済ませる。3人分のミルクティーと、アップルパイのハーフを分けることにした。ついでに遅れて入ってきた護衛2人の分の会計をこちらにツケてもらえるよう言付ける。俺の、というかエレナの趣味に付き合わせているのだからその間の支払いはこちら持ちだ。ちなみに金はリオリー魔法店の開発スタッフとしての給料から出している。
「そういえばアペンドラさん」
「なにかしら?」
アップルパイを待つ間にいつものやり取りが始まった。普段の冒険から知りたがりのエレナと物知りなアペンドラのプチ授業はよく開催されている。
「冒険者ってCランクからがベテランの仲間入りなんですよね?」
「そうね。とはいってもCランクの中からベテランが出てくるって見方が正しいかしら」
Cランクになると中堅の仲間入りをしたとみなされ、そこで功績を上げることで知名度が上がりベテランと呼ばれるようになっていく。Bランクになれば拠点にしているギルドじゃエース扱い、他のギルドでも好待遇で歓迎される。
「ベテラン冒険者には通り名があるって聞いたんですけど」
「……誰から」
エレナの口から通り名というワードが飛び出すと、アペンドラのテンションが目に見えて下がる。
「えっと、ケイサル支部のジェフさんに」
ジェフはギルド商店に勤める店員で、最初の装備選びの時にエレナを担当した男だ。魔法使いや弓使いなんかの遠距離職の装備に造詣が深いので、彼女はちょくちょくアドバイスをもらっているらしい。かく言う俺もジェフの同僚であるジャンと時々鎧について話し込んだりする。
「あのおしゃべり男……まあ、そのとおりよ」
「Bランクのアペンドラさんたちはあるんですよね?」
好奇心に支配されたエレナに空気を読む機能はない。彼女は嫌そうな顔をするアペンドラにも構わず食いついて離なさなかった。
「あのね、通り名って別に自分で名乗るようなモノじゃないのよ?他人がすっごく適当な理由ですっごくいい加減な名前を付けるの。だから大して気にしても意味ないわ」
アペンドラはそう言いながら、運ばれてきたアップルパイをてきぱきと切り分けてくれる。
「ん、おいしそう」
「わあ、いい匂い!」
きつね色の格子の奥に透き通るリンゴのフィリングが隠れたそれからは、シナモンとリンゴとバターの香りが湯気と一緒に立ち上る。断面を見ればフィリングはリンゴの砂糖煮だけのシンプルなものだった。
こういうのはシンプルさを突き詰めた方がおいしいんだ。
エレナの注意もさすがに目の前のごちそうに移る。
「いただきます」
あっつ!
酸味がわずかに残る甘いリンゴの砂糖煮とパイの芳醇な香りがたまらない。でも熱い。
「熱いけど甘くておいしい!」
「んー、美味しいわ」
2人にも好評なようで、ハーフサイズのアップルパイはあっという間になくなった。ミルクティーもお供にしていたらあっという間に空だ。
「さて、行こうか」
皿がきれいになったと同時、アペンドラの号令で立ち上がった俺たちは会計を済ませて大通りへ戻る。お茶しか頼まなかったらしいガックスとマレクも少し間をおいて追いかけてくる。
「あのパイ、香りがよかったわね」
「ん、シナモンがいいかんじ」
「今度行くときはバニラアイス乗せてみたいなぁ」
そんな話をしながらも女性2人の目は他の店を値踏みしている。俺の想像よりはるかに早いペースだ。
「次はどこがオススメなの?」
このペースで店を巡っていたら俺の腹が持たない。そう確信するほどの速度でアペンドラが尋ねる。
あれ、デコイのはずがむしろハシゴのエンジンを増やしただけなんじゃ……。いや、朝飯抜いてるし大丈夫かな?
