三章 第3話 手合わせ
「さっきも自己紹介したが、Bランクパーティー「夜明けの風」のリーダーをしているガックスだ。よろしくな」
2階の会議室に戻ると大味な笑みを浮かべたガックスがそう言って手を差し出してきた。貴族に対する態度ではないが、俺はその方が気楽なのであるかなしかの笑みを浮かべてその手を握り返す。
「明後日から週に3日、お嬢さんたちの護衛をしつつ冒険者としてのイロハを教えることになった。この領地の領主一族と聞いたが、雇い主の意向でお嬢さんたちのことは普通の冒険者として扱うからそのつもりでいてくれ」
「ん、当然」
「よろしくお願いします!」
教えてもらう立場で偉そうなことは言わないし、そもそも冒険者はランクと功罪でのみ評価されるのが正しい在り方だ。
「ガックス、ワタシより先におっぱじめるとはどういう了見だい」
「あ・・・」
隣に立つマザー・ドウェイラに睨まれた彼は俺の手を放して後ろに下がった。
ふん、と鼻を鳴らしたマザー・ドウェイラは俺たちにそれぞれ革袋を差し出す。
「ギルドカードと銀行口座の控え、それからいくつか必要な物が入ってる。袋は適当なモンだから別に取っておかなくていいからね」
態々自分で渡してくれたり袋に纏めてくれたり、やはりこのギルマスは見た目に似合わず面倒見がいいな。
「見ていい?」
「ふん、お前たちのものだからね、好きにしな」
早速俺たちは袋を開ける。中には色々と入っているが、やはり一番大切なのはコレだろう。マットな黒の金属でできた、手のひらサイズの薄い長方形。冒険者の身分を証明するたった1つの物、ギルドカードだ。
「Fランクは黒、ランクが上がれば色も権利も段々変わってくるからその都度確認することだね」
「ん」
「はい」
他の物はおいおい確認するとして、今はガックスに視線を戻す。
「さて、じゃあ改めてよろしくな。もう装備は?」
「さっき揃え終わった」
「わたしもです」
「ならつけてみてくれ。問題がないか確認した後、簡単な整備の仕方なんかを軽く説明する」
「ん」
「はい」
俺は装備の手入れくらいお手の物だが、エレナが一度もしたことない身。しっかり説明を受けておいて損はないだろう。
数分後、レメナ爺さんに決裁してもらった俺たちは2階の会議室でそれぞれの装備をつけて見せた。
晩年はエクセララで主流とされているタイプの鎧を、それも極稀に身に着けるくらいであったのだが、人生の半分ほどは普通の剣士の防具を使っていた。チェストプレートや冒険者用のベルトなどを付けるのは片手でも可能だ。
そんな俺の出で立ちはどこからどうみても軽戦士。革の軽鎧に革のブーツと手袋、ベルトに細身の長剣を鞘ごとつりさげている。
エレナはというと、俺のモノより少し装甲面積の多い胴防具に布のクロークを羽織っている。後で聞くとそのクロークは防御力を上げる付与がされた魔法使いに人気の品なのだとか。
「たしか2人とも魔法使いと聞いていたんだが・・・」
いぶかし気な顔でガックスは首をかしげている。レメナ爺さんは特に驚いた様子もなくいつも通り顎髭を扱いているだけだ。俺が習わぬ剣を使えることは承知の様子。いよいよこの爺さんに隠し事をするのは難しいらしい。
「ただしくは魔法剣士」
その返事を聞いたガックスの眉間に皺が寄る。
「魔法剣士とはまた珍しいが・・・はっきり言ってその年で両立させられるとは思えないな」
「試してみる?」
「ほう・・・」
彼の目に剣呑な光がともる。初心者冒険者の伸びた鼻を折るのもベテランの仕事と言われるだけあって、良識を備えていそうな彼も俺の発言は看過できないらしい。
しかしうっかりいつもの調子で答えてしまったが、これは拙かったかもしれないな。
このまま実力を試すための試合になると、ちょっと困ったことになる。お互いの為には圧勝するわけにいかないし、手を抜いて戦うのも礼儀に反するからだ。かといってこの戦闘スタイルを曲げるのも嫌。