「そこのルートビアとマフィンとか」
とりあえず行けるところまでは頑張らないとな。
多くは食べられないだけで甘い物は好きだし、エレナと一緒に店を巡るのが楽しいのは嘘偽りのない事実なのだから。
~★~
日が中天を過ぎる頃、俺たちはまだスイーツ巡りの道にあった。
「んと……あそこのディモンテカッフェ。たしかレモネードとバームクーヘンが有名」
「じゃあそこに行きましょう」
もたれる胃袋にげっそりしている俺とは対照的に、エレナとアペンドラはまだまだ元気だ。あれから既に4件を巡っており、段々甘いという概念がよくわからなくなってきた感がある。
そろそろ切り上げないと脳みそが砂糖漬けになりそう。
白基調の店内はやはり客が少なく、席を確保してからそれまでの店と同じことを店員に伝える。いいかげんガックスたちもお茶でお腹が一杯だろうが、それはそれ。それとバームクーヘンは取り分けじゃなく1人1個だった。
「それで、アペンドラさん」
「なにかしら?」
「通り名がいい加減って言ってましたけど」
「その話はもう流れたと思ってたわ……」
「うっかり忘れてました、ごめんなさい」
流れたままになっててほしかったんだと思うけど、アペンドラも。
「それで、通り名なんですけど」
「はぁ、そうよ。いい加減もいい加減、この王都のAランクがその代表格だわ」
諦めて説明を再開するアペンドラが言うには現在ユーレインにAランクが4人いるそうだ。その中でも最も通り名がいい加減なのが「不治」のヴェラールという男。
「ヴェラールは凄腕の魔法使いで研究者でもあるの。顔面蒼白でいつも一心不乱に何かの研究をしているから、きっと不治の病に侵されていて治療薬を探しているんだろうってことでそんな通り名になったらしいわ」
前世の冒険者時代によく聞いた流れだな……ここら辺は時間がたっても大して変わらないもんか。
「実際は?」
俺はオチの見えている話の続きを訪ねる。
「不治の病でもなんでもない、ただの貧血よ」
まあ、不治の病に違いはない。
「顔色は貧血、研究に熱中してるのはただ研究バカなだけ。御年40を超えても至ってピンシャンしてるわ」
なおヴェラール氏、事情を知っている者からは「貧血」の通り名を贈られている模様。
「じゃあ通り名はアテにならないんですか?」
「もちろん全く関係ないってことはないわ。「不治」のヴェラールだって顔色は重病人のソレだし」
外見に関しては的を射ているということだ。実際俺の経験から見ても、まったく本人と結びつく要素のない通り名がつくことは珍しい。勘違いの内容や与太話でも元をたどれば本人の容姿や行い、雰囲気とかから来ているのだ。
「だから辛うじて知らない冒険者を知るための手掛かりにはなるわね」
「お待たせしました」
俺は店員の声に運ばれてきたプレートを見て硬直する。分厚いバームクーヘンの横には絞ったクリームとアイス、ビスケットが3枚ついていたのだ。アペンドラとエレナは嬉しそうに表情をほころばせるが、俺に同じ顔を浮かべることは無理だった。
しまった、2人に合わせてドリンクセットにしたのは完全にミスだ……内容ちゃんと見ればよかった。
ふとガックスたちのテーブルを見るとあちらは小さなバームクーヘン一欠けと紅茶のセットの様子。俺と目があった「夜明けの風」のリーダーは苦笑を浮かべて手を振ってくれた。彼は俺が甘味をそこまで食べないことを知っている。
「このバームクーヘンかなり密ね」
「ほんとですね。アイスと合わせるととってもおいしいです」
「ん、おいしいね」
一口食べると卵とバニラがよく混じった生地が口の中で主張する。
おいしいのはおいしいけど、これ腹に溜まるなぁ……。
「そういえば今日は何件回るのかしら?」
「あと4件くらいですよ」
「!?」
しれっと恐ろしいことを言うエレナにあやうくフォークを取り落としそうになる。彼女の分は彼女自身のお金で支払っているし、護衛メンバーの代金も2人で割り勘だ。だから金銭的にどうこう言うこともないし、ケイサルは王都ほど色々な店がないのでたっぷり楽しみたいのも理解できる。だがしかし、あと4件分も甘い物を食べたら俺は血が糖蜜になって死ぬ。
「……」
ビクターの資料をいろいろと思いだし、なんとか砂糖人間にならずに済む方法を考える。エレナはどうやら昼食も甘い物で済ませるつもりらしいので、そこさえなんとかすれば少しはマシになるだろう。
ああ……そういえばカフェ通りの端のエンリケズダイナーは鉄板料理が有名だったはず。
元冒険者の主人が焼く絶品ステーキで有名と言う話だったので、ひそかに俺が行きたかったところでもある。しかもホットケーキもおいしいとのこと。
「お昼はエンリケズダイナーに行こ」
「そこは何があるの?」
「ステーキとホットケーキ。ガックスたちも一緒に食べればいい」
「あ、それいいね!」
「あんまり気にしなくていいのよ?」
アペンドラはそう言ってくれるが、これは俺のためだ。
よし、肉を挟めばあと3件……無理じゃない?
~★~
王都の西側が闇に飲まれる頃、屋敷に戻った俺は画廊の二階で母の絵を見ていた。優しい微笑みを浮かべた華奢すぎる女性の前で、ただ人を待つ。
「お待たせいたしました」
後ろから声がかかる。俺が振り向かずに絵を見上げていると、待ち人は隣にやってきて同じく絵を見上げた。
「お加減が優れないようにお見受けいたしますが」
「気にしないで。にしても母上は綺麗だね」
「ええ。お嬢様もよく似ておいでです」
「そう?」
ホランの言葉に俺は首を傾げる。髪の色は白と銀で多少似ているが、それ以外は瞳の色も雰囲気も全く違う。見慣れた自分の顔と比べれば似ていると思えても、他人から見ればかなり違った印象を受けると思う。
「ええ、とても似ておいでです」
それでも彼はアイスブルーの目で壁の女性を見据えてそう言った。俺が次の言葉を発する前にその両目はこちらに向けられ、事務的な口調で話が変更される。
「わたくしと絵画の鑑賞がされたかったのでしょうか?」
「ん、違う」
もちろんそんなことのために多忙な執事頭を呼びつけたりはしない。色々と確認しておきたいことがあるから。ちなみに伯爵はまた留守だ。
「話の前に、今ここは私のスキルで防音してある」
「さすがでございます」
特に驚いた様子もなく頷くホラン。この部屋全体にかけた『完全隠蔽』の影響下に入るまで姿は見えていても何の音も気配もしなかったのだから、一般人の彼でも扉を開けたときには違和感を覚えたはずだ。それなのに一切動じないのはそれだけ執事として訓練されているからか。
「父上のこと、ホランはどうおもう?」
「どうとおっしゃいましても、わたくしは執事頭ですのでお仕えするだけです」
「印象を聞きたい」
「それを聞いてどうなさるのですか」
「どうも」
「それならお嬢様はお嬢様の思われる通りされればよろしいかと」
ホランはあまり自分の意見や心証を語らないらしいことは昨日の時点で分かっている。それじゃ困るのだが、あまり一気に押しても仕方がないのもその通り。
「……手紙は?」
「拝見いたしました」
まずは認識と立ち位置の確認から。ビクターの手紙にはトレイスを擁立して伯爵家の交代劇を行うこと、その準備として現在は資金と人材を集めながら計画を練っている最中であること、そしてホランには情報をはじめとして適宜王都での支援を行ってほしいことなんかが書かれているはずだ。
「どうする?」
端的に尋ねる。
「分かっておいででしょう?」
分かっておいでですとも。
彼の性格や人間性はまださっぱりわからない。しかしあの腹黒ビクターがことの詳細を書いて渡すように言うんだ、ホランが裏切ることはないと考えていい。自分の潜り込ませた間者に手を噛まれるような間抜けに伯爵家の家宰は務まらない。特にオルクス伯爵家のような複雑で危うい状況にある家の家宰は。
ただまあ、いくら謀が苦手でも一事が万事ビクターに任せて自分は頭からっぽじゃ俺も拙いんでね。
「ビクターは君を信用してる。私はビクターを信用してる。でも私は君を信用する材料を持ってない」
俺に協力しろと手紙にあったのに、俺から信用されていないのはよろしくないのでは?