さて、どうするのがいいだろうか。
「お嬢さんの剣の師匠は誰かな?」
「・・・言えない」
師匠がその道で高名ならまだ納得できる。そういう意味での質問なのだろうが、狭い範囲で言えば俺に師匠はいない。広い範囲で言えば100年近く前に自分の世界に帰ってしまった。どちらにせよ言いようがない。
「まあ、貴族の家にはそういうこともあるか・・・ならどれくらいの達人かは聞いてもかまわないか?」
「・・・・・・ダメ」
「・・・そうか」
鋭い眼光を逸らさずにガックスはそう呟いた。そこに籠っているのが疑いなのかただの納得なのかは推し量れない。
俺も適当に答えたいところではあったのだが、エレナやレメナ爺さんの居る前では堂々と言うわけにいかなかった。特にエレナの前では、俺はあまり嘘をつきたくない。どう答えても嘘にしかならないなら答えないのが唯一の正解だ。
「なら何か俺たちが納得できるようなものを見せてはくれないか?」
「証明できるもの?」
「そうだ」
やけに丁寧に試合以外の道を探す男だ。たしかに試合で実力を見せつけるという行為はわかりやすい分遺恨になりやすい。これからしばらくの間お互いに顔を合わせ続けるのだから、穏便に納得できる方法をとりたいのだろう。
リーダーを張っているだけあって思慮も浅くない、いい冒険者だな。さすがにギルマスが子飼いとして斡旋してくるだけのことはある。
しかしそんなリーダーの考えを理解していない男が1人いた。「夜明けの風」唯一のCランク冒険者、マレクだ。
「ガックスさん、こういう子にはしっかりと現実を見せた方がいいと思います」
真面目そうな青年なのだが、どうにも脳筋の匂いがする。神話に見るトーゼスのような筋肉が脳の代わりに思考しているタイプの脳筋ではなく、思考を筋肉に圧迫されているタイプの。
「・・・はぁ、ならお前が相手をしろ」
わずかな沈黙の後、溜息と共にガックスは弟子へと責を投げた。
「はい!では、僕と一試合お願いします」
「・・・ん」
この流れで断れば最悪、魔法剣士スタイルを封印して実戦訓練をしなければいけなくなる。そう判断して渋々俺は頷いた。
「面白くなってきたじゃねえの。御年1ケタで魔法剣士を名乗る天才ちゃんか、自称永遠の見習い剣士こと努力中毒者か」
「トーザック先輩、誰が永遠の見習いですか」
「お前だよ、この天然嫌味謙遜野郎」
頭の後ろで手を組んでおどけるトーザックと横睨みに文句を言うマレク。アペンドラは横でそれに溜息をついている。パーティーの仲は良さそうだ。
~★~
冒険者ギルドの地下、練習場と名付けられたそこは受付で許可を貰えば誰でも使えるという施設だ。広さはギルドより一回り小さいだけで、それが4つほどのセクションに仕切られている。仕切り板は特殊な合金製らしく入れば隣の音は一切聞こえてこない。スキルと戦闘スタイルという冒険者最大の財産を誰にも知られないようにという配慮だ。
「武器はどうしますか?木製の模擬武器を借りることもできますが」
「いい」
「そうですか」
俺とマレクは借りたセクションの真ん中にある程度の距離をもって立っている。装備はお互いに実際冒険に使う物で、つまり刃引きもされていない真剣ということになる。
外野のレメナ爺さんたちは全員壁際に並んでこちらを見ているのだが、面白そうだからという理由でマザー・ドウェイラまでついてきていた。あげくトーザックの提案で始まったトトカルチョにまで参加している。ちなみに賭けているのはギルマス以外に言い出しっぺの斥候と我が家の賢者だけだ。
「ルールは軽傷以上の怪我を負わせないこと。降参するか審判が止めに入るまで続行し、勝者は敗者に1つ要求ができるものとする。ま、いわゆる簡易決闘式ってやつだ」
審判のガックスが説明を行う。最初はギルマスかレメナ爺さんにしてほしいと言っていた彼だが、どちらにも拒否されてしまって渋々審判をすることになっている。本人は公平性が損ねられるとごねていたのだが、トトカルチョまで始まってしまっては公平性もないと諦めたらしい。案外トーザックもそのために賭けを言い出したのかもしれない。