そんな意味を含ませて、年の割に枯れた印象のある執事頭の無表情を見据える。
「……」
「……」
彼の目元がわずかに動いたのが、俺にはなぜか諦めたように見えた。
「わたくしはビクター様にはご恩を感じています。伯爵家の執事という栄達の機会をお与えくださいましたから」
ラナたちの実家に連なる商家の三男だった彼にこの仕事を裏から斡旋したのがビクターだ。本来よほど大きな商家でもなければ三男までビジネスを分け与えることは少ないので、彼は自らの才覚で一から商売を行うか別の仕事につくしかなかったはずだ。そこにきて伯爵家の上級使用人という仕事は安定した高給取りである。恩に感じない方がおかしい。
「勘違いしていただきたくありませんので言わせていただきますが、当主様にもご恩はあります。入りたての一執事からその頭まで取り立ててくださったのは当主様ですから」
そう語る彼の言葉に嘘の気配はなく、やはり他の使用人のような嫌悪や侮りは感じられない。かといってビクターのように複雑な心境であるわけでもないようなのが引っかかる。
「ですが、どちらにつくかと問われるならわたくしはビクター様につかせていただきます」
ホランの口から初めて言質と言えるだけの言葉が出てきた。
「栄達の道を与えてくださったお2人には同じくらい感謝しておりますが、選択を誤って己の道を閉ざしてしまっては元も子もありません」
いっそ清々しいくらいの保身の言葉を口にするホラン。冗談の気配なんて微塵もなく、自身の栄達が彼の軸足であることは疑いようがない。
「ん、その保身を信用する」
「ありがとうございます」
彼は皮肉ともとれる言葉に顔色一つ変えずに頷いてみせる。こういうタイプは自分の利益も追及するが、それ以上に不利益を慎重に見極めてから行動する。あまり感情に左右されて短慮に走ることはないのだ。
「私の秘密も1つ教えてあげる」
「……光栄です」
氷の無表情に一瞬だけ嫌そうな色が混ざった。自分から教えてくれる秘密なんて弱みにならない、ただ知っているだけで足枷になるようなモノばかりだと、彼はよくよく知っているのだろう。
実際そうだけど。
「安心して、選択が間違っていなかった証明にもなる」
これは表向き信用の証でありつつ、彼の性格を考慮するに絶対に裏切れなくなる知識だ。それでも使いようによっては免罪符にもなるのだから感謝してほしい。
「私はエクセル神の使徒」
「………………なる、ほど」
ホランはたっぷり5秒も硬直し、目を見開いてそれだけ言った。さすがに想像の埒外過ぎたようだ。
「証明がいる?」
「……できれば」
ガチガチの敬語だったのがとても短い言葉になっているのは、それだけ他の思考に脳を向けているからか。
「紋章は背中だから」
さすがに誰も見ていないからと言って目の前で脱ぐのはナシだ。なので『使徒』を起動し、神眼を発動してみせる。彼の目に映り込む俺の瞳が曇った紫から真鍮の輝きを混ぜたモノに変わり、今度こそ鉄面皮が完全に壊れて口が半開きになる。
「本当に……」
「ん」
これが決定打となったのか、ホランは静かに頭を下げてこう言った。
「あらゆる協力を惜しまないとビクター様にお伝えください」
使徒を敵に回したところで別に神罰が下るわけじゃない。それでも神の意思を体現する者と積極的にコトを構えようとする輩は珍しい。神がなにもしなくとも、使徒自身が障害を排除することがよくあるからだ。
「ん、これからよろしく」
「微力を尽くさせていただきます」
ともあれ、これで王都での味方1号ができたわけだ。
「ん、忘れるところだった」
画廊を出て行こうとして立ち止まる。
「色々と差し入れしたから、食べて」
「それは、ありがとうございます」
足の早いデザート類をおびただしく持ち帰っておいたので、砂糖に溺れる思いを体験してほしい。
ささやかな八つ当たりを告げて、今度こそ俺は画廊を後にした。
最新話を書いていると、そろそろホルンや母親のことを回収しないとなと思いますね。
拙作は基本的にお家騒動関係のフラグ回収が長期的なので。
それと私はルートビアが苦手です。ムナヤケしません?
~予告~
甘味地獄に捕らわれたアクセラ。
だが王都の洗礼はそれだけではなかった!!
次回、焼きたてパン
アクセラ 「大事な所が抜けて普通のパンになってる・・・」
ミア 「まあ、ジャパンがないから仕方ないのじゃ」