「両者、準備は?」
「ん、いい」
「かまいません」
対峙するマレクの顔に悪感情は窺えない。ただ後輩の増長を正そうという真っ直ぐな親切心と目の前の戦いへの素直な真剣さだけが見て取れる。
良い目だ。浅慮だが。
「では、はじめ!」
「はっ」
号令と同時にマレクは剣を抜いてこちらへ踏み込んだ。俺は魔法剣士とは言っているものの師匠は賢者で事前に聞かされた職業も魔法使い、距離を開けられて魔法を叩きこまれるよりは突っ込んだほうが安全という判断か。
足鎧の隙間から薄らと赤い光が漏れているのできっと何らかのスキルを使用しているのだろうが、実戦を何度も重ねている者だからこその隙のない大胆さがある。
上段に振り上げた剣に淡く青い光が灯る。雰囲気からして重斬ではなく打ち付けだろうか。
「ん」
俺も抜剣する。しかし刃同士が噛み合っては俺の切れ味重視な剣は負ける。刃を立てず剣の腹を向け、剣身の反対側に左手を当てる。距離は彼の踏み込み分では足りないので小さく半歩だけ前へ出す。
キィン!!
鋭い金属音が鳴り響く。マレクの剣が俺の剣の腹へ刃をあて、そのまま横へと流された音だ。込められていたスキルの衝撃もほとんどが俺に伝わらないまま逸れて散ってしまう。
「な!?」
「おお!」
「きゃっ」
俺の細腕を確実にしびれさせるはずの強打系スキルが不発に終わり、込めた力が予想以上に体を深く入らせてしまった。そのことにマレクの口から驚きが漏れる。
同時にガックスからは感心ともとれる声が、エレナからは初めて見る戦闘への小さな悲鳴がこぼれた。なんだかんだ彼女が本当の戦闘を見るのはこれが初めてなのだ。一応は俺もなのだが。
「く!」
さすがはCランク冒険者、無理やり力の向きを変えて俺から無防備な脇腹を庇いつつ横へ逃れようとする。
だが逃がすと思うなよ。
すぐに剣を寝かせ、追撃の平突きを放つ。狙いは一応防具の上だが、慣れた冒険者ほど不利な姿勢への咄嗟の攻撃を防いでしまうもの。
「う!?」
はたして、マレクは間一髪胸鎧と俺の剣の間に自分の剣をねじ込んでみせた。しかしそれが新たな隙になる。
「燃えよ」
真っ赤な魔力糸を数本編んで剣に巻きつけ、短く唱える。次の瞬間、俺の剣が火に巻かれた。俺がエレナとずっと研究している魔力糸最大の利点は魔法化する前に遠距離へ届かせられ、魔眼でもない限り正確な場所はわからないこと。こうして武器につたわせればよほど感覚のいい人間でもなければ気づけず、不意を突くには最適なのだ。
「うぉあ!?」
ギリギリで受けきった剣がいきなり燃え上がったことでマレクは悲鳴をあげ、慌ててそこから後ろに跳び退った。実際には熱気が髪を煽る程度の火なのだが、魔法使いが放つ火魔法といえば着弾後燃え上がることが多い。経験的にどうしても下がってしまう剣士は多い。
ほとんど動かないままに相手をどんどん無理な体勢へと追い込むことに成功した俺は、ようやく大きく体を動かす。右半身になっていた体をもう1歩踏み出して左半身にし、剣を両手持ちに変える。
「や」
気の抜ける声とともに突き。今度は軽く踏み込みながら、同時に魔力糸を燃やす。小さい動きに惑わされて距離感と速度感が過敏になっていたマレクには、恐ろしい速度で燃え盛る切っ先が迫ってくるように見えるだろう。
「はぁっ!!」
胴体を捻じったままの跳躍から着地を強要されて崩れ切った体勢だというのに、彼は諦めず剣を突き込んできた。さっきよりも濃い青のスキル光だが、やはり角度が上に逸れている。勢いが後ろについているので威力も低い。
迎撃の一手は俺の剣よりほんの数ミリ上を掠めて通り過ぎた。一拍遅れて火を纏った切っ先が彼の首へと喰らいつく・・・直前で停止する。螺旋状にメラメラと燃え上がっていた魔法もふっと消えて、不思議な空白ができあがった。
「勝者、アクセラ!」
空白を切り裂いたのは勝利を告げる審判の声。
「お、おう・・・」
予想外だったのかトーザックが間の抜けた顔で驚いている。その横ではマザー・ドウェイラもぽかんと棒立ちになっており、レメナ爺さんが1人ほくほく顔で二人を小突いていた。
安堵と謎のキラキラを目に浮かべたエレナが走ってくる。
「アクセラちゃんすごいよ!」
走った勢いのまま跳びついてくる彼女から剣を遠ざけて左半身で受け止める。
「危ないよ、エレナ」
「あ、ごめん。でもすごいよ!」
嬉しいのだが、あまりそう凄い凄いと言われると相手の傷を抉りかねないのが・・・そんな俺の心配も直後に杞憂と判明する。
「す、すごいですよ!ガックスさん!」
「ああ、そうだな。分ったからお前はちょっと落ち着け」
負けた張本人が目を輝かせて騒いで、パーティーリーダ―がそれを抑えていた。
「こんなに思い通り戦えなかったのはFランクのころ以来です!スキルを1度も使わず体勢を不利にするだけで勝ってしまうなんて、天才ですよ!」
単純な思考と経験の積み重ねに差があるだけなんだがな。
あとまた無意識だろうが嫌味な感じになっているぞ。
「アクセラさん、侮って申し訳ありませんでした。僕の完敗です、どんな要求でも受け入れてみせましょう!」
「どうどう・・・すまん、こいつは負けを引きずらないのが良いところなんだが、強い相手を見るとテンションが上がり過ぎる傾向にあってな」
人このことは言えないが、厄介な病気をお持ちだことで。
「だがそれほどの実力を隠し持っているとは俺も驚きだった。先程は疑って悪かった」
「ん、当然の反応。それに・・・」
「なんだ?」
「まだ慣れてないのはほんと」
エレナを抱えたまま右手に持った剣を見せた。
「ああ・・・そういうことか」
ついさっき買ったばかりの長剣には螺旋状の変色が3筋できていた。魔力糸を纏わせて使った際に剣身自体が焼けてしまったのだ。これでは強度も切れ味もガタ落ちである。
実は先程使った剣に火を纏わせる技、何も俺のオリジナルではない。俺が総師範を務めていた仰紫流刀技術の烈火刃や、『魔法剣』スキルのフレイムソードなど似たものはいくつかある。ただ前者は自分の魔力で剣を覆ってその上層を燃やしており、剣が焼けてしまうということはない。後者もスキル効果で剣は守られている。
それらの前提を失念して魔力糸を直に巻きつけ燃やしたのがまずかったらしい。実戦で使っていない技はこういう問題点が色々と残っているものなのだ。
「てっきり『魔法剣』のスキルでも使ったのかと思っていたんだが」
「そんなスキルがあるんですか!?」
「後で説明してやるからお前は待ってろ。スキル光が火で見えなかったのかと思ったが、剣が焼けたってことは違うらしい」
マレクの驚き様から『魔法剣』はここら辺ではあまり有名なスキルじゃないことが窺える。たしかに取得条件が厳しいらしいから生前でもあまり持っている奴は見なかったな。聖騎士団やAランク冒険者に数人くらいか。
「剣に魔力を巻きつけて燃やした。保護を忘れてた」
「器用なことをするものだな。それに忘れなければ保護もできるのか」
「ん」
「・・・あと、そう簡単に種を明かすものじゃないぞ」
「ん、気を付ける」
ようやく離れたエレナに手伝ってもらってさっさと防具を外し、剣を鞘に納めてから軽く体を動かす。この体になって初めての実体ある相手との接近戦で違和感が残っていないかを確かめるのだ。
「それで、なにかうちのマレクに要求しないのか?」
俺が体操するのを見守っていたガックスがそう尋ねた。
そういえば簡易決闘形式だからなにか要求していいんだったか。最初に言っていたな。
「・・・特にない」
さっと考えても特に思いつかない。そもそも簡易決闘で1つ要求ができるというのは要求を通すために試合をするからだ。目的が試合な以上、別にそこはいいのではないだろうか。
「なら新しい武器を買うのはどうだろうか?焼けてしまった剣はフィールドでは頼れないだろう、代わりに少しいいヤツをマレクが買うぞ」
「でも剣高い・・・」
ギルド商店で買えば安く済むとはいえ、これだけの鉄の塊だ。それなりに武器の新調は痛い出費となる。
「安心してください、その剣の上位版くらいなら賄えるだけの蓄えはあります。負けてしまいましたが、これでもCランクですから」
まあ、俺の剣は初心者向けの安いやつだしな。
「ん、ならおねがい」
「はい!では商店の方に行きましょう」
その後、ギルド商店で鉄のショートソードの上位版である鋼のショートソードを買ってもらった。バンダナの店員からは早速壊したかと呆れられたが、それは自分でもちょっと思っていたので甘んじて受け入れた。
~★~
武器防具の手入れの仕方や保管の注意を聞いてその日は解散となった。試合前に話していた通り、明後日から実際に依頼を受けて行動することになる。本格的なことはその時にするそうだ。
「お嬢様、着きましたぞ」
ギルドから屋敷に戻る道の途中、馬車が止められてトニーが扉を開いた。帰路に就く前にリオリー宝飾店に寄るよう頼んでおいたのだ。
「いらっしゃいませ。ただいま店長を呼んでまいりますので、こちらでお待ちください」
椋鳥の看板のかかった店に入れば前対応してくれたのと同じ店員が応接室に通してくれた。別の店員がすぐにお茶を持ってきてくれ、ほどなく店長のマイルズもやってくる。
「これはこれは、ようこそおいでくださいました」
「ん、遅くなった。ギルド登録ができたから口座を伝えに来た」
「おめでとうございます。そしてわざわざのご足労を頂き恐縮です。では早速」
マイルズは懐から2冊の紙綴りを取り出した。ギルドの支払いに使われるものだ。それをこちらにそっと差し出すので、俺とエレナはその表紙についさっきギルドカードと共に発行してもらった銀行口座の番号を書き込む。この番号を綴りの中の用紙に金額共々記入して持っていけば、ギルドが口座から口座へと滞りなく送金してくれる。
「まずは研究経費を振り込ませていただきます」
「ん、お給料は試作品を持って来てからで」
「承知しました。それと仰せの品も準備出来ています」
頼んでおいた試作品に使う魔導具の類だな。今回の研究費はこの魔導具代を引いた額となっている。
「お屋敷にお届けしましょうか?」
「ん、馬車できてる」
そのためだけに態々馬車で出かけたのだ。
「なら積ませていただきます」
「ん」
マイルズが目配せすると店員がそっと部屋から出て行った。馬車の後ろには荷物をしまう場所があるので、そこに積み込んでくれるのだろう。
「どうですか?なにかアイデアは浮かばれましたか?」
「えっと、1つだけ」
「私も」
俺たちはそれぞれ指を1本立てて頷いた。
「おお、それは素晴らしい!」
まだ作ってないのに素晴らしいもないものだが。
「どんな物になるのですか?」
「できてからのお楽しみ。失敗したらかっこ悪いし」
「わたしも秘密です」
「ははは、なるほど。ではこのマイルズ、完成を心待ちにさせていただきます」
「ん」
あれからレメナ爺さんには勉強の量を減らしていいと言われているので、存分に開発に打ち込める。それでも冒険者業と最低限の勉強はあるが、それくらい両立させられるだろう。
マイルズは楽しみにしていると言ってくれたが、俺は俺でエレナがなにを作ろうとするのかが楽しみで仕方ないな。
ガンダム00の新作が来るそうですね。個人的には嬉しさ半分、不安半分です。
映画は結構いい終わりだったと思ったので、さらなる戦いってナニするのよ感が。
舞台化もするそうで、そっちは不安ほとんどに怖いもの見たさが少々です(笑)
~予告~
エレナの発明は時代を変えた。
それは世界初のアクセラ同士の戦い・・・!
次回、メカアクセラ、大地に立つ
アクセラ「私は生き延びることができるか。て、こら!」




